こんにちは!マナラボの菅野です。

2025年6月から、POSレジを使って「電子インボイスをそのまま税務署に送る」仕組みが本格的に義務化されます(政令70/2025/NĐ-CP 第11条・第22条)。以下の記事も参考にしてください。

>>【やさしく解説】政令70号で「請求書の出し方」が変わる|インボイス実務11の注意点!!

あと前提して以下の知識があることが大事です。というのは政令70/2025/NĐ-CP は以下の政令の上書きだからです。

>>【ベトナムインボイス】政令123/2020/ND-CPの条文構造とポイントを完全解説!

でも、実際の現場ではこんな声が聞こえてきます。

「POSと税務署って、どうつながってるの?」
「電子署名がなくても正式なインボイスになるって本当?」
「うちの店でもできるの?怖くない?」

今回は、すべて法律ベースで、嘘なし、噛み砕いて説明します!

そもそも「POSレジからの電子インボイス」とは?

政令70号では、年間売上1億VND以上の飲食・小売・サービス業者に対して、

POSレジからリアルタイムで電子インボイスを発行し、税務総局(GDT)にデータを送信すること

が義務化されます(政令70/2025/NĐ-CP 第11条1項)。

これは、紙のレシートを「税務署に提出する証拠」ではなく、データとして即時に送信する形に変わるということ。いわば、レジと税務署がオンラインで直結するようなものです。

POSとVATインボイスの自動連携の仕組み

以下のような流れで「POS → GDT」への電子インボイス連携が行われます:

✅ ステップ1:POSで売上処理

レジで会計が完了すると、POSシステムが自動的に**電子インボイス(XML形式)**を生成します(政令70 第22条3項、Form 01/TH-HDDT に準拠)。

✅ ステップ2:税務総局にデータ送信

GDT(税務総局)のWebポータルに、POSシステムが自動でインボイスデータをAPI接続を通じて送信。これはリアルタイム、または日次・月次単位のバッチ送信でも可(業種により異なる)。

✅ ステップ3:税務署で識別コードを付与

POSから送られたデータに対し、税務署が「認証コード」や「照会リンク」を付与(政令70 第11条3項dd)。このコードが、電子署名の代わりになります(政令70 第11条2項b)。

✅ ステップ4:顧客へインボイスを提供

あなたのお店のお客様には、

  • QRコード付きレシート
  • SMSで送信
  • メールでPDF送信

などの方法で電子インボイスを提供できるんだとか。

どこに何が書いてある?根拠条文まとめ

内容根拠条文のポイント
POSレジ対象業種政令70/2025 第11条1項年商1億VND以上、飲食・小売・ホテル等
電子署名は不要第11条2項b税務署識別コードで代用できる
税務署との接続義務第22条3項GDT Webポータル経由で送信
インボイスの項目構成第11条3項TIN、品目、金額、税率、認証情報等
保存期間政令123/2020 第6条+会計法第41条インボイスは10年間保存

税務署との接続義務がポイントでしょうね。

政令70の第22条・22a条では、POSレジで発行した電子インボイスをどうやって税務署に送るか、そのルールがハッキリ書かれてます。

ざっくり言うと、「インボイスを出したら、ちゃんと税務署にもデータ送ってね」ということ。送る方法は2つあって、

① 月100万件以上出してるような大きな会社は、GDT(税務総局)に直接送信
② それ以外の会社は、MISAやViettelみたいな電子インボイスのサービス会社(T-VAN)を通して送信

>>【2025年最新】ベトナム飲食・小売POS会社徹底比較!電子インボイス義務化に備えるならこの6社!

たとえば通信会社や電力会社みたいな業種は、月末にまとめて一覧表を送るスタイル。小売店や飲食店などは、発行したらすぐデータ送信する必要があるよ、って感じです。

さらに22a条では、「電子インボイスを届けるサービス会社の責任」も書いてあって、

  • ユーザーの情報をちゃんと守ること
  • サービスを止めるなら30日前に伝えること
  • 税務署とつながってない会社は、つながってる会社を通して送ること

みたいに、けっこうきっちり決まってます。

つまり…POSでインボイス出すだけじゃダメ!
「税務署にどう送るか」までが今後の大事なルールってことですね。

心配な方は、まず自分のPOSやインボイスソフトが「ちゃんと送れる仕組み」になってるか確認しておきましょう〜!

22条の条文の内容を理解しよう!

第22条 認証されていない電子インボイスを使用する売主・サービス提供者の義務 b) 第3項の改正: 「3. 認証されていない電子インボイスの発行に関するデータは、税務総局のポータル(直接または電子インボイスサービス提供者を通じて)に送信すること。」

a) データ送信の方法と時点 a.1)次の場合、付録IAのフォーム01/TH-HDDTに従ってデータを送信すること: 郵便・通信、保険、金融、銀行、航空輸送、証券の分野のサービス提供 顧客のコードまたは税番号がある場合の電気・水道販売 ベトナムに恒久的拠点を持たない外国業者が、EC・プラットフォームビジネス・デジタルサービスを提供する場合 これらに該当する売主は、月または四半期単位で、付録IAのフォーム01/TH-HDDTに基づいてインボイス一覧表を作成し、VAT申告期限までに税務当局へ送信する必要があります(税務管理法第38号および関連法令に基づく)。 インボイスの件数が多い場合は、税務総局の規定に従った標準フォーマットで分割して送信可。 誤りのあるインボイスの取り消し・修正情報は、次回提出のデータ一覧表(フォーム04/SS-HDDT)で報告すればよく、個別に通知する必要はありません。 非事業個人向けに日または月単位で一括発行する場合は、明細(商品・サービスのリスト)なしで、合計金額のみを税務当局へ送信します。

a.2)インボイス一覧表の処理について: 不完全または誤りのある一覧表を提出した場合、修正・補足版を提出する必要があります。 修正が必要な場合、該当するインボイスのフォーム番号・参照番号・インボイス番号を**フォーム01/TH-HDDTの第14列(関連インボイス情報)**に記載します(政令第10条第14項の例外を除く)。

a.3)a.1に該当しない商品・サービスのインボイスは、完全な情報を含めて、発行日の翌営業日までに税務当局に送信する必要があります。

b) データ送信方法の選択肢 企業や組織は、税務総局が定める標準フォーマット(第12条)とガイドラインに従い、次のいずれかの方法でインボイスデータを送信します: b.1)直接送信(条件を満たす場合) 企業や組織が以下の条件を満たす場合、税務当局に直接送信できます: 月あたりの電子インボイス発行数が100万件以上(前年の実績に基づく) ITシステムが技術的条件(第12条第4項)を満たしている 上記を証明する資料とともに、税務総局に直接送信の承認申請を提出 また、親子会社モデルで一括送信したい場合は、親会社が全ての子会社リストを提出し、技術接続の申請を行う必要があります。

b.2)サービスプロバイダ経由での送信 上記以外の企業は、電子インボイスサービス提供業者(T-VAN等)と契約し、その業者がデータ送信を代行します。

第22a条 電子インボイスサービス提供者の義務と責任(新設) 1. 売主・買主向けソリューションを提供する事業者の義務

a) 義務 電子インボイス、POSレジ発行インボイス、電子記録の作成・送信・受信・保管・処理機能を提供 認証された電子インボイスを、税務当局へ正確かつタイムリーに送信する ※税務当局と直接接続していないサービス事業者は、接続を持つ別業者を経由して送信する必要あり

b) 責任 自社のサービス方針・品質情報を自社ウェブサイトで公表すること ユーザーのインボイス情報の機密保持 サービス停止・中断の際は、最低30日前にユーザーへ通知し、対応措置を講じること その他、契約に基づく責任を履行すること

2. 税務当局と直接接続する業者(接続事業者)の義務

a) 義務 他のサービス提供者から受け取った電子インボイスを、税務総局へ送信・保存する機能を持つ 税務当局から委託された場合、インボイス識別コードの発行や無料電子インボイス提供を行う

b) 責任 常時接続可能な通信・セキュリティ体制を確保 自社の運用体制とサービス品質をウェブサイトで開示 データの秘密保持 トラブル発生時は、税務総局に即時通報し、問題解決に協力 サービス停止・中断の際は、30日前に通知し、利用者の権利を保護

→このように、第22条と22a条では、企業とPOSベンダー、そして中継業者のそれぞれの役割が非常に明確に定義されています。

POS選定時のチェックリスト(ここ大事!)

POSを導入する際は、次の点を必ず確認しましょう:

✅ GDTのAPIと接続済みか?
✅ XML形式のインボイス(Form 01/TH-HDDT)を生成できるか?
✅ インボイスの送信・受信履歴が管理できるか?
✅ QRコード発行機能、SMSやメール送信に対応しているか?
✅ 10年間のインボイスデータ保存機能があるか?

たとえば KiotViet、iPOS.vn、MISA CukCuk、Sapo などはすでに対応済みです。


よくある質問と答え

Q1. 電子署名がないのにインボイスとして有効?
→ はい。POSレジから発行された電子インボイスは「税務署の識別コード」または「電子照会リンク」によって正式証憑とされます(政令70 第11条3項dd)。電子署名は不要です(第11条2項b)。

Q2. 紙でも渡せる?
→ もちろんOK。レシートにQRコードが印字されていれば、電子的な証明力を持ちます。SMSやメール送信も選択肢です。

Q3. オフラインのときはどうする?
→ 一時的にオフライン保存され、オンライン復旧時にまとめて送信されます(POS会社によって対応仕様あり)。

まとめ|「義務」だけど、チャンスに変えられる!

POSレジから税務署へのインボイス自動連携。

「難しそう」「技術が不安」と感じる方も多いですが、実は:

✅ 手間が減る
✅ 税務対応がシンプルに
✅ 信用力が上がる(融資・補助金でも有利)

など、経営上のメリットがとても大きい仕組みなんです。

特に、導入済POS会社と連携することで、煩雑な操作も最小限に抑えられます。
まずは、自社の業種と規模に合ったPOSを選ぶところから始めましょう!

この記事は、以下の法令と一次情報に基づいて執筆しています:

  • 政令70/2025/NĐ-CP 第11条・第22条
  • 政令123/2020/NĐ-CP 第6条
  • 会計法第41条(保存期間10年)

※不明点があれば、マナラボまたは税務署・POS会社のサポート窓口にご相談を!