2024年11月26日、第15回国会第8回会議において2024年付加価値税法(48/2024/QH15)が正式に可決されました。本法は、2025年7月1日から施行される予定であり、多くの重要な変更点が含まれています。この記事では、以下の3つの視点から新法について詳しく解説します。
- 2024年付加価値税法(48/2024/QH15)は正式に可決されたのか?
- 2024年付加価値税法の新しい点は何か?(これが大事)
- 2024年付加価値税法はいつ施行されるのか?
以下ではドラフトの解説をしていました。
>>付加価値税(VAT)の新しい法律のドラフトを解説!【2024年】
この記事のもくじ
2024年付加価値税法(48/2024/QH15)は正式に可決されたのか?
2024年付加価値税法は、2024年11月26日に国会で可決され、正式に成立しました。この新しい法律は、主に以下の事項を規定しています。
- 課税対象と非課税対象(なにが?)
- 納税者の定義(だれが?)
- 課税基準および税額計算方法(どうやって?)
- 付加価値税の控除および還付条件
この法律の改正により、税率や税還付、課税対象の範囲が大きく変更され、ベトナム国内外の事業者に影響を与えると考えられます。ベトナムに進出している日系企業にも影響はあります。
2024年付加価値税法の新しい点は何か?
2024年付加価値税法(48/2024/QH15)では、課税の対象や税率、税還付の条件、免税基準など、多岐にわたる改正が行われました。これらの改正は、ベトナム経済の発展や輸出促進、また税務行政の簡素化を目的としています。以下に、主要な変更点を分かりやすく解説します。
6つの視点で解説します。
1. 納税者の定義が拡大
新法では、従来の納税者に加え、以下のような新しいカテゴリーが明確に追加されました。
- 外国供給業者: ベトナム国内に恒久的施設(PE)を持たず、電子商取引やデジタルプラットフォームを介してサービスや商品を提供する事業者が含まれます。これにより、国外の事業者にも適切に税負担を課す仕組みが整備されました。FCTと少し混乱してしまいますが、要は、外国の企業でオンラインでベトナムでビジネスしているなら付加価値税も発生するでしょ。ということです。
- プラットフォーム運営者: 電子商取引市場やデジタルプラットフォームを運営し、個人事業主や家庭経営者に代わって付加価値税を控除・申告する責任を負う組織も納税者に加えられます。
この改正は、デジタル経済の成長に対応するための重要なステップといえます。
2. VATの税率の変更
0%税率の範囲の明確化⭐️ ここが気になる!
0%税率の適用対象が明確化されました。特に以下が挙げられます:
- 輸出商品: ベトナム国外で消費される商品や、非関税地域内で輸出生産を直接支援する目的で消費される商品が対象となります。
- 輸出サービス: 外国の組織や個人に直接提供され、国外で消費されるサービスや、非関税地域内で輸出生産活動を支援するサービスが含まれます。
- 新規追加対象: 検疫エリアや免税店で販売される商品も0%税率に含まれます。
これにより、輸出関連活動がより一層促進されると期待されています。
財務省(MoF)が提案したドラフト法案では、国際輸送に関連する特定の海外サービス(ベトナム国外で使用される輸送手段のレンタルや、国際輸送に直接使用される航空・海運関連サービス)に限定していました。以下のリンクで詳細を解説しています。要するにBPOサービスなどでこれまで0%で請求書を発行していたのができなくなる?とかEPE企業向けのコンサル報酬の請求書が0%じゃだめになるかもみたいな話があったんです。
>>付加価値税(VAT)法改正案はベトナムの成長を阻害するかもしれない?【輸出サービスの0%のVAT率が狭くなると…】
この点!朗報です
最終版では、外国の事業者に販売されベトナム国外で消費される商品およびサービスは0%の税率が適用されることを維持しました! つまりこれまで通りってことです。
以下のコンテンツも参考にされてください!
5%税率の変更
- これまで非課税対象だった肥料、漁船、農業用専門機械が5%税率に変更されました。
これにより、国内生産を支援しつつも、適切な税負担を確保する意図があります。
10%税率の変更
- ベトナム国内に恒久的施設を持たない外国供給業者の電子商取引・デジタル事業に適用される税率が、従来の5%から10%に引き上げられました。これにより、外国事業者の税負担が国内事業者と同等に調整されます。
- また、カストディアン(保管)サービスも非課税から10%税率に変更されています。
3. 仕入れVAT控除条件の改正
新法では、仕入れVATの控除条件が厳格化されています:
- 非現金決済書類が必須: 購入金額に関係なく、「非現金決済書類」の提出が必要です。従来の20百万VND以下の場合は不要という規定が廃止されました。
非現金決済書類とは、付加価値税(VAT)控除や税務処理の際に使用される、現金以外の支払い方法が証明される書類を指します。
- 輸出品に関する新たな条件: 契約書、梱包明細書、船荷証券など、輸出に関連する詳細な書類が求められます。これにより、不正や脱税を防ぎつつ、輸出手続きの透明性を向上させます。
4. 課税基準の改正
特定の商品やサービスの課税価格を調整する新しい規定が盛り込まれています:
- 販促品、不動産事業、カジノサービス、および賞金付きゲームなどの課税基準が明確化され、税務計算がより一貫性を持つようになりました。
5. 税還付の新しいケースと条件
新しい税還付のケース
- 税率5%対象商品・サービスのみを生産する事業所で、未控除の仕入れVATが300百万VND以上の場合、税還付を受けられるようになりました。
新しい税還付の条件
- 税還付を申請する際、売主が適切にVATを申告・納付済みであることが必須となりました。これにより、税還付の透明性が高まり、不正を防止します。
6. 免税対象の収入基準を引き上げ(主に個人事業主)
- 年間収入が200百万VND以下の個人事業主および家庭経営の商品・サービスは非課税となります(旧基準は100百万VND以下)。 これにより、小規模事業者への税務負担が軽減され、起業を促進する効果が期待されています!
2024年付加価値税法はいつ施行されるのか?基本は2025年7月1日から
2024年付加価値税法は、2025年7月1日から施行されます。ただし、一部の規定については例外があります:
- 非課税対象の収入基準(200百万VND以下)は、2026年1月1日から施行されます。
まとめ
2024年付加価値税法(48/2024/QH15)は、税率や課税基準、控除条件などに大幅な変更をもたらします。この改正により、事業者は税務手続きの適切な準備が求められます。特に輸出入関連事業者やデジタルプラットフォーム運営者は、改正点を十分に理解し、早期に対応策を講じることが重要です。