こんにちはマナボックスの菅野です。

ベトナムでビジネスをしている人は、こんなお悩みはございませんでしょうか?

「契約書っていつも作成しないといけないの?」

この記事はこんな人のために書いています。

ベトナムに進出したばかり。社長に就任しているが、取引に関する契約書など管理系の業務もしなくてはいけない。しかし、どのような場合に契約書を準備していいのかわからない?契約書について整理したい。

なお、以下で実務的なことも解説しています。

>>M-Lab_完全解説!ベトナムにおける売買契約書の10個のポイント【2軸マップで整理するからわかる】

ベトナムの契約書の意味合いについて整理する

以下のように整理するとスッキリすると思います!

STEP1:法律的に必要か?

STEP2:そうでない場合、取引の内容に鑑みて契約書を準備する必要があるのか?

  • 紛争を予防する観点
  • 税務的な視点

それぞれ解説していきますね。動画でも解説しています。

STEP1:法的にそもそも必要か?

例えば、ベトナムの場合、労働契約書などは、労働法などによって作成しなければいけません。

>>ベトナムの労働法改正のポイント 【まとめ記事】

STEP2:契約書は作成したほうがいいのか?

法的に必要でない場合、原則として当事者の判断となります。

そして、以下の視点で整理するとわかりやすいかと思います。

  • 紛争の観点(言った言わないの喧嘩。支援範囲についての揉め事)
  • ベトナム税務上の観点(損金算入やベトナム付加価値税)

ほとんどの場合、ビジネスの根幹である売買取引がメインとなります。

例えば、ハノイであれば以下の日系企業が多いと思います。

  • 製造会社が、製造会社に販売する場合
  • 商社が、製造会社に販売する場合
  • コンサルティングサービスの提供
  • 人材紹介
  • ITオフショア開発
  • スピーツジム、
  • クリニック
  • レストラン

こちら2つに分類すると、B to BまたはB to C分類されますよね。

紛争の観点

やはり、紛争の観点から、契約書を作成することがほとんどでしょう。口約束だけだとしたらどうでしょう?必ず問題が発生してしまいますよね。

  • 約束したサービスの内容・範囲
  • 問題が生じてしまった場合の責任
  • 支払いのタイミング

逆に言うと、紛争が起こる可能性がないと判断するのなら、契約書を作成する必要がないと言えます。

例えば、レストランなどのB to Cなんかはいちいち契約書を締結しないですよね。お客さんは注文して食べて、お金を支払って終了です。

ベトナム税務の観点

次はベトナムの税務の観点です。B to Bビジネスの場合、この観点からも契約書を準備したほうが望ましいと言えます。特にベトナムでの外資系企業ではそうだと言えます。

税務調査の際、税務担当官がチェックするにあたり、契約書で取引内容を確認することがあります。その場合、契約書がないと、不当な結果を招いてしまう可能性があるんですね。

典型例は、買い手の場合の、損金不算入ですね。「契約書がないなら損金算入認めないぞ」みたいなイメージです。事業関連性を否定するという理屈なんだと思います。

また、基本的には買い手のリスクが大きいですが売り手のリスクもあります。それは、ベトナム付加価値税を0%が妥当か?という点です。きちんと契約書に条件を満たすような文言がなければ、付加価値税の対象だった。という指摘がある可能性があります。

>>【ベトナム税務講座】サービス輸出でのVAT(付加価値税)の留意点 VAT0%? VAT10%?

 

ベトナムにおける契約書作成の判断の軸とは?

それでは、取引の都度、契約書を作成するか?と言う点はどうでしょう?

こちらは、個人的な意見も入っていますが、以下のようになると考えています。

  • ビジネスがB to Bか?
  • 繰り返し行われるような取引か?
  • 金額的な重要性はあるのか?

それぞれ解説していきますね。

ビジネスがB to Bか?

あなたのビジネスがB to B、つまり、企業向けの場合は、基本的に作成すると思った方がいいと思います。

金額的にも大きくなりますし、税務上のリスクを考慮すると、「契約書」は強いエビデンスになるはずです。

一方で、レストランやスーパーなどのB to Cは、契約書なんていちいち結ばないですよね。

また、売り手のリスクとして、VATを0%か10%にするか?というのがあります。このリスクがある場合も契約書は準備すべきでしょう。

繰り返し行われるような取引か?

基本契約条項に基づいてその後繰り返し取引が継続する場合です。

人材紹介を定期的に利用する場合が考えられるかもしれません。この場合、「基本契約書」を作成し、その後、個別の取引は以下の選択肢があるかと思います。

  • ・契約書
  • ・発注書

実務的は、成約の都度、「契約書」を結んでいるパターンが多いかと思います。ただ、理論的には「発注書」でも可能なはずです。

ただ、ベトナム税務の一番の怖いところは、「担当者の判断」次第ってところです。答えが複数あるんですよね。なので、どうしても、安全な方法をとりがちです。

金額的に重要性があるか?

例えば、数万円の場合は契約書を交わさない場合もあります。見積書や発注書だけも十分であると考えられます。もちろん、ホアドンは必要ですよ。

本日のまとめ

本日は、ベトナムにおける「契約書」の考え方について、紛争の観点やベトナムの税務上の観点から整理して解説いたしました。

スッキリ理解して、「契約書」を作成する、しないの判断ができるようになれば幸いです。ただ、どうしても不安な場合には普段お願いしているコンサルティングファームの専門家に必ず聞いてくださいね。