ベトナムで輸入取引をしている…。でも、ソフトウェアへの入力が遅い…。
こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。
本日は、ベトナム以外の国から、輸入した場合の会計処理(仕入の方ですね。)について解説して行きたいと思います。
もっと具体的に言うと…。
日本(ベトナムから言うと海外)から商品を仕入れた場合、通貨は、日本円(外貨)ですが、記帳は、ベトナムドンで記帳する必要があります。
その時の為替レート(日本円⇒ベトナムドン)を
どの時点の為替レートを使うか?
という話です。ちょっと専門的になりますが、“為替換算”と言ったりもします。
- ベトナムで輸入している会社で、会計処理がよくわからない人
- ベトナムと日本で会計処理が違うのか知りたい人
- 輸入の処理を簡便的に行ないたい人
これを理解して頂ければ、記帳が簡便的に行えますよ!御社のチーフアカンタントの負担も減るかもしれません!
この記事のもくじ
原則的な処理。どの時点の為替レートを使うの?
原則は「発生時の為替レート」です。まとめると以下のようになります。「売上」と「仕入れ」で取り扱いが異なります。タイトルは輸入つまり仕入れになっていますが、「売上」もロジックは同じです。
場面 | 原則の為替レート | 差額の会計への影響(実現損益) | 備考 |
「売上」売掛金及びその他受取債権の認識時および決済時: | 会社が使っている銀行の取引日に公表されるBuyレート(TTB) | 635(損) 515 (益) | 例外あり |
「仕入れ」買掛金及びその他支払債務の認識時および決済時: | 会社が使っている銀行の取引日に公表されるSellレート(TTS) | 上記同様 | 例外あり |
No. 200/2014/TT-BTCという基準に根拠が記載されています。
Article 69. Account 413 – exchange differences
a) Real exchange rates for foreign currency transactions in period:
– Real exchange rate when buying or selling foreign currency (spot contracts of foreign exchange sale, forward contracts, futures contracts, options contracts, swap contracts) : is exchange rates concluded in contracts of foreign exchange sale between enterprises and commercial banks;– If the contract does not specify the exchange rate of payment, enterprises shall record in accounting books in accordance with the following principles:
Real exchange rate upon capital contribution or receipt of contributed capital: is exchange rate of purchase of foreign currency of the bank where enterprises open the account to receive capital from investors at the date of the contribution of capital;
Real exchange rate upon recording receivables is the buying rate of the commercial bank where the customer makes the payment at the request of the enterprise at the time the transaction is made;
Real exchange rate upon recording liabilities is the selling rate of the commercial bank where the enterprise intends to make transaction at the time the transaction is made;
For purchases of assets or expenses paid immediately in foreign currency (not through the accounts payable), the real exchange rate is the rate of purchase of commercial banks where enterprises make payments.
要するにこういう事です。先にも述べましたが
「実際の為替レート」
を使いなさいよ。ってことです。そして、どこが発表している為替レートを使うか?というと、(ただし、為替予約などをしている場合はその契約で定められたレートを使います)
これが原則です。
でも、面倒くさい。手間もかかる。
原則的な処理をイメージしてみましょう。
仕入って、月に一回とかではなく、その都度ですよね。4日に仕入があれば、それ以外の6日、8日、15日や20日にだって輸入はあるはずです。その都度、記帳のためにベトナムやJPY,USDの為替を調べるのって、大変ですよね。面倒です。
そこで!これは、救世主が登場??「おおよその為替レート」でいい
こんな毎回、実際の為替レートつかって会計処理なんてやってられないよ~。と思いませんでしたか?特に、仕入れが多い会社様はそうですよね。正直面倒ですよ…。
結論から申し上げますね。
- ・単一の平均レートを利用が許容されている。(その都度、その日付けじゃなくていい。月次の平均レートでいい)
- ・レートは、実際に利用している銀行のレートを参照する。
例えば3月に利用する「おおよその為替レート」は2月の平均の為替レートを利用することが可能です。根拠条文を確認して、深堀していきましょう。
No.: 53/2016/TT-BTC
- The Clause 1.3, Article 69 of Circular No. 200/2014/TT-BTC is amended and added as follows:
– Where the contract does not specify the payment rate:
+ The enterprise makes entries in the accounting books according to the actual exchange rate: when recording the contributed capital or receipt of contributed capital as the foreign currency buying rate quoted by the bank where the enterprise opens its account to receive capital from the investors on the day of capital contribution; when recording the debts receivable as the buying rate quoted by the commercial bank where the enterprise requires its customer to make payment at the time of transaction; when recording the debts payable as the selling rate of the commercial bank where the enterprise is expected to enter into a transaction at the time of transaction; when recording the asset procurement transactions or costs which are paid immediately in foreign currency (not through the accounts payable) which is the buying rate quoted by the commercial bank where the enterprise makes payment.
+ In addition to the above actual exchange rate, the enterprise can choose the actual exchange rate as the one which approximates the average transfer, selling and buying rate of the commercial bank where the enterprise has regular transactions.
The approximate exchange rate must ensure its difference does not exceed +/-1% compared with the average transfer and sale rate.
The average transfer and sale rate is determined daily, weekly or monthly on the basis of arithmetic average between the daily buying rate and selling rate or transfer rate of commercial bank.
The use of approximate exchange rate must ensure no major effect on the financial situation and result of business and production of accounting period.
何が簡便的に?柔軟?The approximate exchange rate?
シンプルに言うと…。
単一の為替レート
を使用することが一定の条件のもとで可能となったのです。
近似レートっていったりします。The approximateっておおよそっていう意味があります。だいたいでいいんですね?これは、ラッキーですよね。らくちんです。
実務上は、利用している銀行(例:SMBCやみずほであればそのレート)前月末の買レートと売りレートの平均をその月の換算する為替レートに利用するケースが多いです。銀行によっては、為替情報を毎日もらえない場合もありますし。
だいたいでいいけど、こんな場合はダメ
当該「近似レート」を使用する場合には、日次、週次または月次の実際の平均レートとの乖離が、±1%以内となるようにしなければなりません。レートの乖離が1%以内です。
以外と小さい…。
「近似レート」の適用により、あなたの会社の財務諸表に重大な影響を及ぼしてはならないとも規定されています。
だいたいでいいけど、財務諸表が間違っていたらダメってことですね。
★本日のまとめ★
- ・海外からの仕入などがあった場合に、為替レートを利用する必要があるが、原則は「実際の為替レート」(為替予約があった場合は、契約時の時の為替レートを使う。)
- ただし、単一の為替レートを使用することが一定の範囲内で可能。実務上の記帳手続が簡素化される。
- 実際の平均レートとの乖離が、±1%以内でといけない。
本日は、ベトナム会計の為替レートについてお話しさせて頂きました。
あなたの会社が、ベトナムの会計基準を正しく理解することにより、成功することを祈っていますね。
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