こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。
ベトナムの税法上、法人税上の損金算入及びVATの仕入控除のために非常に重要な条件があります。
それは、
2,000万ドンを超える支払いについては銀行送金を証明する証憑の添付が必要
という事です。
すなわち、2,000万ドンを超える場合には銀行取引を利用しなければならず、それ以下であれば現金取引でもいいということでした。
(ただし、上記に加え、事業に直接関連する費用であることやレッドインボイスがあることが必要ですよ。)
ベトナム財務省(Ministry of Finance) によれば、この現金の条件が変更される予定です。
なにかというと、
2,000万ドンから1,000万ドンに引き下げられる。
大体、日本円で5万くらいですね。
つまり、現金(紙幣のお金)で取引できる範囲が狭くなります。(予定です。)
現金取引の具体的なリスクとは?
現金取引の特徴は、記録に残らないということです。帳簿に記載しなくても、誰にもわかりません。
Face bookの取引に課税できるのか?に詳細を記載しております。
そのため、売上として報告しなくても、発覚しにくいのです。
また、こんなこともできてしまいます。
他で使った「領収書」だけ取っておいて経費にあてるという利用法です。(日本でも行われていますね。)
具体例で見ていきましょう。
例:使途不明金(現金)が2,000万ドンあった。領収書なし。
他でもらった領収書(個人的な食事代)を10枚、集めて2,000万ドンとし「接待交際費」として計上した。
(ちなみにこれは違法です。)
このようにすることで、使途不明金(現金)について、経費に落とすこと(損金算入)が可能でした。
現金取引のリスクは、売上が報告されず、経費も意図的に操作可能となりやすいです。
そのため、国の税収が減ってしまいますよね。
ベトナム政府の意向
デジタル・エコノミーの流れになってきていると言えるでしょう。
デジタル・エコノミーは、現金取引を制限し、電子決済を促進することで、
1)資金の流れの透明化、顕在化
と、
2)取引の効率化を図っていくことを可能とします。
税収の確保を担保するという点では、1)の視点に着目した政策といえます。
また、現金を利用した不正を減らしたいというのも当然ありますよね。
他のアジアの国ではどうなのか?
このようなデジタル・エコノミー、他の国ではどうでしょうか?
損金算入できる現金取引に係る上限を各国ごとに見てましょう。
・インド:2万ルピー(1万ルピーに減少する予定)約3万2千円ですね。
いろいろ調べたのですが、インドだけ調べることができました。
(私は以前、インドで働いていたのでこの決まりについて覚えていたんです。)
日本や他の国については、特にこのような現金取引の上限について決まりはないようです。(調べた限りではありませんでした。)
本日は、ベトナムの現金取引の上限が下がる!ということについて簡単にお話しました。
注意して動向を見て行ってくださいね。
5万円というと、意外とキャッシュで取引してしまう可能性があるのではないでしょうか?
あなたの会社が、ベトナム税務をきちんと理解して、不測の損害を被らないように願っています。
それでは、また!