こんにちは、公認会計士の菅野です。
ベトナムの可能性ははかりしれない!流れ来るよ!との思いで数年前に投資。
でも、実際は厳しかった…。
という場合もあるかもしれません。ビジネスですから、当然、軌道に乗らない場合もあります。時には失敗することも当然のようにあります。
ベトナムの子会社の清算、解散を考えている。
要するにベトナムの会社を畳む場合の手続です。
この記事のもくじ
ベトナムの会社を清算するための流れ
まずは大きな流れを確認していきましょう
資本譲渡?徹底?清算?を意思決定します。
資産の処分や債務の弁済を完了させる。
必要な書類等を準備します。
会社を清算することを通知します。
ベトナム会社清算のメインイベントだと言っても過言ではありません。これが大変
税務調査が完了すれば、閉鎖・清算が完了です。
それでは、上記ステップに沿って、解説していきます。
ベトナム撤退?清算を決める
- 決める。意思決定する。
- 譲渡か?休眠か?そして、清算か?
まずは、意思決定ですね。ここが実質的に一番重要です。ベトナムで業績が思うように伸びなかった。なんてことあるかと思います。その際、会社をこのまま継続するか?どうかを決めなければいけません。
その際、「継続をあきらめる」という意思決定をしなければいけません。悲しいですよね。この場合、以下の選択肢があります。
- 譲渡する(どこかいい会社、誰かいい人がいればそこに譲渡する)
- 休眠する(いったんお休みします。いつかチャンスが来るまで待つ)
- 清算する(会社を終わりにする。畳む。ということです)
参考記事:
>>まるわかり!ベトナム資本譲渡の手続きの概要を4つのステップに分類して解説
>>休眠か?解散か?ベトナムで休眠手続について解説 日本との比較あり
本日は、“清算”すると意思決定した場合の手続の流れです。
B/Sを綺麗にする
会社を清算するにあたり、財務諸表を綺麗にしなければいけません。
- 会社の資産を処分する(資産)
- 債務を返済する(負債)
具体的には以下のようなものです。
資産の処分
会社が保有する資産を公平に処分する必要があります。ここで処分して得たお金などは、債務返済などに当てられ、最終的な残⾦は出資者に帰属する場合もあります。日本が親会社の場合は本社に送金することも検討する必要があるでしょう。
債務の返済
債務の弁済によって負債の箱を空にする必要があります。
以下に分類するとわかりやすいと思います。
- 人件費:給与や退職金の未払清算(これが完了していないと完了が認められません。また、社会保険の未払金をすべて納める必要があります。従業員の「社会保険登録証」を返却
- 税金関係:税金関係の未納付を完了させる。所得税、法人税、付加価値税などすべてです。
- その他負債:仕入れ先などに買掛金などがあれば支払います。借入金もです。
申請に必要な書類を準備する
ベトナムの子会社を清算するにあたり、これ以降に解説する「関連役所に通知する」「税務調査」「閉鎖決定書の申請・通知」に必要な書類を準備する必要があります。
- STEP①:投資プロジェクトの解除通知
- STEP②:「計画投資局の企業登録部」への閉鎖通知
- STEP③:「税務局」への閉鎖通知(ステップ②と同時)
- STEP④:「閉鎖決定書」の申請・取得(原則として、15営業日)
あなたや本社の立場からすると、ここの具体的な処理が気になりますよね。この書類の概要を理解できるようにしましょう。
STEP①:投資プロジェクトの解除通知
必要な書類として一般的に以下の書類があります。
※以下全てのステップの留意点です。地域や時期、担当官によって異なる可能性があります。参考情報として理解をしてください。
- 解除通知
- 議事録(例:社員総会)
- 委任状
それぞれ、社長等の署名、捺印が必要になります。イメージしやすいようにサンプルを貼っておきますね。
STEP②:「計画投資局の企業登録部」への閉鎖通知
必要な書類として一般的に以下の書類があります。
- 投資家による決定の意思決定書
- 弊社の通知書
- 委任状(必要あれば)
これも、それぞれ、適宜、社長等の署名、捺印が必要になりますね。
イメージしやすいようにサンプルを貼っておきますね。
STEP③:「税務局」への閉鎖通知
次に税務局ですね。こちらは計画投資局への通知と同時にします。
必要な書類として一般的に以下の書類があります。
- 税コード閉鎖の通知
- 会社閉鎖の通知
- インボイスを使用しないという誓約書
- 委任状(必要あれば)
上記を準備する必要があります。
こちらもイメージしやすいように一部サンプルを貼っておきますね。
STEP④:「閉鎖決定書・清算申請書」の申請・取得(原則として、15営業日)
最後のステップのための書類です。
- 閉鎖申請書・通知書
- 資産の処分・債務返済の証明書
- 債権者および従業員リスト
- 印鑑終了証明書
- 委任状(必要あれば)
上記を準備する必要があります。こちらもイメージしやすいように一部サンプルを貼っておきます。
関連役所に通知する
上記で準備した以下のステップの実際の通知です。
- STEP①:投資プロジェクトの解除通知(1ヶ月半)
- STEP②:計画投資局の企業登録部への閉鎖通知(1ヶ月)
こちらSTEP①の期間の目安として、1ヶ月半くらいのイメージです。そして、STEP②も同じくらいで、1ヶ月です。
※実際の期間は、状況や担当官によって変わります。
税務当局への閉鎖通知、そして、税務調査。時間がかかるの?
こちらが一番、読めない部分です。そして、一番重要な点かと感じています。
STEP③:「税務局」への閉鎖通知
基本的には、「税務局」への閉鎖通知をすれば、税務調査が実施されます。税務調査ですが、会社によって、状況が異なります。
- 過去されていたか?
- 直近いつまで?されている?
- 日本人が多い?
- 設立後何年経過している?
状況によって、税務調査がすんなり終わる場合や、そうでない場合があります。時には、税務調査が来てくれない場合など。
そのため、期間が読めないという問題があります。
当局側に、清算手続を進めるインセンティブがありません。
以下のような感じかと思います。
「ベトナムから撤退する会社だもんね。私はもっと他のことで忙しいんです!」
と本当に思っているかどうかはわかりませんが。
しかし、これまでの経験からすると、すべての手続の完了には、実務上、非常に時間がかかります。
最低でも1年~2年、場合によっては数年単位で時間がかかるケースもあります。
会社清算も支援しています
マナボックスベトナムでは、ベトナム子会社の会社の撤退、会社清算の支援手続をしています。ベトナム歴10年以上で日系企業述べ300社以上の日本語ネイティブな法律専門家や日本人公認会計士が、親身になって支援しています。お問い合わせは以下からお願いします。
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閉鎖・清算決定の申請!そして、清算完了
最後のステップです。上記で集めた資料(STEP4)や、完了して手続に基づき、閉鎖・清算手続を完了させます。
閉鎖申請後、原則として15日営業日以内に最終結果がおりる
これで完了です。こちらもサンプルを貼っておきますね。
本日は、ベトナム会社の清算のステップについて解説させていただきました。
せっかく投資したのに徹底、清算なんてつらいですよね。しかし、そう意思決定しなければいけない場合もあります。
もし、会社を清算する場合には、本日の記事を参考にされてください!