こんにちは、マナボックスの菅野です。

本日は、『あなたのその健康診断費用は、ベトナムにおいて個人所得の対象となるのか?』というテーマでお伝えします。

この記事はこんな人のために書いています。

ベトナム進出をしており、従業員みんな健康診断を受けている。そうではなく特定の人だけが受けている場合もある。そんな場合に「個人所得税」の対象となるのか?を知りたい。なるべく対象とせずキャッシュアウトを減らしたい。

個人所得税の概念については以下を参照ください。

>>【無料版】ベトナム個人所得税対策の完全マップ【動画編】36個の動画で解説

ケースによっては個人所得税となる場合もあり【3つのパターン】

通達やオフィシャルレターによれば以下のような取り扱いになります。

ケース

所得税の対象か?

根拠条文等

個人または特定のグループに対する健康診断、医療相談の料金

なるCircular 111/2013/TT-BTC

「労働許可証」を有する外国人に対する健康診断料

ならないOfficial Letter 3545/TCT-TNCN

全従業員を対象にした健康診断費用

ならない

Article 21 of the 2015 Law on Occupational Safety and Health

それぞれ解説していきます。

全員ではなく特定の個人を対象とした場合の健康診断費用

この場合は、個人所得税の対象となるリスクが高いです。

これを具体的に説明する前に前提として、どういった場合に個人所得税について指摘されやすいのか?を理解するとスーッとするはずです。

それは、

「それって、本来は個人が負担すべきの費用を会社が代わって払っているだけじゃないの?」

です。例えば、家賃が典型論点です。個人が住宅費として負担すべきの費用を会社が負担しているだけ。というような考え方をするのです。

また、ゴルフ代がベトナムでは典型的な論点なのですが、これも税務当局から言わせると、先に述べたような主張となってしまいます。つまり、営業活動ではなく、個人でゴルフは楽しんでるでしょ。と言った考えです。

ただ、この辺りの考えは「判断」が介入するとは思います。ゴルフ代は営業費でしょうという考えも合理的だと思います。そして、ゴルフ代を個人所得の対象にしないほうが結果的にベトナムの税収が増える可能性もあります。なぜならば、ゴルフする人が増え、その結果、経済が活発になる可能性があるからです。

通達は、「個人名」で判断する。

Circular 111/2013/TT-BTCというよく使う通達にもそのように記載されています。要するに「個人名だけが記載されいている」となると、前に述べた「その人の給与でしょう」という考え方がされてしまうのですね。

Article 2. Taxable incomes

According to Article 3 of the Law on Personal income tax and Article 3 of the Decree No. 65/2013/ND-CP , the incomes subjects to personal income tax (hereinafter referred to as taxable incomes) include:

dd.3.2) Expenditures on other services individuals such as: healthcare, entertainments, sports, recreation, etc. – if the names of the recipients are specified. If the recipient is the collective of employees, not any specific person, it is not included in taxable income.

健康管理、娯楽、美的娯楽における個人に対するその他のサービスのための費用…支払い内容に受益者の名前が明記されている場合。においてサービスフィーの支払いに個人名は含まれないが、従業員で共有している場合は、課税所得に含まれない。

労働許可証は、“働くため”だから所得に含まれない

続いて、労働許可証を取得するための健康診断費用です。こちらは、不可避の事項というロジックで所得の対象に含まれないというオフィシャルレターが発行されています。

なお、以下のリンクで労働許可証の取得のプロセスを解説しています。

>>【完全解説!】労働許可証とレジデンスカードの取得の方法【2021年の管理者バージョン】

年に一回、全従業員が受ける健康診断は個人所得の対象ではない

最後に、従業員全員を対象とした健康診断費用についです。

みなさんの会社でも、年に一回、健康診断を受けているのではないでしょうか?この場合、従業員全員を対象として受けているのではないかと思います。

従業員が受ける健康診断は、法律上で受けることを求められています。したがって、「個人が負担すべき」だとは言えないですよね。

Legal basis Article 21 of the 2015 Law on Occupational Safety and Health stipulates:

The enterprise must organize a health check-up at least once a year; – Against people doing heavy, hazardous or dangerous occupations or jobs, or particularly heavy, hazardous or dangerous jobs; People with disabilities; juvenile workers; employees are entitled to a health check-up at least once every six months. Are medical examination fees included in PIT taxable income? Send Message personal income tax 

 Enterprises with good welfare regimes can organize health check-ups for employees more than the number of times prescribed by law.

Enterprises that fail to organize periodical health check-ups may be fined under Decree 88/2015/ND-CP from VND 10,000,000 to VND 30,000,000

もし健康診断していないと法律上は、罰金もあるようです。(ただ、実務的にはわかりません)

健康診断費用についてその他の論点【法人税】

こちらお決まりの論点です。費用ときたら「損金算入されるか?」を意識しましょう。

こちらは会社の規定「就業規則など」に明記する必要があります。

>>“損金不算入”ってなんだ?わかりやすく解説 ベトナムにおける典型例とは?

日本の場合の健康診断費用の取り扱いは?

では、日本の場合はどうでしょうか?

こちら日本の場合は原則として人間ドック等の費用は「課税対象」とはなりません。しかしながら、役員や特定の地位にある人だけを対象としてその費用を負担するような場合には個人所得の課税の問題が発生します。

この点はベトナムと同様ですね。

>>日本の人間ドックの費用負担の国税局の回答

本日のまとめ

本日は健康診断費用の個人所得税の取り扱いについて解説させて頂きました。

  • 特定の人しか受けない、特定の人がインボイス等に明記されている場合は対象となるという通達の記載
  • 労働許可証の場合なならない
  • 従業員全員で受ける場合もならない

お役にたてると幸いです。