こんにちは、すげのです。
本日は、海外でよくある不正の事例についてお伝えします。
それは、スクラップに関する不正事例です。
- 海外に子会社があり、製造業を営んでいる
- スクラップ不正について心配している
- その不正をどのように防止するかアイデアを知りたい
この記事のもくじ
そもそも製造過程で生じるスクラップってなに?
まず、こちらから説明しますね。知っているよ!と言う方もいると思います。そういう人は飛ばしてもらって大丈夫です。
スクラップというと、設備等の廃棄をイメージするかもしれません。今回の記事でのスクラップはちょっと違います。原材料のスクラップです。
以下のように理解してください。
「例えば、鉄鋼メーカーの製鋼・加工工程で発生する鉄スクラップ。」
製造するために型取りすると、どうしてもスクラップが生じてしまいます。
クッキーを作る時に、形取りしますよね。その際に生地があまると思います。そのイメージでもかまいません。
加工の途中で生じたスクラップは、スクラップ業者に販売されます。
図解すると以下の通りです。
スクラップの不正の2つの典型例
スクラップに関する不正とは具体的になんでしょうか?
以下の二つに整理されます。
数量:数量のごまかし
価格:市場価格より安く販売
この2つについて解説していきたいと思います。
スクラップの数量のごまかし
これは、重量計で測った数量をごまかす方法です。書類の偽造も伴います。
スクラップの重さを図る際、重量計を利用する必要があります。
具体的には、以下の方法などが一般的です。
例:20トン
例:25トン
5トン
こんな感じですね。
この差額をごまかして横領するという方法です。
上記の例でいうと5トンであるところを4トンと偽造してしまう場合です。関連する証憑を偽造してしまうのです。
このような場合、本当は5トンの売上が発生していたのに、4トンなので、実質的1トンのスクラップが盗難されていたと言えます。
市場価格より安く販売
スクラップには市場価格があります。これを業者と結託して、著しく安く販売してしまうことです。
例えば、スクラップ鉄の価格が20円/Kgであるのにもかかわらず、10円/Kgで販売してしまうケースです。
この場合は、実質的に半分のスクラップを横領していることと同じになりますよね。
スクラップに関する不正を防止する方法
では、どのようにしてスクラップ不正を防止するのでしょう?
こちらが大事ですので解説します。
あるべきスクラップ量と実際のスクラップ数量を比較する。(数量)
重量計の情報を照合させる(数量)
業者はオークション方式か、定期的に変更する(価格)
あるべきスクラップ量と実際のスクラップ数量を比較分析
製造会社では、BOM( Bills of material、部品表)というものがあります。製品の設計図みたいなものです。これをみれば、理論値のスクラップの消費量が計算できます。
これと実際のスクラップを比較分析するのです。こうすれば、異常値が生じれば、これについて対策できます。
このように分析を管理部が実施することによって、現場の人は、「見られているんだな」という意識を持ちます。そうすると、不正は起きにくいのです。
重量計の生の情報と照合する
きちんとエビデンスと照合させるということです。基本的な内部統制です。
偽造を防止するために重量計から出力するデータ(Csvなど)と照合させるといいでしょう。
業者はオークション方式か、定期的に業者を変更する
市場価格より著しく安く販売しないようにするために複数のスクラップ業者が参加できるオークション方式するのです。競争入札形式などとも言います。
また、業者を定期的に変更するのもありです。
※実際には、海外でのスクラップ業者についてはもっと深い闇の問題があります。したがって、この方法が難しいこともあります。この記事では、詳細に書けないのですが、このオークション方式にはちょっと怖いリスクもあります。なので、もしこの方法を採用される場合にはそのリスクについても相談できるところに相談してください。