こんにちは、マナボックスの菅野です。
- ベトナムで社長などの管理者である
- 日本側の給与の申告書の内容を知りたい
- PIT申告書がベトナム語で詳細checkできないけど最低限は理解しておきたい
- 日本の社長に個人申告書の金額について解説をしなければならない
やや、突っ込んだ内容となっていますが、日本人が見るべきポイントも公認会計士目線で解説させて頂きます。
ベトナム人の専門家に詳しく解説してもらいました。
この記事のもくじ
日本給与の場合の申告書の全体像(02/KK-TNCN)
今回は、税務の専門家であるタオさん(マナボックスベトナムスタッフ)にベトナムのPIT(個人所得税)申告書について解説をお願いしようと思います。
どうぞよろしくお願いいたします!
今回は、日本人などの外国人が、日本でもらっている給与を申告する場合ですね。
参考記事:>>ベトナム駐在者が日本から給与をもらっている場合の個人所得税の申告の方法 ≪ハノイ編≫
菅野さん!
はい。よろしくお願いします。
そうです。
日本人が日本分の給与をもらっている場合には、02/KK-TNCNというフォームを使います。
駐在員様は、日本本社から日本の口座にも、給与もらっている場合がほとんどです。
専門用語で、「国外源泉所得」なんて言ったりします。
まずは、実際の全体像を見てみましょう。
サンプルの紹介ありがとうございます!
もう少し日本人にわかりやすいように図解して見ました。イメージあってますか?
集める→差し引いて計算する。という構造ですね。
参考:>>ベトナム個人所得税PITの全体像をすっきり理解する方法
>>【図解!】ゼロから理解する「個人所得税の仕組み」日本とベトナムの比較表付き
ちなみに、フォームについては以下の種類があります。ちょっと細かいけど。
申告者 | 所得の種類 | 月次(四半期)申告 | 年次申告 |
会社が申告(ベトナム所得) | 給与所得 | 05/KK-TNCN | 05/QTT-TNCN 05/-1/BK-QTT-TNCN(源泉徴収) 05-2/BK-QTT-TNCN
|
給与所得以外 (投資所得など) | 06/TNCN | – | |
個人(例:日本での所得) | 給与所得 | 02/KK-TNCN(四半期) ⇑今日はここ | 02/QTT-TNCN, 02-1/BK-QTT-TNCN (付属明細) |
事業所得 | 04/NNG-TNCN | – | |
不動産所得 | 03/BDS-TNCN | – | |
証券譲渡所得 | 04/CNV-TNCN | – | |
相続・贈与所得 | 04/TKQT-TNCN | – | |
その他所得 | 04/NNG-TNCN | – |
個人所得税PITの申告書のそれぞれの項目を解説!
基礎情報を入力
全体像は理解できました。
それでは、それぞれ詳しく解説してもらっていいですか? まずは基本情報ですね。
はい。すげのさん。上部に記載されてある基本情報ですよね。
これは、1~20の番号で構成されます。
ここには納税する個人の基本的な情報が記載されます。
名前やPIT番号、住所などですね。
3は、期限後の修正申告書の時にチェックをいれます。
それ以外の通常の申告の場合には、2にチェックが入りますよ。
まとめ:上部には基礎情報が記載。修正申告の場合には3にチェック
Ⅰ:居住者の個人所得税(21~34)
次は、実際の個人所得税の計算の話ですね。メインになるところです。
はい。
これは、4つに区分するとわかりやすいですよ
- 給与所得の情報(21~23)
- 控除の情報(24~29)
- 差し引いて課税所得を算出する(30)
- 個人所得税金額を計算する(31~34)
それぞれ解説して行きますね。
給与所得の情報(21~23)
まずは、給与情報です。
21は、給与がもし、固定である場合にここに✔をいれます。この場合、最初の四半期にのみ申告書を提出して、後は納税だけとなります。
手続きが簡略化される感じですね。でも実務ではほとんどないです。
22には、給与情報が記載されます。日本人の場合には、グロスアップされることがほとんですね。個人所得税計算シートから転記します。
23は、外国税額控除を適用する場合、その対象の金額を記載します。例えば、役員である場合には、日本でも所得税を支払っています。これは、Double taxation agreement (DAT)(租税協定)によって税額控除が可能な場合にはここに金額を入力します。役員報酬などですね。
外国税額控除がある場合には、ここに金額を入力して申告しないといけないんですね。
まとめ:21は、固定給与の場合、22は、給与所得(グロスアップ後)、23は、外国税額控除したい場合
控除の情報(24~29)
24からは、”控除”の情報です。これには、5つありますよ。
- a,基礎控除(◎)
- b,扶養控除(○)
- c,寄付金等
- d,社会保険料(◎)
- e,年金基金
です。aは、ベトナム法人からもらっている所得の申告書で考慮することが多いです。dは、必ず該当あります。みなさん、日本で社会保険に加入していますからね。bも、お子様がいる場合には考慮します。 c、eはほとんどないです。該当しているケースを見たことがありません。
確かに、寄付金や年金基金で控除している日本人はいないね。社会保険については、最終的に本社から証明書が必要ですよね。
参考記事:>>“証明書”を入手しろ! ベトナムの個人所得税の確定申告の際に必要な2つのこと
まとめ:24~からは給与所得から控除できる金額情報
課税所得(30)
30は、”課税所得”です。税率を乗じる対象の金額ですね。
“課税所得”*税率=個人所得税です。
これは、22-23-24という計算式になるんですね~。
個人所得税額(31~34)
いよいよ、納税額、つまり個人所得税の金額ですよ。
31は、対象期間に発生した個人税額です。ここは必ず埋まります。
32、33は、ちょっと特殊です。例えば、個人所得税の優遇がある場合にはここが埋まります。50%減税とかありますよね。
32は、減税の対象の課税所得で、33は、減税額です。
34は最終の個人所得税です。34は、31-33で計算されますね。
なるほど、34の欄を見れば、納税額がわかるんですね~。
まとめ:34で最終的に、計算された個人所得税の金額がわかる。
Ⅱ:非居住者の個人所得税(35~37)
最後は、「非居住者」の個人所得税の計算の話ですね。
はい!
183日未満でベトナムにいるなど、一定の条件を満たした場合には「非居住者」として個人所得税20%で計算して納税します。
非居住者の個人所得税の情報(35~37)
35が、課税所得金額です。ベトナム源泉所得ですね。
36が、税率です。20%になります。
37が、個人所得税額です。35×20%です。
シンプルですね。ベトナムの個人所得税は高いですから、滞在日を183日未満にするなどしている会社もありますね。ベトナム源泉所得をいくらにするか?ってのもポイントですね。
参考記事:>>全世界所得とベトナム国内源泉所得の違いを理解する方法 社長は、べトナムでいくら納税すべき?
まとめ:非居住者は、20%で計算。ベトナム源泉税がポイント
この申告書を作成したら、申告者のサインを紙面でもらって税務署に提出します。
納税もします。
紙面で直接、税務所に提出なんですね!そういえばホアさんに教えてもらってた!
参考記事:ベトナム駐在者が日本から給与をもらっている場合の個人所得税の申告の方法 ≪ハノイ編≫
タオさん、今日はありがとうございました!
どういたしまして~!