こんにちは、マナボックスの菅野です。
日本人が、ベトナムに入国するためには、ビザやレジデンスカードというのが必要です。通常の場合は、レジデンスカードとワークパーミット(労働許可証)は同時に取得します。
>>徹底解説!ベトナムのビザ・ワークパーミット(労働許可証)の取得の流れ【まとめ記事】
これを取得するためには、通常はコンサルティング業者にお願いすることがほとんどです。
この点、ベトナム個人所得税の論点が発生していました。具体的にいうと、ビザやレジデンスカードについて、会社がコンサルティングファームに依頼してお金(実費を含む)を支払うと、その分は課税所得(給与)としてみなされてしまうのです。
例えば、あなたのためのビザの取得費用をABC consulting feeに150ドル(値段は適当です)で支払ったとします。その場合の150ドルは、あなたの給与となっていたわけです。つまり、会社負担とすると、個人所得税が増加していました。
この記事のもくじ
2014/TCT-DNNCN(2020年5月18日)による、ビザ・レジデンスカード取得費用の取り扱い
ベトナムで働く場合に、会社がビザやレジデンスカード費用を負担した場合
税務総局からのOfficial Letter 2014/TCT-DNNCN(May 18, 2020)によれば、
ベトナム入国のために必要な
- ビザ取得
- レジデンスカードの取得・延長
の取得に関わる費用を会社(雇用主)が支払う場合 、これらの費用額は、外国人労働者の課税所得には含まれません。
これについて雇用主の責任であることが必要。
です。当然と言えば当然の結果ですよね。これらの費用が、個人所得税の対象である所得に含まれることは不合理でした。
この費用についてですが、コンサルに依頼する場合の全額なのか?実費(政府に支払う実費)なのか?は明確ではないのかなと思います。これについての最終判断は、普段お願いしているコンサルティングファームにお願いしてください。
以下はオフィシャルレターの原文の引用です。
in case the expenses for making and extending temporary residence card or visa for foreign workers are paid by the employer so that the foreign worker is eligible to work at an organization in Vietnam As the responsibility of the employer
海外出張の場合や仕事に関連しない場合は?ベトナム個人所得税に含まれるのかどうか
2014/TCT-DNNCNによれば以下のような回答もありますので留意する必要があります。
仕事の要請により、日本などの外国へ出張に行く際に取得する「ビザの取得費」が、
当該組織の財務規定または社内規定に基づく出張費である場合→個人所得税課税対象 となる所得には含めれない。
当該労働者の規定の限度額を超える出張費額→含まれてしまう。
会社が、例えば日本人駐在員のような外国人労働者に代わって支払う「レジデンスカード」「ビザ」の取得費が、外国人労働者が享受する利益の場合、給与所得として個人所得税課税 対象となる所得に含める。
どういう場合を想定しているかちょっとイメージできないですが、要は、働くためのための費用は、大丈夫だけでどそうじゃないのは所得にしますよ。ってことだと思います。
まとめると以下のようになります。クリックすると大きくなります。
オフィシャルレターの文言も記載しておきますね。
2014 / TCT-DNNCN May 18, 2020
Pursuant to the above regulations and instructions:
– In case the expenses for making and extending temporary residence card or visa for foreign workers are paid by the employer so that the foreign worker is eligible to work at an organization in Vietnam As the responsibility of the employer, these expenses are not included in the taxable income of personal income tax from the salaries and wages of foreign workers.
– In case the cost of visa for employees working at organizations in Vietnam on business trip abroad as required by the job is a per diem in accordance with financial regulations or internal regulations of the group. and according to the provisions of Item dd.4, Point dd, Clause 2, Article 2 of Circular No. 111/2013 / TT-BTC dated August 15, 2013 of the Ministry of Finance, shall not be included in taxable income. employees. Expenses for travel expenses in excess of the prescribed level are included in the employee’s personal income taxable income.
– In case the expenses for making temporary residence cards, visas for foreign workers paid by the company on behalf of the employees are benefits of the employees, these amounts are included in taxable income. Personal import from salaries and wages of foreign workers.
そもそもなぜ、ビザ費用がベトナムでの給与所得に含まれていたのか?
今回の内容を聞いて、「なんだあたりまえじゃん」って思われた人もいると思います。私もそう思います。
それでは、なぜ、ニュース記事にしたのか?それは、以前の取り扱いでは、
外国人労働者のために会社が支出したビザ・レジデンスカードの費用は、給与所得に含めなければいけない。
であるからです。
冒頭にも記載させて頂きましたが、そのような取り扱いでした。
「なんでやねん!」ってお気持ち痛いほどわかります。
では、なぜそのような取り扱いだったかというと、以下の理由らしいです。
ワークパーミット→会社で働くために必要だから、会社負担としても個人所得税の対象ではない。
レジデンスカード・ビザ→ベトナムへ入国・滞在するためであるから本来は本人が負担すべき費用。そのため会社が負担するとすれば、ベネフィットとして給与所得に含める。つまり、個人所得税の対象。
というようなロジックらしいです。うーんちょっと無理ありますよね。ただ、そのような取り扱いでしたので、この費用を申告していない場合には、ベトナム税務調査で指摘がありました。
で、今回のオフィシャルレターでは上述の通り。
多分、「やっぱり変だよね」「レジデンスカードも働くために必要だし」「給与じゃないでしょ」みたいな感じだったんだと思います。
⭐️本日のまとめ⭐️
本日は、ベトナムにおけるビザ・レジデンスカードの取得費用についての個人所得税の取り扱いについて解説させて頂きました。
以前は、個人所得税の対象である給与所得の対象でしたが、それが変わりました。
具体的な個人所得税の計算に不安がある場合には、普段お願いしている会計事務所に聞くといいですよ!微妙なところもあるからです。
あなたがベトナム税務について深く理解して、本業に集中できることを祈っていますね。