こんにちはマナボックスの菅野です。
今日は「紙幣の歴史とそのメリットとデメリット」というテーマでお伝えしていきたいと思います。
最近、新しい紙幣が発行されましたよね。約20年ぶりに1万円札、5000円札、1000円札の「顔」が変わりました。
今現在、私はベトナムに暮らしていますが「紙幣」を使うことはほぼありません。QRコード決済です。個人商店のカフェ、市場などでも「紙幣」を使うことはほぼありません。そちらの方が便利だからです。
この記事のもくじ
そもそも新紙幣を発行する理由とは?
調べてみると定期的に新紙幣が発行されています。20年くらいごとにに発行さてているようですね。じゃあ、なぜ?ってことなんですけど主な理由は以下です。
- 偽札防止
- タンス預金の炙り出し(海外ではブラックマネーも)
新紙幣の発行は、偽造防止技術の最新化を図るための重要な手段です。時間の経過とともに、民間の印刷技術が進歩し、既存の紙幣が偽造されるリスクが増大します。実際に偽札は作られてしまったことがありますよね。
このため、約20年ごとに最新技術を採用した新紙幣を発行する必要があります。新紙幣には、3Dホログラムや高精細なすき入れ技術など、最新の偽造防止技術が導入されており、偽造が非常に困難な設計となっています。
60兆円?のタンス預金をあぶりだして経済を回そう!
またタンス預金の炙り出しの目的もあるでしょう。タンス預金とは、家に保管されている「紙幣」のことです。なんと、日本国内でのタンス預金は、約60兆円と推定! 大きな金額ですよね。この巨額の現金が経済に与える影響は無視できず、タンス預金を表に出すことで経済活動の活性化が期待されています。タンス預金は「死に金」であって、旧紙幣が利用できなくなることで世の中にまわりますよね。消費されて結果的に税収も増えるでしょう。
あと、私は2013年から2016年までインドに住んでいたのですが「ブラックマネー撲滅」のため紙幣を廃止して新しい紙幣を発行する場合もありました。2016年11月8日、インドのモディ首相はテレビで突然、500ルピー札と1000ルピー札を廃止することを発表しました。この発表は事前の予告なしに行われ、国民に「やべーな」ってかなりびっくり!ものすごい焦っている人もいました。
この廃止された紙幣は、流通している紙幣の約86%を占めていたというのだからものすごい影響ですよね。当時の銀行には旧紙幣を持ち込む人でいっぱいだったそうです。
この紙幣廃止の主な目的は、偽札や脱税に対抗することでした。高額紙幣を廃止することで、現金で多くの資産を持っていた富裕層の「ブラックマネー」を表に出させる狙いがありました。
その他にも調べてみたところ以下のような理由があるそうです。つっこみどころもあるのですが‥‥。
- ユニバーサルデザインの変更で使いやすく
- 経済活性化(設備投資)
新紙幣に対応するため、企業はATMや券売機などの設備を更新する必要がありますよね。これにより、キャッシュレス決済に対応した機器の導入が進むことが期待されるからです。
新紙幣発行で期待されるキャッシュレス化、なぜそうなるのか?
新紙幣なんて発行してまた無駄なことをしていると思う人もいたかもしれません。ただ、これによって「キャッシュレス化」が進むという理由もあります。
新紙幣でなぜキャッシュレスが進むのでしょうか? 調べてみると
- 新規の設備導入するの面倒だし大変そうだからこれを機会にキャッシュレス化しちゃえ!
新紙幣発行時には、ATMや自動販売機、POSシステムなどの機器も対応する必要があるでしょう。これには多大なコストと労力がかかります。一方、キャッシュレス決済のインフラは既に多くの場所で整備されており、この機器更新の負担を避けるためにも、キャッシュレス化が進む可能性があるのです。
前述のインドの事例としても、紙幣廃止は電子決済の普及を促進し、経済の透明化や効率化につながる側面もあったそうです。ふむふむ。
キャッシュレス化の国別の状況
じゃあ、他の国はどうなっているのでしょうか? 時期によって比率に若干差があるでしょうけどおおよそ以下のような感じです。日本がまだまだ低いことがわかりますよね。意外ですがドイツもかなり低い!
国 | キャッシュレス決済比率 | キャッシュレス化の状況 |
韓国 | 94.70% | 韓国はキャッシュレス化の先進国であり、モバイル決済やQRコード決済が広く普及しています。政府の政策も後押ししており、現金使用が大幅に減少しています。 |
中国 | 約60% | 中国では、WeChat PayやAlipayなどのモバイル決済が急速に普及し、特に都市部では現金を使わない生活が一般的です。政府もデジタル人民元の導入を進めており、キャッシュレス社会を目指しています。 |
カナダ | 62% | カナダではクレジットカードやデビットカードの利用が盛んで、キャッシュレス決済が日常的に行われています。 |
オーストラリア | 59% | オーストラリアでもキャッシュレス決済が広く普及しており、特にタッチ決済が一般的です。 |
シンガポール | 57.60% | シンガポールは、政府の強力な推進政策により、電子決済のインフラが整備され、キャッシュレス化が進んでいます。 |
スウェーデン | 48.90% | スウェーデンは、現金の使用が減少し、ほとんどの取引がデジタル決済で行われています。政府は現金の使用を減らす政策を進めています。 |
アメリカ | 47% | アメリカでもクレジットカードやモバイル決済が広く使われており、キャッシュレス化が進行中です。 |
フランス | 44.80% | フランスでは、クレジットカードや電子マネーが普及しており、キャッシュレス決済の利用が増加しています。 |
ドイツ | 17.90% | ドイツは他の国に比べてキャッシュレス化が遅れているものの、徐々に電子決済の利用が増えてきています。 |
日本 | 32.50% | 日本におけるキャッシュレス化は、近年徐々に進展していますが、依然として他国に比べて普及率は低い状況です。2021年時点でのキャッシュレス決済比率は約32.5%であり、韓国や中国といった国々に比べると大きな差があります。 |
韓国がすごいですよね。じゃあどうやって進めたのか?をまとめると、
- 政府の強力な政策や技術を導入。政府は法整備や税制優遇措置を実施し、電子決済の普及を推進しています
- KakaoPayやNaver Payなどのモバイル決済が急速に普及させた。QRコードやNFCを利用したタッチ決済が人気。店舗や飲食店には決済端末が整備され、現金不要での支払いが可能です。
- 教育や啓発活動を通じて消費者の意識を高めた。ポイント還元や割引などの経済的なインセンティブも提供されています。
です。政府の力が大きいということがわかりますね。日本も政府が動けば変化するということです。
https://www.veritrans.co.jp/tips/column/cashless_ratio.html
「紙幣」を使わないことによる3つのメリット
キャッシュレス化によるいい影響をまとめていきたいと思います。いろいろありますけど
- 見える化、経済の透明性
- 便利になる
- コスト削減
見える化、経済の透明性
キャッシュレス決済では、すべての取引がデジタル記録されるため、不正行為や脱税の防止に繋がります。経済活動の透明性が高まり、政府や企業にとっても管理が容易になるでしょう。脱税も困難でしょう。
「紙幣」だと、賄賂・裏金、なんでもできちゃうんですよね。記録に残らないからです。
利便性の向上
キャッシュレス決済は、スマートフォンやカードを使った簡単な操作で支払いが完了するため、現金を持ち歩く必要がありません。これにより、支払い手続きが迅速かつスムーズになり、消費者の利便性が大幅に向上します。
私も今現在、紙幣を使うことがほとんどなくなりました。自分自身の買い物、割り勘、QRコード決済で完了できます。
コスト削減
現金の取り扱いや保管、運搬には多大なコストがかかります。キャッシュレス化により、これらのコストが削減され、効率的な資金管理が可能になります。
現在の日本では、前述の表で説明した通り、「現金」(紙幣)が多く使用されており、ATMの保守管理経費や外食産業の現金取扱人件費だけで、年間8兆円もの金額が使われていると言われているようです。
車が走ることでCO2も発生していることから「キャッシュレス化」はそういった意味でも大事でしょう。なお「キャッシュレス」の技術のルーツは日本です。気になる方は「Felica、日下部」で検索してみてください。
QRコード(デンソーの原田氏)も電子決済(キャッシュレス)も、もともとは日本人が発明した技術であることを考えるとものすごいことですよね。世界を変えています。
それでもやっぱり人間は「紙幣」が好き?
単なる紙切れ(紙幣)に価値があると信じるなんてよくよく考えたら狂っていると思いませんか?でも私たちは「お金」に価値があると信じています。なぜでしょう?それは私たちがホモ・サピエンスだからです。
ホモ・サピエンスは「物語」(虚構)を信じることで繁栄してきたと言われています。もう少し具体的にいうと、お金の価値は、社会全体の合意によって成り立っています。みんなが「この紙幣やコインには価値がある」と信じからこそ、その価値が維持されているんですね。
「紙幣」が好き!まだ好まれる理由はあるようです。例えば
- 匂い、物理的な存在
です。ドラマとかでもお金(紙幣)を見て安心するシーンとか、札束で人の顔を叩くシーンとかありますよね。
紙幣は特有の匂いを持っており、これが人々にとって心地よいと。この匂いは、紙の素材や印刷に使用されるインクによるもので、触れることで感じることができます。特に、古い紙幣には独特の香りがあり、これが懐かしさや安心感をもたらすことがあります。
うーん、なりほど。確かに「紙幣」の良さはありそうですね。