こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。
実地棚卸は、とても重要な手続きです。なぜならば、それはあなたの通知表である損益計算書に重要な影響を与えるからです。
経理部門から「製品、商品の棚卸をやれー!」って言われてイヤイヤやっている。
そんな風に感じていませんか?それでは、実地棚卸とはなんでしょう。まずはその意味を明らかにして行きましょう。
実地棚卸の定義
実地棚卸とは、一定時点で保有する在庫の実際の数量をカウントし、在庫数として確定させ、一定時点での在庫金額の計算を行うこと。
あなたは、実地棚卸の目的をこのように思っていませんか?
「月末の棚卸資産の数量と金額を確定させること。」
「そして、売上原価を確定させること。」
おしい!これだと半分正しいですが、半分不正解です。あえて半分って言っちゃいます。
正解とは言えないのですね。
本日は、実地棚卸をなぜ行うのか?その本当の目的は?そのことについて解説していきます。実地棚卸の本当の目的が理解できれば、正しいやり方を実践できますよね。そうすれば、会社の本当の姿が見えてきますよ。
実地棚卸の真の目的とは?
「会計帳簿の在庫数量(理論上)と実際の在庫数量との違いを見つける。そして、その原因を追求すること」
です。
もし、それをしなかったら…。簡単な例で見ていきましょう。
パターン1
- 1)商品を1,000を仕入れた。
- 2)実地棚卸を実施したところ200であった。
- 3)1000-200売上原価(損益計算書)の金額を確定した。800
パターン2
- 1)商品を1,000を仕入れた。
- 2)商品が700売れた。売上原価を700として計上した。帳簿上(理論上)の在庫は300。
- 3)月末に実地棚卸を実施したところ200であった。
- 4)その300と200の差額って????
この4が大事です。原因を調査することがとっても重要なんですよね。
前提として管理しなければいけないこと
お気づきになりましたでしょうか?
1と2の違いはなんでしょう?それは、ずばり!
商品や製品の在庫の入出庫の管理をしているか?いないか?の違いです。在庫の仕入れと出庫をきちんと記録しているかということですね。
そもそもこの管理をしていないと理論値と実際の差がわかりません。
実際の数量と理論値の差額を調査すると何がわかる?
まず、ミスがわかります。
人間ですからミスはつきものです。
在庫の数え方のミス
例えば、商品の一部が倉庫の隅っこにあったとします。見つけづらいですよね。そのため、実地棚卸から漏れてしまいました。たとえ、その場合でも理論値と実績の差がでますから、調査の対象になりますよね。
しかし、理論値がない場合は、そのカウントしなかった分が消費されたと認識されてしまいます。売れてないのに売上原価として計上されてしまうのですね。そして、次が、とても重要です。
盗難、横領がわかる。
入出庫の記録を取っていない場合、在庫が、もしなくなってもそれがスルーされてしまいますよね。
気が付きません。
以下のようにイメージするといいでしょう。
- 1)商品を1,000を仕入れた。(商品が100が横領されてしまった。)
- 2)実地棚卸を実施したところ200であった。
- 3)1000-200が売上原価(損益計算書)の金額を確定した。800
水色のところの原因が、わからないですよね。
実地棚卸はしているけど、月末の数量を確定しているだけ…。そんなケースが以外と多かったりするんですよね。
実際の話を紹介させてください。新興国での話です。
現場からの内部通報で製造現場から原材料が盗難されていた。結果的に、その金額は1千万以上。その盗難に関わっていた従業員は、原材料を転売して大儲け。
嘘のような本当な話です。
(不正については不正のマインド変える方法と海外子会社の売上が5%も失われている?でも記載しておりますのでどうぞ。)
なぜ、すぐに気が付かなったのか?勘のいいあなたはもうお気づきですよね。繰り返しになりますが、
理論上の数量と実際の数量を比較していなかった
からです。
この比較をしていれば、この盗難、簡単に防止することが可能でした。実地棚卸は、理論値と実際を比較するからこそ意味があるのです。あなたの会社が実地棚卸をきちんと理解し、実践することにより、不足の損害を被らないことを祈っています。
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