税務当局の見解をすげのがわかりやすく解説します!

こんにちは!マナラボのすげのです。

今日は、ベトナム全国の会計・経理担当者を悩ませているテーマ、そう、「インボイスにどの住所を書くの問題」について深掘りします!

2025年7月1日、行政区画の大規模な再編が行われ、町名やワード名がガラッと変わりました。
でも…事業登録証はそのまま。

じゃあ、インボイスには旧住所を書けばいいの?それとも新しい行政区画名?

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 税務当局の“公式な声”が出ました(出典あり)

まず、税務局の公式な見解が2025年6月30日付のThanh Nien紙にて紹介されました。
この記事によると、財務省税務局専門部の担当者はこう発言しています!

「企業は事業登録証(ERC)を修正する必要はない。旧住所のままでも、電子インボイスは通常通り発行して構わない。」
「税務局側で新住所をシステムに反映しており、その通知を使えば説明は可能。」
— Thanh Nien紙(2025年6月30日)

https://thanhnien.vn/cuc-thue-len-tieng-ve-cach-ghi-dia-chi-tren-hoa-don-dien-tu-tu-17-185250630114754112.htm

これは、一時的な移行期間における“罰則なし”運用を正式に認めたもので、現場にとっては非常にありがたい対応ですよね。

「税務局から通知あり」ってどういう意味?

実務で一番混乱するのがここ。「通知が来たら新住所書いてもいい」と言われても…

 通知とは何か?

通知とは:税務局が納税者に対し、登録されている住所を新しい行政区画に更新したことを公式に伝えるもの

通知の形式

以下のいずれかで届くらしいですよ。実務的にはまだ不明なところもありますが。

  • 電子税務取引アカウント(eTax)上の通知
  • 法定代表者の登録メールアドレス宛にPDFで届く
  • Etax Mobileアプリにプッシュ通知で配信される
  • 公文書1689/CT-NVT(2025年6月10日発行)添付の「付録I」様式の通知

この通知は、インボイスに新住所を記載する法的根拠になります。

ベトナムインボイスへの住所記載のケースをすべて整理しました!

さて、「登録証の住所」と「インボイスに表示される住所」が一致しないケース、今まさにたくさん発生しています。

というのも、2025年7月1日からの行政区画再編で、地名(ワード名やディストリクト名)が変わったのに、事業登録証明書(ERC)はそのまま

一方で、税務局側では新しい地名に基づいて、登録住所を自動で更新しています。

さらに、企業が使っているeインボイスソフト(MISAやVNPTなど)でも、住所が旧表示のままになっていたり、逆に自動で新しい住所に切り替わっていたりして、現場は混乱気味。

ポイントは、「どの情報を根拠にインボイスを出すか」

そこで整理したいのが、次の4つの要素です。

  1. 事業登録証の住所:登記された法人の「公式住所」。行政区画変更後も、変更していなければ旧住所のまま。

  2. eインボイスソフトの表示住所:インボイス発行時に表示される自社住所。更新済かどうかはソフト提供会社や設定により異なる。

  3. 税務局からの通知の有無:税務局が「あなたの住所を新行政区画に更新しました」と通知してくれているかどうか。

  4. 実際にインボイスに記載する住所:お客様や税務当局に提出する、いわば“表に出る住所”。

実務ではこの4つがズレてくる

例えば、「登録証の住所は旧住所」「インボイスソフトも旧住所」「でも税務局からは新しい住所で通知が来た」という状況、よくあります。
また、「通知はまだ来てないけど、ソフトが勝手に新住所に切り替わった」なんてケースも。

そんな現場の混乱を整理するために、次のマトリックス(対応表)をご用意しました!

以下では、4つの観点の組み合わせによって、どの住所でインボイスを発行すべきか/発行しても問題ないかを、ケース別に明確に分類しています。

この表を見れば、「自社はどのパターンか」「そのままインボイス発行していいのか」が一目でわかるようになっています。

※なお、すべてのケースにおいて、法令に基づいた根拠と税務局の運用方針に基づいて判断しています。
嘘や推測はありませんので、安心して読み進めてくださいね。

ケース事業登録証の住所eインボイスソフトの表示住所税務局通知インボイス記載住所備考
旧住所旧住所✅ あり新住所でもOK通知PDFを保管すれば説明可能
旧住所旧住所❌ なし旧住所罰則なし。移行期間中の暫定措置
旧住所新住所✅ あり新住所ソフト会社による自動更新に対応
新住所新住所任意新住所問題なし。登録証も整合済み

 根拠となる法令・通達まとめ

  • 政令123/2020/ND-CP 第10条
     インボイスに記載する販売者の住所は「登録証に記載された住所に基づく」と規定。

  • 政令70/2025/ND-CP 第1条第7項
     購入者の住所情報についても登録証等と一致させることを規定。

  • 財務省公文書1689/CT-NVT(2025年6月10日)
     税務登録システム上の新住所更新、および納税者への通知義務を明記。

  • 財務省公文書4370/BTC-DNTN(2025年)
     行政区画変更時でも、事業登録証(ERC)の修正義務はないことを明確に規定。

実務上のおすすめ対応

ポイントをリストアップしますね。

  • 「通知あり」の場合は、通知文書をPDFで保存・印刷しておく
  • 顧客から住所違いを指摘された場合は、通知を根拠に説明
  • eインボイスソフトで表示住所が新旧どちらになっているかを事前に確認
  • 余裕があれば、事業登録証も同時に新住所へ変更するのがベスト(義務ではない)

まとめ:焦らず、でも通知の確認は必須!

  • 「登録証とインボイスの住所が違う=違反」ではありません。
  • 税務局が柔軟対応を認めており、現場も安心してインボイスを発行可能
  • 大事なのは、通知の有無を把握することと、それを根拠に説明できる準備です。

以上、今回は「インボイスの住所、どっちを書けばいいの?」問題を税務当局の見解に基づいて解説しました!
ご不明点があれば、ぜひコメントやお問い合わせください。