2019年も、12月になりました。2020年のテトも近づいてきて、旅行!ウキウキ!って感じてる人もいるかもしれません。
参考記事:>>ベトナム、2020年テト(旧正月)休暇のスケジュールが承認!23日から29日の7日間!
でも!その前に大きなイベントで悩んでいる社長様もいますよね?
なぜ?
それは、ベトナムの従業員について昇給を考えなければいけない時期だからです。頭が痛い時期かもしれませんね。
従業員が1,000人いるような場合には、お金、損益計算書に与えるインパクトも大きいですよ!
数百万から1千万円以上のインパクトがあるケースもあります。
- ベトナムで社長をしていて昇給について悩んでいる。やめると言われるのが怖い。
- ベトナムの子会社から昇給案が上がってきたけど、判断できない。
- 海外子会社があってその場合の昇給の方法について悩んでいる。
あなたの従業員の昇給(昇格ではなく)をいったいどうやって決定するのか?
その基準についてお伝えしたいと思います。
これは、私がインドでの従業員1,000人の会社での駐在員としての経験と今のベトナムの会社の経営者としての経験をまとめたものです。
これによって、大きな判断の誤りを防止できるはずですよ。
- 率じゃなくて金額も考慮する。
- 職階(あなたの期待)による賃金テーブルを明確にして継続して伝える。
- 他社事例を集める。
- 大事な経営指標を必ず見る。それは、労働分配率!
この記事のもくじ
1、昇給の際は、率じゃなくて金額も考慮する
率しか考えない会社が意外と多い?
これ以外とできてない会社様が多いかもしれません。
よく、最低賃金率の上昇率を基準に、昇給率を決定される方がいます。
参考記事:>>ベトナムの2020年の最低賃金引き上げについて 政令第90号/2019/ND-CP
例えば、一律、10%上げるとかです。わかります!こうしたい気持ちも。
ただ、もしかしたら、正しくないです。
なぜだかおわかりになりますでしょうか?
以下の場合を考えてみましょう。
- Aさん:300㌦
- Bさん:2,000㌦
⇓昇給後
- Aさん:330㌦
- Bさん:2,200㌦
どうでしょう? なにかお気づきになりませんか?
- Aさんの昇給額 30㌦
- Bさんの昇給額 200㌦
その差なんと6倍❕以上です。こうなると不合理感がどうしても生じてしまいます。
また、こんな事例もお伝えしますね。
経理担当で入社し当時は400USD程度、15年務めて、%(率)を利用して昇給させてきた。
その結果、月額3,000USD!
言葉が悪いですが、経理スタッフのおばさんが3,000USDの給与!です。
とくに大きな製造業の場合については、賃金が高くないワーカーさんがたくさん抱えている会社様はこれを考える必要があります。
例えば、
- Aさん:300㌦
- Bさん:2,000㌦
⇓
- Aさん:300㌦+50㌦
- Bさん:2,000㌦+80㌦
とかならいいんじゃないですかね。
昇給に限っていえば、合理的だと思います。昇給の定義はいろいろあると思います。(昇格とは違うというのを前提としておさえておいてください。)
昇給の理由と合理性
- 勤続年数が長いか?
- 直近の景気や物価指数、CPIなど経済状況
- 同業他社などの世間相場
特に物価指数などを根拠にする場合には、昇給に率を使うとあんまり適さない場合があります。
消費者物価指数って、わかりやすく説明すると、例えばCPIの上昇率が、10%だとすると……。
今年フォー5$⇒来年フォー5.5$です。
この結果、0.5㌦上昇していますよね。これがCPIの上昇の結果です。
先の”率”をつかった場合の例では、Aさんは30$でBさんは、200$でしたよね。
仮にAさんとBさんが同じような生活をした前提となってしまいますが、これは、不公平な結果となります。
とくに給与水準の格差が大きい場合、率をあまり深く考えずに利用すると、不合理な結果になってしまう場合があります。
なので、繰り返しになりますが、昇給を考える場合、率だけでなく額を考慮することは非常に大事です。
2、職階(あなたの期待)による賃金テーブルを明確にして継続して伝える
これもかなり大事です。
前述の3,000USDの「経理スタッフおば様」もそうですよね。
もし、経理スタッフであれば、600USDを上限とするという会社のポリシーがあれば、3,000$まで上がるということはありませんでした。
役職とそれに期待する役割に対する給与水準を明確化すること必要ですね。いわゆる賃金テーブルです。
これは別な言い方をするとあなたの期待を明確に従業員に伝えるという事です。
ポイントは2つあると思っています。
1:周知徹底する
2:伝え続ける(毎月)
1については、賃金テーブルとあなたの期待を明確にして周知徹底させることです。KPIでもいいです。
「わたしは、頑張っている。だから、給与上げて」従業員
「え、でも、期待よりパフォーマンス低いんだよな(汗)」あなた、社長。
これ、あるあるですよね。これを避けるために、伝えるいうことが大事です。
でも、人って忘れちゃうんです!
ですから、継続的にフィードバックすることが必要です。実際のパフォーマンスと結果が出ているか?ですよね。
泥臭いですが、継続的に面談です。Face to Face です。
アリババのマーさんも労働時間の30%は、人とのコミュニケーションに使えって言ってます。だから、大事です。
ビジネスは楽しいです。人との付き合いそのものですから。
成績が優秀な人はビジネスモデルやテクノロジー、製品について考えることにとらわれ過ぎていることが多いですが、これから創業する起業家なら、少なくとも持っている時間の30%は人に充てなければなりません 雇う人、一緒に仕事をする人の声によく耳を傾けてください コミュニケーションをしっかり取ってください
正直言って、デメリットはないです。(時間使いますけどね。)
特にベトナムは、外国の方なんで、コミュニケーションとることにより信頼関係も深まるし、その結果、スタッフのパフォーマンスも上がります。
妙な愚痴も少なくなりますよ。サプライズもなくなります。
「すげのさんの期待はなんなのか?」
って以前、女性スタッフから言われて。
は!って思ったことがあります。
あなたの当たり前は、みんなの当たり前でなない。そして、ここは外国。あなたの考えていることは、なかなか伝わらない。これを前提としておさえていく必要があります。
3、他社事例を集める
3つ目は、他社事例です。相場感ですね。
以下の方法によって知ることができます。
1:人材紹介会社が作給与データ(統計)
2:求人サイトでの職階と期待給与情報
3:商工会等での事例共有
1つ目は、よくありますよね。大きな人材紹介会社が給与レポートを販売しています。
これを入手して、自社と比較するというのは有効です。とくにやはり、従業員の多い会社は、このレポートに投資しても、リターン(意思決定)がありますので数万円であればするといいと思います。
2つ目は、求人サイトの情報を整理するという事です。
業種、職階と絞れば、そこまで大変じゃない場合もあります。
例えば、
- 業種:会計・税務コンサル
- 職階:シニアスタッフ(経験4年)
と絞れば、10人くらいすぐ集めれます。そうするとリアルな市場価値がわかりますよね。
また、その業界に長くいた人に、質問して情報を得るというのもいいと思います。
3つ目は、商工会等で情報を集める方法です。
ハノイにも、ダナンにも、ホーチミンにも商工会があります。商工会にて賃金の動向というセミナーをしたり情報交換会をしています。
1番、ナマで役立つ情報かもしれませんね。
また、工業団地の場合は、工業団地単位で、日系企業同士で情報交換会があります。これも有用ですよ。
4、経営指標は必ず見る。それは、労働分配率!
最後は、経営指標の話です。
これ、めちゃ大事ですよ。
労働分配率=人件費/付加価値
詳細記事はこちら!:ベトナムで「賃金を上げて!」とスタッフに言われた時に、まず、確認すべき指標とは?
必ず!チェックしてください! お願いです!
5分で終わります。
でも、これをすることによる判断、そして、「意思決定+行動」のセット!で、数千万の利益が変わる可能性があります。
本当ですよ。
いかがでしたでしょうか?
新年2020年1月を晴れやかに過ごすためには、合理的な昇給の決定が必要だと思います。
本日のお話を是非、使ってみてくださいね!