こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。
ベトナム財務省は、2017年に個人所得税の改正案を発表しました。
(2017年8月と2018年1月)
ベトナムの個人所得税、、、、。ベトナムで働いている方は気になりますよね。
本日は、ベトナムの個人所得税の税率改正についての内容とその解説をしていきたいと思います。
この記事のもくじ
変わらない部分もあります。
この改正ですが、変更しない部分もあります。
まずはこの変更しない考え方をおさえましょう。普遍的な考え方です。
●累進課税である
累進課税とは、所得(給与)が上がるたびに税率が上がるという事ですね。
お金持ちは、税金がたくさん払ってね!ってということです。
●税率の幅
税率の幅は現行の5~35%を維持されようです。
この点は変更ありません。
今回の改正案の内容
なにが変わったかと言うと、、、、。
累進課税のグループを現行の7段階から5段階に変更されます。
それに伴って、所得と税率負担の関係がこれまでと変わります。
具体的な税率と金額の変更は、以下の通りとなります。改正案は2つあります。(クリックすると、画像が大きくなります。)
ベトナムドンだとちょっとイメージしにくいですよね。仮に日本円だったらどうでしょう?
(VNDを200でわるとおおよその日本円が算出されますよ。)
この改正の狙いはなんだ?
これには、2つあると言われています。
それは、①低所得者の税負担の軽減と②中間層からの税収増加です。
ベトナムでは、給与水準が上昇する一方ですよね。いわゆる中間層が増加するといわれています。この人からの税収を増加するという一方で、低所得者の人々については負担をへらしてあげようと狙いがあるようです。
個人所得税改正案を具体的に検討する。
前述したように、改正案は2つありました。
現行のケースを含めて、具体的な金額を使って検討したいと思います。
以下の表をご覧ください。
まずは現状どうなっているでしょう?
次に案1です。
最後に案2です。
まとめてみましょう!
結局、個人所得税増えてない?この改正案2つの違い
上記の具体的な金額から、改正案1と改正案2の考え方の違いがわかります。
それは……。
●改正案1は、個人所得税を軽減する。(税収が減る)
●改正案2は、個人所得税の税額を増加させる。(税収が増える)
です。
財務省は、以下のように考えているようです。
ベトナム財務省は個人所得税改正草案で、国庫歳入を1兆3000億ドン(5850万ドル)削減することになる案と、5000億ドン(2250万ドル)増やす案の二つの案を提示している。
この点、財務省は、案2を推しているようですね。税収が増える案です。
一方で、あるエコノミストは、個人所得の負担増するべきでないと案1を推しています。
ベトナム経済への影響
仮に、案2が適用されると、個人から差し引かれる税金が増加して、手取りが減ってしまいます。
そうすると、個人の消費が冷え込んでしまう可能性がありますよね。
現在、ベトナムでは1000万~1800万ドン(5万円から9万円)の所得層が大部分をしめているようです。この人達の消費が減ると経済への影響は大きいですね。
さらに、もしかしたら、脱税したいというマインドになる可能性だってあります。
財務省が、今考えているように、単純に国にとって、税収(VATも含めて)が増える。という構図にならないかもしれません。
消費が冷え込めばVATは減りますし、個人の所得を申告せず脱税すれば税収は減るからです。
ただ、ベトナムの成長は著しいです。その勢いから、「ちょっと個人所得税が増えてもそんなの関係ねー」と言う可能性もあります。
日本人への影響は?
それでは、ベトナムで働く日本人への影響はどうでしょうか?
2つにわけるとわかりやすいです。
①駐在員
②現地採用の人
まず、①の駐在員様ですが、個人への影響はないかと思います。なぜなら、給与はネット保証だからです。
グロスアップした個人所得税を会社負担、、、果たして税務上の処理は?
しかし、個人所得税の税金は会社が負担しているので会社負担の税金が増加します。
ただ、一人あたり年間で4万円くらいです。
次に現地採用の方はどうでしょう?
駐在員様と違って、ネットではなくグロスで給与が決定されているケースがほとんどです。そのため、所得税率の変更は手取り額に影響を与えます。
仮に、グロスで25万程度の人であれば、年間で3万円程度手取りが減ってしまうと考えられます。
逆に案1が採用されるとすれば、年間で約165,000円の手取りが増加することになります。
この差は、正直でかいですよね。(ただ、財務省は案2を推しているようです、、、。)
本日は、ベトナムの個人所得税の改正草案についてお話させて頂きました。
あなたが、個人所得税の改正についてきちんと理解することにより、より合理的な計画を策定できるようになることを祈っております。
それでは、また!