こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。

「VATが10%から12%に上がる?」

先日、このような情報が入ってきました。ベトナムの財務省(Ministry of Finance):以下MOF が、会合を行い、変更について討議したそうです。

ベトナムのVATの税率が上昇する?

ベトナムのVATの税率について、どのような感覚がありますか?(VATは日本の消費税と同様です。)

10%ですよね。

ただし、以下の場合には他の税率が適用されます。

一定の条件を満たす輸出品とサービスには0%税率が適用されることもあります。
5%税率は必需品・必需サービス(医薬品及び医療機器など)に適用されます。

みなさんが普段、目にする税率は10%だと思います。この税率が10%から12%に上昇する可能性があるようです。今の段階では、2019年1月からだそうです。

ベトナムに住んでいる皆様にとっては、痛いですよね。

出費が増えてしまいますよね。

ベトナムでの税率上昇の背景は?

税率が変更するには必ず理由があります。狙いがあるんですね。

日本だって、消費税が上昇するのには国の背景がありました。例えば、日本であれば、以下の理由があげられます。

高齢化で増え続ける年金や医療・介護にかかる社会保障費用、子育て支援のための財源を増やすため。

それでは、なぜ、ベトナムで税率を今、上昇させる必要があるのか?

それを見ていきましょう。

1)ベトナム政府の財政赤字と公的債務

要するに税収(国のお金)が要求する水準より少ないという事

国の借金が多いと多いということですね。

ベトジョーより

国会財政予算委員会によると、2015年末時点のベトナムの公的債務残高は約2600兆VND(約12兆3000億円)に上り、国内総生産(GDP)の62.2%に相当する。上限とされる65%にはまだ達していないが、残高はGDP平均伸び率の3倍以上の年+18.4%のスピードで増加しており、同委員会は上限を超える恐れがあると指摘している。

 同委員会によれば、国営企業の借金と返済は原則的には当事者である企業の責任だが、企業に返済能力がない場合は、政府の偶発債務となる可能性が高い。そのため、厳格に管理しなければ国の予算を圧迫する恐れがあるという。

このように、税収を上昇させることにより、国の公的債務を減らし行きましょう!というのが背景にあります。

2)関税が減少するから他の税収で賄う必要

ベトナムの関税って高いですよね。30%を超える場合もあります。

しかしながら、将来的には撤廃か引き下げられる予定です。

ベトナム財政省は、日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)、日越経済連携協定(JVEPA)のベトナム側輸入関税引き下げ(撤廃も含む)スケジュールを公表しました。

関税引き下げ期間は2015年4月1日から2019年3月31日までというスケジュールのようです。関税が撤廃、引き下げられるという事は、単純に考えるとベトナムの関税収入が減少するということです。

その分、他の税収で補う必要があります。ベトナム国はVATで税収を補おうと考えたのでしょう。

3)他の国と比較してVATの率が安い?

先にも述べましたが、ベトナムの税率は10%です。

これが他の国と比較して安いから上げてもいいのでは?という議論もあったようです。

日本人からすると10%でも十分に高い税率ですよね。現状は8%ですから。それでは、世界の消費税率はどうなっているのでしょうか?

消費税(付加価値税)の比較

マーケット 世界一は27%!日本は何番?消費税が高い国・低い国ランキングをご覧ください。

確かに欧州の国では、27%のところもありますね!

高い!

こう考えると10%は、まだまだ“低い”と考えることもできるかもしれません。

付加価値税の税率が上昇することによる影響とは?

日本では、消費税を以下のスケジュールで上昇させてきました。

年月首相税率
2014年4月安倍晋三8%
1997年4月橋本龍太郎5%
1989年4月竹下登3%

その時、どのような事象が起きたのでしょう?

ベトナムでも同様のことが起こる可能性は高いです。

駆け込み需要

車やマンションを購入する時、同じものであれば安い方がいいですよね。

税率が上がる前には、必ず「駆け込み需要」が生じます。買いだめしようとするマインドになります。

そのため、お店の在庫がショートするということも起きたようです。

これを見込んで販売側は、在庫を十分持っておくという対策が必要になるでしょう。

駆け込み需要は「需要の先食い」であるため、増税直前に盛り上がった後、反動減がやってきます。

売れなくなるということです。

このことも考慮しておく必要があります。

購買意欲低下、景気悪化

税額が増税されると消費者の負担が増え、購買欲が低減する可能性がありますよね。

「高いなら、買うのやめよ」って感じです。

購買欲が失せると個人消費の支出、特に所得が高くない人の消費支出が大幅に減少する可能性が高まります。

その結果、結果的に国の景気が悪くなってしまうことだってあります。

ベトナムの問題と今後どのようなことが起きるか?

私は、ベトナムに住んで1年ちょっとですが、感じることはあります。

まだまだ、現金取引が多い。

依然として、パパママショップが多数ございます。街を歩けば、個人商店ばかりですよね。

また、ベトナムは農家の方がたくさんいます。

そして、取引自体は、“現金”でされることがほとんどでしょう。

このような個人商店や農家の方が、帳簿をきちんと記録して保管している人が多くいるとは考えにくいです。

したがって、本来税金が発生しているのにも関わらず、税金が国に払われていない可能性があります。

こんなエピソードを紹介しますね。

「レッドインボイスを発行するなら10%プラスになるよ。」

「レッドインボイスは、いらないや」

このような会話、、、、。どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?

実は、これって脱税です。そうですよね。VATの税率の10%分を支払っていませんから。

VATの仕組みについての記事はベトナム付加価値税VATの仕組みを脳みそに焼き付ける!をご参照ください。

結果的に税金を支払っていない人が、たくさん存在するでしょう。(と推測します)

税金を払いたくない(納税者) VS とりっぱぐれをなくす(国)

税率が上がるとそれを払いたくないという人も当然でてきます。

そのため、現金取引を利用して隠ぺいする人たちがさらに増えてくるのではないかと思っております。現金取引が多いと税収を確保することが難しくなってきます。

Face bookの取引に課税できるのか?にその理由を記載しています。

それに対して、ベトナム国はきちんと税収を確保しなきゃ!

と思うので税務調査や制度が厳しくなっていくのではと考えております。

その動きの一つとして(本当に多くある中の一つですが)、ビットコインがあるのかと思います。

8月28日のニュースです。

ベトナムのNguyen Xuan Phuc首相は2018年までにビットコインを正式な支払い形態として認める計画を承認した。

ビットコインで取引がされれば、基本的には脱税は難しくなります。

なぜなら、記録に残るからです。記録に残れば指摘するのはとても簡単です。ベトナムは、税制も含めFintechの動向も見逃せませんね。

※今回のMOFの会合ではほかの税法の変更についても検討されたようです。

詳細は、普段お願いしている会計事務所に確認するといいと思いますよ!