グローバリゼーション!アジア!
多くの日本企業がアジアのマーケットに着目して、着々と進出に手を打ち始めていることは間違いありません。ベトナムも例外ではないですよね!注目度は高いですから。
ベトナムに進出している日系企業は、増加する一方です。
そうすると、ベトナムへの出張者も!増えているはずですよね?
こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。
そこで、気になる論点、ベトナムでの出張者の個人所得税(PIT)について、本日は解説していきたいと思います。
- ベトナムに日本本社から出張者を送ろうとしている人
- ベトナムで出張者に対して個人所得税を支払うべきか迷ってる人
- ベトナムでの短期免税を考えている人
本日の記事を読んで頂ければ、ベトナムへの出張者への個人所得税の法律と実務上の取り扱いを理解することができます。
これにより、正しくベトナムの税務上のリスクも認識できます。そのため、合理的な意思決定ができるはずです。
さっそくいきましょう!
法律上と実務上、そして、インパクトは?という視点で整理するとわかりやすいです。
この記事のもくじ
法律上は?出張者の個人所得は発生するのか?
法律上、ベトナムでは1日でも働いた場合には所得税が発生!
と理解してください。
ベトナム国の立場からすると、こんな感じかと思います。
「ベトナムでさ、汗流してさ、働いてさ、給与もらったんでしょ?じゃあ、税金払って当然だよね」
というイメージです。
でも、ベトナム個人所得税の実務上はどうなってるの?
2~3日でも、出張できたら払うの?という疑問が生まれると思います。(こんなこと言うと、怒られそうで怖いのです。思い切って言いますね…)
実務上は、払っていないケースがほとんどだと思います。
(注、もちろん、業務の内容によっては、ベトナムで個人所得が発生しない場合もあるかと思います)
そもそも、税務調査で当該出張者について税務担当官が知るリスクがあるのか?
ということですね。
おそらく、わからないでしょう。もちろんビザなどを取得せず、パスポートでベトナムに来ているのであれば旅行だと説明することも可能ではあると思います。
ただし!!
ベトナム法人が出張者の費用を負担すると働いたという客観的な事実が残る
出張者などのホテル代などをベトナム法人で負担した場合は、ご留意ください。なぜならば、出張者の人が、ベトナムで働いたという証拠が客観的に残ってしまうからです。
税務調査では、帳簿の閲覧してどの日本人がベトナム法人に来ているか?という視点で見ることは間違いないです。
短期滞在者の免税という言葉を聞いたことがあるけど…。
日越租税条約によれば、以下の条件を満たせば、短期出張者の免税はできます。
①ベトナムに滞在が183日以下であること。
②給与がベトナム側でなく、日本など(ベトナムに居住してない雇用者)から支払いがされていること。費用負担もしてないこと。
という条件です。(厳密にはちょっと違うのですが、PEとかよくわからないので無視してもいいです。)
- 「え、なんとなくいけそうだな。」
- 「これ適用すればいいんじゃないの?」
と思ったのは私だけじゃないでしょう! そう思ってしまいますよね!
しかし!
短期滞在者免税の規定が、実務上なかなか利用されない理由
しかし、この規定、安易に適用すると、よくありません。怖いです。なぜでしょう?
それは、
「単なる事前申請」
だからです。あくまで事前申請であることからリスクは将来まで残ります。すなわち、あくまで事前の申請であり、数年後の税務調査時に覆る可能性があります。
「うそーん!」
私もそう思いました。でも、ベトナムに住んでる皆さんなら想像できますよね。
「うん。後から理不尽なサプライズ…それはあり得るな…」
また、そもそも免税申請には20万円ほどコストが掛かります。(会計事務所費用ですね)
というのは、申請書類やその他資料の準備して、税務当局へ提出しなければならないからです。
実務上での3つの結論
冒頭にも、簡単に述べましたが、個人的な意見ではありますが、以下の3つに分類されます。というか、私ならこう判断します。
免税の事務手間、将来リスク、コスト、実務上の税務リスクを考えると、出張者については、以下のように整理できます。
①スポット的な短期出張者
⇒ベトナムでは個人所得税を申告しない。当然、短期滞在者の免税規定も適用しない。
なぜならば、税務調査でそもそも認識されるリスクを低くできるからです。(もちろん、賛否両論あると思います)
②GDなどでベトナム滞在が183日を超えないペースで出張で来る。
⇒GDなので、個人所得税は避けられない。非居住者として20%支払う。短期滞在者の免税規定は、将来税務上のリスクが残ってしまうので、適用しない。(5年後に、短期滞在免税なんて認めないよ!って言われたたら悲惨です、、、。)
ベトナムで社長を任命、その3つパターンとベトナム個人所得税の関係
日本に居住していて、ベトナムに来ない社長であってもベトナム個人所得税を支払うべき理由とは?
③今は出張でも、将来、GD?になるかも?将来、駐在するかも?
⇒将来的に、パスポートをチェックされる可能性が高いですので、ベトナムに滞在している期間もきちんと考慮して、個人所得税を支払うことを考慮する必要があります。短期滞在免除は、税務リスクが怖いので適用しない。という判断が合理的かもしれません。
いかがでしたでしょうか?
ベトナムの個人所得税について、短期滞在者免除が適用できない。というわけではございません。日越租税条約でもきちんと明確に定められています。
ただし、やはり、税務リスクと実務上の手間、本業への集中ということを考えるべきだと思います。
そうすると、自ずと答えは出てくるのかと思います。ただ、結論が1つでもないというの事実です。
悩ましい…。
ベトナム税務の制度と実務上のリスクをきちんと把握したうえで、あなたのベトナムビジネスが成功することを祈っていますね。
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上記は一般的な短期滞在者免税の内容となります。
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上述の通り、現地法人の場合は実務上は短期滞在者免税を実施するケースはほとんどございません。
一方で駐在事務所の場合は、滞在日数によっては「短期滞在者免税」が有効なケースもございます。
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