この記事はこんな人のために書いています。
  • 海外に赴任し、現地社長となっている
  • これまで、会計の知識を体系的に学んだことがない
  • 貸借対照表の意味がよくわからない。見方を学びたい。

こんにちは、マナボックスの菅野です。

財務諸表は、あなたの会社の実態を表現しています。そして、財務諸表には、損益計算書及び貸借対照表があります。

損益計算書は、感覚的にもわかりやすいですし、差し引きの話です。そのため、そこまで難しくないといった意見を頂きます。

おそらく、経理の経験のない駐在員であっても、

  • 「PLはわかる」
  • 「毎月、PLはチェックしている」

といった人が多いです。

しかしながら、貸借対照表について苦手意識を持っている方が本当に多いです。貸借対照表はチェックした事がない。といったベトナム現地社長もいらっしゃいます。

しかし!

これをチェックしないということは、言い換えれば、「ガンであるのにも関わらず、それを放置している」という事です。

本日は、貸借対照表がなぜ、会社の「健康診断書」と言われるのか?を説明していきます。

あなたの体のどこが貸借対照表の一部なのか?と例えることにより、より、貸借対照表への親近感がわきます。さらに、理解が深まり、経営力が高まること間違いなしです!

貸借対照表の資産側をあなたの体に例えると?

是非、以下のようにイメージしてみてください。より、貸借対照表を身近に感じるはずです。

医療に詳しい方から言わせると、まったく違うかもです。あくまでイメージです!

BSの資産の項目

体で言うと?ないとどうなる?会社で言うと?
お金

血液

血液がないと死んでしまう。

現金が底をつくと会社は倒産。

売掛金

栄養素(血液になるもの)将来お金になるもの

在庫

脂肪・贅肉・糖分

会社のために必要ではあるが、多すぎると問題。多すぎると不健康になる。

固定資産

筋肉・骨

体を動かすためには筋肉が必要。寝たきりになる原因は筋肉

売上であるお金のために必要なもの。

貸借対照表からわかる体付きのタイプ。やせ型?ムキムキ?肥満型、おデブ?

あなたは、以下の3つの会社があったらどの会社が魅力的だと思いますか?

資産は、どの会社も10,000です。

 V社E社

T社

資産

10,00010,00010,000

でも、これだけだとわからないですよね。

あなたが経営判断するためには、もっと中身の情報が必要です。それは①血液、②栄養素、③脂肪・糖分、④筋肉・骨でしたね。

項目V社E社

T社

①お金

6,0002,5001,000

②売掛金

500500500

③棚卸資産

5001,0006,000

④固定資産

3,0006,0002,500

合計

10,00010,00010,000

図解でイメージにすると、以下のような感じです。

それぞれどのタイプか説明していきます。

V社は、「やせ型タイプ」(細マッチョ)

V社は、脂肪(在庫)がほとんどなく、ほどよく筋肉(固定資産)があります。そのため、やせ型と言えますね。

E社は、「ムキムキ」タイプ

E社は、脂肪(在庫)が少なく、筋肉(固定資産)が多いため、筋肉質な「ムキムキ」タイプだと言えます。

T社は、「おデブ、肥満型」タイプ

T社は、極端に、脂肪(在庫)が多い水準となっています。したがって、「おデブ、肥満」タイプだと言えますね。

一方で、血液(お金)は、非常少ない状況なので、貧血気味かもしれません。

業界別で言うと?具体的な会社でイメージしてみよう!

上記で説明させて頂いた3つのタイプを、実際の業界別では?という視点で見ていきます。より、理解が深まります。

3つのタイプがありました。

やせ型⇒在庫が少ない。

ムキムキ型⇒固定資産が多い。

おデブ型⇒在庫が多すぎる。

「やせ型」の代表

これは、在庫を持たないビジネスと言い換えることもできます。

コンサルティングなどのサービス業は、これにあたるでしょう。

また、メルカリなどのサービスも、在庫を保持していないですね。

 

「ムキムキ型」の代表

これは、固定資産(例、設備機械)の金額が大きい、ビジネスだと言えます。

業種で言えば、製造業が、代表格でしょう。

例えば、最近で言えば、サムソンやファーウェイです。例えば、サムソンの有形固定資産の金額は、11.5兆円(2018年12月)です。

めっちゃ大きな金額じゃないですか?

金額も大きいですが、総資産(33.9兆円)のうちの11.5兆だから、総資産にしめる割合でも30パーセント超です。

 

「おデブ」の代表

これは、脂肪・贅肉・糖分が極端に多い会社の事です。つまり、在庫が極端に大きい会社です。

業績不振、倒産や不正の兆候がある場合、このタイプになる可能性が高いです。

おデブな人を批判するつもりはないですよ。しかし、健康という視点からすると、医学的には太りすぎはよくないという研究結果も出ています。

具体的な例で言うと、最近の身近な例でいうと東芝に不正会計があります。

在庫を過大にすることで、損失を先送りにしていたという手口でした。

棚卸資産回転期間が、業界平均より、明らかに長い場合は、危険な状況だと言えます。

 

資産だけだと、見た目年齢しかわからない。体の中身の健康は?内臓年齢は?体年齢は?

資産側で、会社の体のタイプ、マッチョ?やせ型?おデブ?などはわかりました。これは人間に例えると“見た目”だと言えます。

しかし、本当に健康か?どうか?というのは資産だけの情報ではわかりません。

そこで、貸借対照表の右側に着目する必要があります。

右側には、負債があります。

この負債は、健康状態ににリスクを及ぼすものとイメージしてください。例えば、睡眠不足とか。疲れ。

もちろん、これについては、一概には言えないです。借入金が大きいことによるメリットや強みもありますから。

資産から負債を差し引いた、純資産が、目に見えない健康状態だと思ってください。

内臓年齢や、体年齢というイメージでもいいでしょう。

V社、E社、T社は、資産(左だけ)の情報しかわかりませんでした。

では、右(負債、純資産)を見て、総合的な健康状態を確認していきましょう。

以下の図をご覧ください。

 

V社は、やせ型であり、超健康優良児です。E社は、筋肉モリモリのムキムキですが、ちょっと健康に不安がある状態です。

T社は……。マイナス! 病気?なにか問題?

というようなイメージです。

純資産がマイナスで、債務の方が、資産より大きいことを債務超過と言います。

この場合、倒産(死んでしまう。)リスクが高い状態だと言えます。

このように資産だけでなく負債をちゃんと見ることによって、会社の健康状態がより深く読み取れることができます。そして、改善策も見えてきます。

例えば、おデブ型であれば、ダイエット(脂肪である棚卸資産)をして在庫を減らし血液に変えることにより、若返えりが期待できるんですよね。

★本日のまとめ★

・貸借対照表は、財政状態。「健康診断書」と言われるほど大事。

・資産を体の一部に例えると……(イメージですが)

  • お金⇒血液、
  • 売掛金⇒栄養
  • 在庫⇒脂肪・糖分
  • 固定資産⇒筋肉・骨

・資産だけだと、本当の健康状態がわからない。負債を考慮

・負債は、健康を阻害するリスクとイメージ

・資産から負債を指しいひいた、純資産が、見た目でわからない健康状態を表す。内臓年齢、体年齢。自己資本で、それがわかる。

あなたの会社の貸借対照表、是非、チェックしてくださいね!