こんにちは、マナボックスのすげのです。
本日は、ベトナムの個人所得税と日本での所得税が二重に課税された場合のお話です。
ベトナムに進出している。日本人の出張が長引いて、ベトナムでも日本でも個人所得税が発生している。これを控除できるか?知りたい。
この記事のもくじ
結論:外国税額控除の適用できる可能性あり
日本及びベトナム(外国)の両方で課税している場合は、外国税額控除制度の適用を受けることができる。ただし、全額の控除ではない。
外国税額控除とは、日本で納めるべき税金から外国で納めた税金分を差し引けるという制度
これが結論です。
こんな状況の場合は、ベトナムと日本で税金を払っている。二重課税。
事例で確認していきましょう。
MN社のVさん(日本で役員でない)が、3月から11月まで、ベトナムに出張していたが、合計で183日を超えてしまった。そのため、この分の所得税をベトナムに納税しました。Vさんは、日本での居住者なので、日本においても納税(源泉徴収)していました。
そのため、3月から11月までの期間は、二重に課税されていることになります。
このような状況です。
もしかしたら、コロナ時期に、ベトナムに出張で来て、長引き、ベトナムでの居住者になってしまったという場合もあると思います。基本的には、183日を基準で考えることになります。それが、客観的にわかりやすいからです。ベトナムの税務担当官もこれを基準に判断してきます。
外国税額控除とその計算方法の概要
冒頭において結論で述べた様に、二重課税になった場合は、外国税額控除の適用を考慮することが可能です。
ただし、限度額があります。理解のために簡単な数値例を見てみましょう。
外国税額控除額は以下のうちのいずれか小さい方の金額
●その年に納税した外国での所得税の金額
●控除限度額:その年分の日本での所得税の額✖︎(国外所得➗所得総額)
控除限度額の計算がポイントです。
図解すると以下のような感じでしょう。
なお、控除しきれなかった分については繰越することが可能です。
外国税額控除の適用を受けるための手続の概要?
では、どのように税額控除を受けるのでしょうか?
- 確定申告が必要
- 確定申告書に「外国税額控除に関する明細書」や外国税額の証憑(エビデンス、納税の証明書)を添付
上記の通りです。「外国税額控除に関する明細書」は以下から入手できます。
外国税額控除によって還付されたのは誰のお金?
- 会社に返すことが合理的
一般的に、日本人の所得税は会社が負担します。したがって、確定申告によって還付されたとしてもその金額は、会社に属すると考えるのが合理的です。
また、会社が負担した所得税も、日本での課税所得に含まれると考えられます。この点は日本の顧問税理士に相談するといいでしょう。