企業の運営では、「委任代表者」 という役割がとても大切です。
しかしながら、もし委任代表者が変わったら、どうすればよいのでしょうか?
どんな手続きが必要なのか、法律ではどのように決められているのか、この記事でわかりやすく説明します!
この記事のもくじ
そもそもベトナムの企業法上の「委任代表者」って何?
「委任代表者」とは、法人の所有者(出資者)、社員、株主が自分の代わりに意思を伝えるために指名する人のことです。投資家が会社の場合、会社は自然人じゃないのできちんと意思を伝える必要があるのです。
つまり、会社の大切な決定をする会議(社員総会や株主総会など)で、所有者の代わりに発言したり、決定をしたりする人のことを指します。以下の情報は前提知識とて大事なのでチェックしてくださいね。
>>【ベトナム会社法】有限会社の機関の3つパターンを詳しく解説
🔹 法律の根拠
2020年企業法(Law on Enterprises 2020)第14条第1項
➡ 「法人の所有者、社員、株主の委任代表者とは、書面による委任を受け、その名義で企業法に基づく権利を行使し、義務を履行する個人を指す。」
委任代表者の情報が変わるときってどんなとき?
委任代表者の情報を変更する必要があるケースは、例えばこんな場合です。
📌 委任代表者が交代する場合
→ 企業の方針変更や、人事異動によって、新しい委任代表者を指名する場合。社員総会のメンバーを変える時とかですね。
📌 委任代表者の個人情報が変わる場合
→ 氏名、国籍、住所、パスポート番号などが変更になった場合。
📌 複数の委任代表者の権限を変更する場合
→ 例えば、3人の委任代表者のうち、一人がより多くの持分を持つことになった場合など。割合の変化。
委任代表者が変わったら、何をしなければいけないの?
企業の所有者が委任代表者を新たに指定する場合や変更する場合には、書面による指定が必要で、会社に通知しなければなりません。
「委任状」に含めるべき内容は以下です。
- 所有者、社員、株主の名称、企業コード、本店住所
- 委任代表者の氏名、身分証明書番号、国籍、住所
- 各委任代表者の持分割合(株式の所有割合)
- 委任の開始日と期限
- 所有者、社員、株主の法定代理人および委任代表者の署名
委任状を作成し、会社に通知した後、変更が正式に有効となります。
🔹 法律の根拠
2020年企業法 第14条第4項「委任代表者の指定は、書面で行い、会社に通知しなければならない。委任状には、以下の内容を含める必要がある。」
委任代表者の変更手続きの大きな流れ
大きな流れは
- 提出
- 結果の受け取り
書類の提出
企業は以下のいずれかの方法で申請書類を提出します。オンラインでもいいみたいですね。
- 企業の本店所在地を管轄する計画投資局の事業登録事務所のワンストップ窓口へ直接提出;
- 全国事業登録ポータルを通じて**オンラインで提出**。
https://dangkykinhdoanh.gov.vn/vn/Pages/Trangchu.aspx
※必要な場合は手数料を支払い、申請処理の受領書を受け取ること。
事業登録事務所は、申請書類の受領日から3営業日以内に処理を完了し、結果を事業登録事務所のワンストップ窓口に送付します。
結果の受け取り
ワンストップ窓口で申請結果を受け取る際には、以下の書類を持参する必要があります:
- 申請処理の受領書。
- 会社の所有者または法定代理人が本人で受け取らない場合は、代理人が以下の有効な身分証明書の写しを提出する必要があります。
【ベトナム国籍の場合】:有効な市民身分証、国家身分証、またはベトナムのパスポート。
【外国人の場合】:有効な外国パスポートまたはそれに代わる有効な書類。
加えて、法定代理権限を委任する書面(法令に準じたもの)を提出する必要があります。
変更後10日以内に通知が必要!
繰り返しになりますが、企業の所有者が委任代表者を変更した場合、10日以内に企業登録機関(Business Registration Office)に通知する義務があります。
🔹 法律の根拠
2020年企業法 第30条第2項「企業は、事業登録証明書の内容を変更した場合、変更日から10日以内に企業登録機関に登録申請を行う責任を負う。」
変更の申請に必要な書類とは?
以下の書類が必要です。
提出書類リスト
✅ 委任代表者の変更通知書
✅ 投資ライセンス等で運営する企業の場合
- 投資証明書の写し
- 企業の納税登録証明書の写し
- 事業登録情報の補足・更新申請書(Circular 01/2021/TT-BKHĐT 附属書II-14)
✅ 申請者が法定代表者でない場合の委任状(公証不要)
✅ 申請者の本人確認書類(身分証明書やパスポートの写し) - ベトナム国民:市民識別カード、国民IDカード、パスポート
- 外国人:有効な外国人パスポート
法律の根拠政令01/2021/ND-CP 第60条第3項
「委任代表者の交代がある場合、交代の日から10営業日以内に委任代表者の情報を企業登録機関に報告する必要がある。」
Circular 01/2021/TT-BKHĐT 附属書II-14の解説と雛形のダウンロードは以下から!
>>🔓M-lab_事業登録情報の補足・更新申請書(Circular 01/2021/TT-BKHĐT 附属書II-14(ダウンロード)
なお「投資ライセンス」とは以下のことを指します。IRCとERCという理解で問題ありません。
2014年以前に発行されたもので、現在は「投資登録証明書(Investment Registration Certificate, IRC)」に統合されました
申請の提出先と処理期間
提出先は以下の通り。
➡ 企業の本社所在地を管轄する計画投資局(Department of Planning and Investment)内の企業登録事務所(Business Registration Office)。前述の通り、オンラインでも可能。
全国事業登録ポータルを通じてオンラインで提出する。
https://dangkykinhdoanh.gov.vn/vn/Pages/Trangchu.aspx
処理期間の目安
➡ 申請書を受け付けてから3営業日以内 に企業登録機関が審査し、新しい登録証明書を発行。
🔹 法律の根拠
2020年企業法 第33条「企業登録機関は、申請受理後3営業日以内に審査し、新しい事業登録証明書を発行する。」
変更後の公表義務
委任代表者の変更が完了したら、企業は新しい情報を国家企業登録情報ポータル(National Business Registration Information Portal)で公表する必要があるようです。
注意すべきポイント
チェックリストも用意しました。
- 通知期限を守る!(変更から10日以内)
- 正確な情報を記載する!(持分・株式比率の変更は明確に)
- 申請書類をきちんと準備!(法定代表者以外が申請する場合は委任状が必要)
- 変更後の公表を忘れずに!(国家企業登録情報ポータルで公表)
本日のまとめ
🔹 企業の所有者が委任代表者を指定・変更する場合、書面で会社に通知し、企業登録機関に10日以内に申請が必要。
🔹 委任状には必要な情報を正しく記載し、スムーズな手続きを行うことが重要。
🔹 委任代表者と法定代表者は異なる概念なので、変更手続きの違いを理解することが大切。
企業の管理体制をしっかり維持し、スムーズな経営を続けるために、正しい手続きを行いましょう! 😊