利益計画を作成しなければいけない。でも、できない。そんなことってありますよね。特に海外子会社の社長は、やることが多すぎて時間が取れないというのが現状です。

こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。

しかし、経営計画は非常に大事です。誤れば、実績との乖離が出すぎてしまい資金的な理由で経営が揺らぐ可能性もあります。

本日は、利益計画、経営計画の具体的な作成方法、手順について解説していきたいと思います。

本来は、経営ビジョンや戦略、市場調査、競合の状況などの重要なことも必要ですが、今回は数値に絞って解説してきますね。

このように整理すれば、利益計画の策定の一歩が踏み出せるはずですよ。

まずは、構成要素を整理する。ことが必要です。

大きく経営計画の構成要素を、分解すると以下の2つに分類されます。

それは、

①出ていくお金(固定費)を見積もる。

②稼ぐ必要のある、売上・付加価値(粗利)を計算する。

です。

これが大きな構成要素です。

それでは、それぞれ詳しく見て行きます。

①出ていくお金(固定費)を見積る。

これもいくつかの構成要素(必要なパーツ)に分解します。

それは、1人件費、2減価償却費、3一般経費、4未来ための費用、5営業外の費用の5つです。

1:人件費

文字通り人件費です。役員報酬、社員の給与、テトボーナスを含む賞与、法定福利費、福利厚生費などです。

人件費予算の具体的な作成方法

具体的な作成方法は、以下の通りです。

人数計画を策定する。この際、どのポジションの人が何名という風にある程度グルーピングする必要があります。なぜならば、職階によって、給与水準が異なるからです。

例:日本人駐在者、工場長、セールスマネジャー、購買部門長、ワーカー、経理責任者、人事スタッフなど。

次に、給与水準(基本給与)を決定します。この点、海外での水準を深く理解する必要があります。ご存知の通り、日本と海外の給与水準は異なります。これを知らずに高く設定してしまうと利益を算出するのが厳しいという状況に陥ってしまいます。また、低すぎてもいけません。いい人材を採用できないという可能性が生じるからです。

例えば、ベトナムには人材紹介会社がたくさん進出していますので、その人材紹介会社にコンサルを依頼するというのいいえしょう。人材紹介会社以外にも、人事系のコンサルさんも多数、存在致します。

【相場をまずは知る。】

これに尽きると思います。

また、ベトナムは、社会保険料がとても高いです。会社負担が20%超になります。この点も考慮しないと謝った利益計画になってしまいます。

さらに、日本人駐在者の会社で負担する総額についても知らないといけません。通常、グロスアップし個人所得税は会社負担しますし、アパート代を会社が負担しますので、総額はかなりの金額になります。

参考記事:グロスアップした個人所得税を会社負担、、、果たして税務上の処理は?

イメージとしては、手取り700万円の人が、ベトナムに駐在した場合、1300万円超程度のコストがかかります。

2:減価償却額(土地利用権を含む)

固定資産(建物や設備)は、購入したら、すぐに消耗するのではなく、時の経過とともに価値が減っていきます。これを、“耐用年数”によって徐々に費用化するのが減価償却費です。

例えば、1億円の建物を建てても、すぐに1億円が損益計算上に計上されるわけではありません。10年と耐用年数を定めたら、10年で償却(損益計算書に計上)します。1年あたり、損益計算書に計上される金額は1千万円となります。

減価償却費の具体的な作成方法

まずは、投資計画を作成します。大きな投資(土地や建物)については、社長が認識しているでしょう。そのほかの投資については、各部門の部門長から情報を集める必要があります。今年は、○○の投資が必要という情報を集めます。

この際、投資ヒアリングシートなどのフォーマットを用意しておくといいでしょう。

次に、耐用年数を定める必要があります。これは、非常に重要です。なぜならば、年間の償却額(費用額)が変わってくるからです。

ベトナムでは、法律上(税務上)、耐用年数について、レンジ(幅)が定められています。このレンジの幅の中で、実態に近い年数を選択するというのが合理的です。

参考記事:固定資産の耐用年数ってきまってるの? (法人税)

実態とかけ離れた年数を選択して、除却時に多額の特別損失を出してしまったというケースもあるので留意してください。

PLの利益をうのみにしていませんか?減価償却で失敗しない方法

また、ベトナムでは、土地については利用権という形で、長期前払い費用に計上されます。これについては、リース期間によって償却されます。したがって、総額の情報があれば、年度あたりの償却額が計算できます。

参考記事:土地使用権の留意点について (法人税)

3:一般経費

経費科目です。消耗品や旅費交通費、出張費、水道光熱費、交際費、賃借料、発送費用などです。

ポイントは2つあります。

1つ目発生する費用項目を網羅的にリストアップすること。

2つ目は、単価を正しく理解すること。

です。

網羅的にリストアップするといった意味では、ブレインストーミング等で、洗い出す。日本の勘定科目要領をチェックリスト的に利用する。ベトナムの勘定科目一覧を利用するなどです。

単価については、人件費と同様、相場をきちんと確認することです。日系企業だから、単価を高く設定しても大丈夫といサプライヤーは存在します。

4:未来のための費用

これは、会社の未来につながるための費用であり、マーケティング費用や研修費用、研究開発費、コンサル費用のことです。

言い換えると攻めのための費用です。会社が成長していく上では、必要な経費とも言えます。ここにお金を投資しないと、長期的な成長は見込めません。

これについては、予算を大枠で定めて決定します。

5:営業外費用

こちらの典型例は、借入金の支払い利息や、外貨建て債権債務の為替差損益です。

海外、ベトナムに投資している会社は、資金調達として借入を選択している会社も多いと思います。その場合、支払い利息が多額の発生するので、この金額を見積る必要があります。

為替差損益については、外貨建ての項目(借入や売掛など)為替の動向が影響します。見積るのがとても難しいですが、可能な限り実施します。

①出ていくお金を見積もったら次は売上等です。

②稼ぐ必要のある売上・粗利(付加価値)

売上金額を見積る。

売上は、目標販売計画に基づいて決定します。単価×数量となります。

通常、単価は、会社が決定できますし、市場によって決定されている場合もあります。

数量は、業種や、市場の状況によって影響します。

粗利(付加価値)を見積もる。

次に、粗利(付加価値)の見積をします。これは、商品、製品の売上高-仕入や材料費などの外部購入価値で算出されます。

これには、一個あたりの仕入れ金額や原材料費がを見積る必要があります。

仕入金額や材料費の単価は、決まってることが多いと

上記手続きにより、利益計画に必要な構成要素は集まりました。

利益計画を計画する順番

あとは、営業利益や経常利益をいくらにしたいか?によってシュミレーションが可能となります。

これらは、個別にあるのではなく密接に関連してきます。

例えば、必要な営業利益を計算した結果、当初想定していた売上では足りなかった。人員も投資も必要になるというケースもあります。

利益計画の定めかたの順番ですが、様々あります。

②販売計画をもとに、①固定費を見積ケースもありますし、①固定費を見積もってから、②販売計画を見積ケースもあります。

営業利益、利益を算出してから、固定費を見積もるケースもあるでしょう。これは、会社のケースによって厳密には異なってきます。

目標利益の決め方については、別な記事で紹介したいと思います。

あなたの会社が、利益計画を策定することにより、より発展すること祈っております。

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