こんにちはラボの菅野です。
本日のテーマは『駐在事務所の駐在員の所得税の申告は’四半期のままでいいの?』というテーマでお伝えします。
もしあなたがベトナムに駐在事務所を設立して個人所得税(以下PIT)の申告を四半期で実施している場合は要注意かもしれません。(ただこちら意見がわかれてるし正直税務局の意見は論理的じゃないと私は思っているので最終判断は必ずあなたが依頼している専門家に相談してください)
この記事のもくじ
月次で個人所得税を申告しないといけないという意見もある
駐在事務所の場合の個人所得税の申告書(05/KK-TNCNじゃなくて02/KK-TNCN)は毎月申告する必要がある(という考え方もある)
税務の知識がある人からするとえー!って感じですよね。これまで四半期で申告された人も多いと思います。なぜこのような疑問が浮かぶかというと…。
- 駐在事務所はそもそも付加価値税(VAT)の申告という概念がない。(後述でVATとPITの申告の関係を解説します)
- 駐在員はベトナム現地から給与という概念が当てはまらない。ベトナムに帳簿がない。
この2つがあるからです。そう考えるのが普通でしょう。法律にも沿っています。
前提として必要な知識
上記ではまず結論を申し上げましたが前提として以下の知識が必要です。
申告書(月次・四半期)の種類は「02」と「05」がある
- 「02/KK-TNCN」→日本本社から受け取った給与に関する申告書
- 「05/KK-TNCN」→ベトナム法人から受け取った給与に関する申告書
日本口座に入金される給与は「02」で、ベトナム法人から給与は「05」です。このあたりも違和感があるのですが駐在事務所の場合は「05/KK-TNCN」が利用されます。ここについてもM-Labで解説していきます。
法令による個人所得税の申告の頻度
126/2020/ NĐ -CPという政令の9条によれば以下のように定められています。
- VATの申告が月次であればPITの申告も月次
です。
VATを月次で申告・納税する対象は、連続で満12ヵ月以上活動しており、かつ前年売上高が500億VND超の法人です。比較的な売上の大きな会社は「月次」となります。
Article 9. Conditions for quarterly declaration of VAT and personal income tax
1. Conditions for Quarterly declaration
a) The following taxpayers may declare VAT quarterly:
a.1) Any taxpayer that declares VAT monthly as prescribed in Point a Clause 1 Article 8 of this Decree and has a total revenue from sale of goods and services in the previous year of up to 50 billion VND. The total revenue shall be determined according to the VAT returns during the calendar year.
In case the taxpayer declares tax for all dependent units and business locations at the headquarters, the total revenue shall also include that of the dependent units and business locations.
引用元:126/2020/ND-CP
オフィシャルレターの5911/CTHN-TTHTの解説
冒頭で申し上げた結論の元ネタはオフィシャルレターの5911/CTHN-TTHT(ハノイ税務局,2021年2月26日)です。ポイントをまとめると以下のようになります。
上記の規定に基づき、ハノイのJCBインターナショナルタイランドカンパニーリミテッド駐在事務所が収入を支払う組織であり、付加価値税を申告する対象ではない場合、当該単位は126/2020/ND-CP号決定の第8条第1項に規定されている通り、月次で個人所得税を申告します。
あいかわらずロジックはいけてないと感じました。国語力というかそういうレベルの問題のようにも感じたりします。上記のロジックは「付加価値税を申告する対象でない場合」は、126/2020/ND-CP号決定の第8条第1項、つまり、原則である毎月申告だよという考えです。
じゃあ四半期でもいいでしょ!ってつっこみどころ満載です。むしろ駐在事務所には売上がないのだから四半期のほうが論理的ですよね。
Article 8. Taxes declared monthly, quarterly, annually, separately; tax finalization
1. The following taxes AND other amounts collected by tax authorities have to be declared monthly:
a) Value-added tax (VAT), personal income tax. Taxpayers who satisfy the requirements specified in Article 9 of this Decree may declare these taxes quarterly.
引用元:126/2020/ND-CP
ここからよる詳しい分析や判断基準は、M-Labで詳しく解説していきます。
まずは結論だけおさえてももらってもかまいません。ただ、最終判断については気をつけてくださいね。
「駐在員事務所の駐在員の申告書はどうやら毎月という考えもある。ある地域の税務署は毎月申告してねという回答を出している」
です。時々、税務のロジックってよくわからないあと感じることがありますがこのトピックもその例ですね。まあ変、よくわからない、ロジカルじゃない、税務当局によっていうこと違う‥
だから我々のような事務所のニーズがあるのでなんとも言えないのですが。すこしでもお役にたてれば幸いです。