〜政令69/2018/ND-CPに基づく実務ガイドと事例紹介〜
こんにちは、マナラボの菅野です!
今回はベトナムでよくある「仮輸入再輸出」の制度と、再輸出時に使える**国境通過ゲート(通関地点)**のルールについて、法律に基づいてしっかり・やさしく・実務目線で解説していきます!
ただ詳細は必ずフォワーダーさんに確認してください!
この記事のもくじ
なぜ仮輸入再輸出制度を理解すべきなのか?
仮輸入再輸出(ベトナム語:tạm nhập tái xuất)とは、
ベトナム国内で商品や機械などを一時的に使用し、再び国外へ輸出する取引形態
のことです。
たとえばこんなケースで使われます。
- 展示会に出展するために日本から機材を一時的に持ち込む
- 外国企業からリースされた設備を使い終わったら返却する
- 医療支援やスポーツ大会で、道具を持ち込んで使う → 帰国時に持ち帰る
こうした場合、ベトナムでは**「一時的に免税で持ち込んで再輸出する前提」**として、税関で仮輸入再輸出の申告手続きを行う必要があります。
📚【法的根拠】:商法2005年 第29条第1項、政令69/2018/ND-CP 第15条・第16条
仮輸入再輸出の的な6つの形態【政令69/2018/ND-CP 第15条】
形態 | 内容 | ライセンス |
---|---|---|
保証・修理・リース | 外国との契約に基づき一時的に輸入して再輸出 | 品目により工業貿易省の許可が必要 |
展示・見本市 | 展示・紹介のために持ち込んで使用後返却 | 原則ライセンス不要 |
測定・試験 | 技術検証や品質試験用に使用後返却 | 不要 |
船舶・航空機修理 | 外国籍の船・航空機の修理用機材を一時使用 | 不要 |
医療・文化・スポーツ支援 | 公演・競技・医療活動で使用 | 原則不要。ただし誓約書等必要 |
軍事・公安目的 | 防衛目的の装備など | 国防省・公安省の許可必須 |
🔍 重要な注意点:国内流通が禁止されている商品や、輸出入に制限がある商品については、工業貿易省(MOIT)の事前許可が必要です(政令69/2018 第15条第1項)。
仮輸入再輸出の通関ルート=どこから出入りできる?
実は仮輸入再輸出の最大の盲点がここです。
どのゲートから再輸出できるかが、政令で明確に決まっているんです。
📚【根拠】:政令69/2018/ND-CP 第16条
原則:国際ゲート・主要国境ゲートからのみ可能
仮輸入品の再輸出は、
- 国際ゲート(cửa khẩu quốc tế)
- 主要国境ゲート(cửa khẩu chính)
と呼ばれる政府指定の通関可能ゲートからのみ原則許可されます。
副ゲート(cửa khẩu phụ)での再輸出は「条件付き許可制」
副ゲートを使うには以下がすべて必要:
- 税関・検疫・検査機関が常駐していること
- 貨物処理設備などが整備されていること
- 省レベル(人民委員会)で再輸出が許可されていること
- 再輸出業者が事前に登録・承認されていること
誰でも勝手に副ゲートから再輸出できるわけではありません!
【事例紹介】仮輸入再輸出のよくあるケースと通関の違い
イメージですが以下のようなことを思い浮かべてください。
▶ 事例①:日系メーカーがハノイ展示会にロボットを持ち込む
- 形態:展示会出展(仮輸入)
- 再輸出ゲート:ノイバイ国際空港(=国際ゲート)
- ライセンス:不要
- ポイント:展示終了後すぐに税関へ「再輸出申告」を行う。遅れると課税対象に。
▶ 事例②:日本本社から借りた中古設備をリース終了後に返却する
- 形態:リース機器の返却(仮輸入)
- 再輸出ゲート:ハイフォン港(=主要ゲート)
- ライセンス:商品により要(例:特定の測定機器は工業貿易省の管理対象)
- 注意点:リース終了後に返却しないで使い続けると、使用目的変更+課税対象になる(政令59/2018/ND-CP 第12条)
▶ 事例③:サッカーチームが短期遠征で持ち込んだ用具を再輸出
- 形態:スポーツ用具の仮輸入
- 再輸出ゲート:空港
- ライセンス:不要
- 注意点:空港税関にて出入国時の機材リスト管理を厳格に行う必要あり。公演・競技・医療目的の機材は誓約書や受け入れ許可文書が必要(政令69/2018 第15条)
副ゲートで再輸出するにはどうするの?
副ゲートを使用するには、以下のステップで事前登録が必要だそうです。
📝 登録の流れ(政令69/2018/ND-CP 第16条)
- 省産業貿易局(Sở Công Thương)へ申請書提出
- 必要書類(再輸出申請書・営業登録証など)を提出
- 人民委員会による審査・承認(最大10営業日)
- 再輸出許可業者として公示される
- その後、税関で再輸出手続き実施
※ 不正・密輸が起きた場合は、その副ゲートでの再輸出は一時停止される(同第16条第2項g)
まとめ|制度を正しく使えば、通関は怖くない!
確認項目 | チェック |
---|---|
仮輸入再輸出の目的は明確か? | ✔️ |
商品は制限品・禁止品に該当しないか? | ✔️ |
再輸出ゲートは適切に選ばれているか? | ✔️ |
必要書類(誓約書・ライセンス等)は揃っているか? | ✔️ |
副ゲート利用時は事前登録済みか? | ✔️ |
法的根拠一覧
以下です。
- 商法2005年 第29条
- 政令69/2018/ND-CP
- 政令59/2018/ND-CP(