マナラボの菅野です。

ベトナムでの駐在生活は、新たな文化やビジネス環境に適応する一方で、税務上の課題にも直面します。特に、個人所得税に関する規制は複雑で、住宅手当や交通費など、何が課税対象で何が免税されるのかを正しく理解することが重要です。

以下で解説しているとおり、ベトナムの個人所得税は構造的におさえることが大事です。今日の話しは「あつめる」のところですね。給与や賞与以外のその他の福利厚生などが「課税対象」に含むか?です。

>>【図解!】ゼロから理解する 個人所得税の仕組み 日本とベトナムの比較表付き!

この記事では、ベトナム駐在員が知っておくべき手当や個人費用の課税対象について、わかりやすく解説します。

以下のようにまとめるとわかりやすいかと思います。ただその前提として以下のような視点を持っておくとしっくりきます

  • 本当は個人が拠出すべきものを会社が拠出しているのは税金の対象になるかも

です。

1. 住宅関連の手当や費用

  • 1-1 家賃手当、水道光熱費、住宅管理費
  • 1-2 駐在員の日本帰任時の引越手当、赴任中の引越手当

ベトナムでの駐在員にとって、住宅関連の手当は大きなメリットです。しかし、そのすべてが非課税とは限りません。

とくに家賃のところは論点があります。結論としては「会社系契約」が節税になります。これを理解しておきましょう。

>>ベトナム所得税で年間で2000ドル以上の違いも? 知らないと損する、ベトナムでの駐在員の家賃

2. 健康関連の費用

駐在員やその家族の健康は企業にとっても大切です。幸い、健康診断に関する費用は、条件次第で非課税扱いとなります。

  • 2-1 健康診断費用(会社全体で受診する場合、および労働許可書取得のための場合は非課税)

 

 健康診断の費用が非課税となる条件をしっかり確認し、全社的な健康診断の実施を検討しましょう

会社全体で実施される健康診断や、労働許可証取得のための健康診断は非課税です。企業はこの非課税措置をうまく活用し、従業員の健康維持を図ることができます。

>>ご存知ですか?健康診断費用の個人所得税の取り扱い【3つのパターン】

3. 交通・帰国関連の手当や費用

駐在員にとって、定期的な帰国や家族の移動も重要な要素です。これらの費用も企業の支給次第で課税・非課税が異なります。

  • 3-1 駐在員が休暇で帰国する際の航空券代(社内規定されている場合の年間1往復分は非課税)
  • 3-2 駐在員の家族が帰国する際の航空券代
  • 3-3 駐在員が私用および家族が使用するレンタカー代

社内規定での帰国回数や条件を明確に定め、適切に非課税措置を利用することが推奨されます。

4. 業務関連の手当や費用

業務に関わる出張手当や研修費用も、税務上での取り扱いが重要です

  • 4-1 社内規定で定めた水準を超えた出張手当
  • 4-2 語学研修費用(社内規定を用意し、業務に関連する場合は非課税)
  • 4-3 ビザ・レジデンスカード取得費用(労働許可証取得費用は非課税)

出張手当や研修費用について、社内規定を整備し、税務コンプライアンスを徹底しましょう。

5. 退職および福利厚生関連の費用

駐在員の退職時に支払われる退職金についても、課税されるかどうかは重要な要素です。

  • 5-1 退職一時金(毎月支給の退職年金は非課税)

>>ベトナムで退職した場合、退職金はベトナムで課税されるの?

6. 個人向けの娯楽・教育関連の費用

企業が提供する娯楽や教育費用については、ほとんどが課税対象となります。

  • 6-1 ゴルフプレー代、スポーツクラブ会員費、個人名義のゴルフ会員権
  • 6-2 学校に支払う学費以外の費用(入学金、交通費等)

個人向けの娯楽や教育関連の費用を提供する際には、税務上の影響をしっかり考慮しましょう。

7. 個人に対する業務無関係の費用

  • 7-1 会計事務所への個人所得税申告サービスの費用
  • 7-2 その他業務に関連しない個人に対する費用

会計事務所のサービス費用が特徴的ですよね。7−2は解釈がはいります。当然会社経費でしょ!と認識していても税務担当官のさじ加減で所得の対象になります。例えば

  • 業務で使っているIPADを所得の対象として指摘される
  • 接待交際費を個人の飲食費用だと指摘される
  • タクシー代を個人の目的だと思われる

この辺りについては以下のマインドセットを持つといいでしょう。

 

>>【M-Labo】限定動画 ベトナム税務調査の実態【論理より感情だ!】

>>【M-Labo】限定動画 税務調査のテクニック【行動経済学、心の会計を利用する】

まとめ

ベトナムにおける駐在員向けの手当や個人費用は、複雑な税務規制の対象となります。企業はこれらの規制を理解し、適切に対応することで、従業員の税負担を軽減し、コンプライアンスを維持することができます。駐在員としても、自分が受け取る手当や費用の課税処理について理解し、必要な対策を講じることが重要です。

企業や個人にとって最適なサポートを提供するために、専門の税務アドバイザーとの連携をお勧めします。