マナボックスの税務ニュースです。
今日は『ベトナムのVAT(付加価値税)の非課税取引についての通達219/2013/TT-BTCの内容』を解説します。
非課税取引とは本来であればVATの対象の取引となりますが、たとえこれらの取引であっても
- 消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないもの
- 社会政策的配慮から、
課税しないとする非課税取引が法法上で限定列挙されています。この趣旨については日本もベトナムも同様だと思います。それについて解説していきます。
この記事のもくじ
通達219/2013/TT-BTCに列挙されている非課税取引
通達219/2013/TT-BTCの4条に限定列挙されていますがそれらをある程度グルーピングすると以下のようになります。10個のカテゴリに分類することによって少しスッキリすると思います。
カテゴリ | 項目内容 |
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農林水産・食品関連 |
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農林水産業・漁業の資材・設備 |
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住宅・土地関連 |
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金融・保険関連 |
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医療・福祉関連 |
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通信・メディア関連 |
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公共サービス関連 |
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教育・出版関連 |
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輸入・輸出関連 |
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その他 |
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上記の中から追加で日系企業が留意点するべきものをピックアップして解説していきます。
8、金融、銀行、証券サービス概要
8の取引は具体的には以下の通りです。日系企業で言えば銀行などが関連しそうですね。あとは「資本移転」(これは資本譲渡と同じ)についても非課税ですがこれはなんとなく感覚とも一致するのではないでしょうか?
a) 信用拡大:
- 貸し付け、クレジットカードの発行、銀行保証などが含まれる
- クレジットカードの発行に関する手数料などは付加価値税非課税。しかし、カード取引関連の手数料は消費税対象。
- 銀行が行う国際支払い処理のファクタリング。
- 担保の所有者がデフォルトした際の担保の扱いや付加価値税の対象に関する規定。
例えば、クレジットカードの発行に関する手数料は消費税非課税。しかし、PIN再発行や請求書のコピーなどの手数料は付加価値税対象
b) 別の融資:
- 信用機関でない者が不定期に行う融資。その利息は付加価値税非課税。
c) 証券サービス:
- 仲介、自己売買、発行保証、投資相談、証券投資ファンド管理などが含まれる。
- 一部の情報提供は付加価値税税非課税だが、一部は10%のVAT対象。
d) 資本移転:
- 投資された資本の一部または全体の移転、証券の移転など。
- 資本の移転からの収益は消費税非課税。
e) 債務の販売、外国為替取引も含まれる。
g) 金融派生サービス:
- 先物契約、オプションなどが含まれる。
h) 政府100%出資の組織が提供する担保の販売:
- ベトナムの信用機関の不良債権を解決するためのもの。
13、外国語研修、芸術研修、スポーツ研修、看護研修、児童看護研修、その他の職業研修など、法律で定められた教育および職業研修。
13の研修関係も日系企業が該当するもしかしたら可能性があるかもしれません。
法律で定められている教育および職業訓練。これには、外国語教育、芸術教育、スポーツトレーニング、看護、子供の世話、および教育を拡大し、専門知識やスキルを向上させるためのその他の専門職の訓練が含まれます。
幼稚園から高校までの教育機関が収集する食事や生徒輸送に関連する収益は、VATの対象とはなりません。
寄宿学校のサービスからの収益、訓練からの収益(試験と資格の発行は訓練コースの一部として含まれます)はVATの対象ではありません。訓練機関がコースを実施せずに試験のみを実施し、訓練コースの一部としての資格を発行する場合、その試験と資格の発行はVATの対象ではありません。しかし、訓練コースを超える試験と資格の発行はVATの対象です。わかりにくいですが
例えば、 訓練センターXは、保険代理店の資格を提供し、発行するための適格な機関に指名されます。センターXは訓練を提供するためにYを指名し、センターX自体は保険代理店の試験のみを実施し、資格を発行します。この試験と資格の発行はVATの対象外となるようです。
要は「試験」と「資格の発行」はVATの対象外となるようです。しかし、日系企業が行う教育はほぼVATの対象と考えたほうがよさそうかもしれません。そもそも教育のライセンスが取得できないかもしれないという論点もありますが。
17、 ベトナム国内で製造できず、輸入しなければならない物品
これには以下の取引が含まれるようです。
- a) 科学研究・技術開発に資する機械、設備、部品、消耗品の輸入;
- b) 石油探査・採掘に使用される輸入機械、設備、部品、特殊車両、消耗品;
- c) ベトナム国内で製造できない航空機(エンジンを含む)、石油掘削装置、船舶で、固定資産として輸入されるもの、または製造、貿易、転貸のために外国からリースされるもの。
輸入者は税関に対し、財務省が規定する通関手続き、税関の監督・検査、輸出税、輸入税、輸出入品の税管理に関する書類を提示しなければなりません。
計画投資省は、ベトナム国内で製造できないもので、輸入が必要なものを特定するための基礎として、ベトナム国内で製造可能な機械、設備、部品、科学研究・技術開発に供する消耗品のリスト、ベトナム国内で製造可能な機械、設備、部品、石油探査・採掘に供する特殊車両のリスト、ベトナム国内で製造可能な航空機、石油掘削装置、船舶のリストを作成しなければならないようです。
この辺りは取引を実施し非課税と判断する前に確認したほうがいいでしょう。
20、ベトナムの領土を通過する商品や、一時的に輸入または輸出される商品、外国のパートナーとの契約に基づいて製造または輸出処理のために輸入される原材料
外国の当事者と自由貿易区間、または自由貿易区間同士で取引される商品やサービス。
自由貿易区には、輸出処理ゾーン、輸出処理会社、税停止倉庫、関税保税倉庫、特別経済ゾーン、商業・工業ゾーンなど、首相の決定により自由貿易区と同様の税制上の優遇を受けて設立されたその他の経済ゾーンが含まれます。自由貿易区と外部の当事者との取引は、輸出/輸入と見なされます。
VAT免除を検討するための手続きと書類は、財務省の関税手続き、関税監督と検査、輸出税、輸入税に関する指示に従わなければなりません。
要注意!21、技術移転、知的財産権の譲渡、ソフトウェア
続いてこの取引です。これは要注意です。なぜならば「ソフトウェア」が含まれるからです。
ソフトウェア製品およびソフトウェア・サービスを含むコンピュータ・ソフトウェア。
これってベトナムに進出している日系企業でITをやっている企業はほとんど当てはまりそうですよね。
けれども「曖昧」「抽象的」な取引ほど、都合のいいように判断されてしまいます。これまでずっと非課税取引でやってたのに実は「課税取引」だったというのでは洒落になりません。
ということでここは深い論点があるので別な記事で解説しきたいと思います。
本日はここまでです。