マナラボによるベトナム法令ニュースです。
今日のテーマは『ベトナム駐在事務所のライセンスに記載されている内容を解説する』です。
ベトナムに進出する際に「会社設立」という選択肢でなく「駐在事務所」でまず様子を見るといった選択肢を取る会社様もあると思います。
この記事のもくじ
駐在事務所ライセンスの全体像
ベトナム駐在事務所のライセンスの全体像は以下のようになっております。全部で7条あります。
- 日本本社の情報
- 駐在事務所の情報
- 駐在事務所の住所
- 駐在員事務所長の情報
- 事業活動の内容
- 駐在事務所の活動期間
- ライセンスの部数
それぞれ解説していきます。
1条:日本本社の情報
日本本社の情報が記載されます。
- 法人名や法人番号
- 住所情報
駐在事務所は、法人格がありません。そのため、駐在事務所の決算書(B/SやP/L)は存在しません。法人税もVATの政府への納付義務も発生しません。個人所得税のみが論点です。
日本において設立され、登録されている会社で、1年以上営業活動を継続している会社がベトナムに駐在員事務所を設立することができます。
2条及び3条:駐在事務所の情報
つづいて駐在事務所の情報です。2条では駐在事務所の名称が記載されます。THE REPRESENTATIVE OFFICE OF 「日本の会社名」のようになるでしょう。
3条には駐在事務所の住所が記載されます。
4条:駐在事所長の情報
4条は駐在事務所長の情報です。会社ではないので「所長」です。
- 名前
- 性別
- 国籍
- パスポート情報
- 住所(日本)
が記載されます。
兼任が禁止されており、以下の役職に同時に就くことができません
- 同じ外国法人の支店の代表
- 他の外国法人の支店の代表
- その外国法人の法的代表者又は、他の外国法人の法的代表者
- ベトナム法律に従い設立する経済組織の法的代表者`
cのところでよく質問を受けます。駐在事務所から法人設立に移行するパターンが実務上あるからです。その時、駐在事務所と法人がどうしても両方存在する期間が生じてしまいます。
5条:駐在事務所の事業活動の情報
5条は駐在事務所としての機能・事業活動(事業領域)の内容が記載されます。注意点としては「駐在事務所」は営利活動を実施してはいけないという点です。
6条:駐在事務所の活動期間
6条は駐在事務所の期間について記載されます。
駐在員事務所の存続期間は法律上5年です。ただし、これを更新することにより5年を超えて事務所を存続させることが可能で実際にもそのようにして5年を超える期間で活動しているケースが多くあります。
7条:ライセンスの部数と保管場所
最後は形式的な点です。部数と保管場所について記載されています。2部の原本が準備されます。
本日のまとめ
今日はベトナムの駐在事務所について解説させて頂きました。
- 日本本社の情報→ベトナムに法人格なし
- 駐在事務所の情報→法人格がないので法人税やVATの国への納付義務がない。個人所得税のみ
- 駐在事務所の住所→正式な住所
- 駐在員事務所長の情報→氏名や住所、パスポート情報も
- 事業活動の内容→事業領域が記載される。ただし営利活動はできない
- 駐在事務所の活動期間→5年
- ライセンスの部数→2部
いかがでしたでしょうか?お役に立てればさいわいです。