こんにちは、マナボックスの菅野です。
3月10日、こんなお話がチャットで届きました。
「Youtubeからの収益が、源泉されてるって本当…?ですか」
「え!そうなんですか」
その時、私は、知りませんでした。源泉徴収されるってことは、youtuberの収入の手取りが減ってしまうってことなんですね。
これは、とっても気になるニュースです。私たちの専門の国際税務の分野だし、インパクトが大きいなと思ったからです。本日は、Youtuberのアドセンス収益、要するに、広告収入について、税金が差し引かれてしまうの?それって、どういった理屈?それを防止するためには?をお伝えしたいと思います。
(ちなみに私もyoutubeやってますが、収益ないので、今回お話することの悩みはありません(涙)収益化している人すごいと思います。リスペクト!)
具体的には、以下の収入が対象のようです。広告、YouTube Premium、Super Chat、Super Stickers、チャンネルメンバーシップを通じて米国の視聴者から得た収益。
ベトナムの個人所得税や外国契約税ともリンクして来るはずです。
この記事のもくじ
なぜ、Youtuberの収入から24%も源泉徴収されてしまうのか?
まずはこれですよね。気になります。一言で砕いて説明すると以下の通りです。
Youtube使って、アメリカでも儲けてるでしょ。じゃあ、税金払ってよ。この場合、youtuberの全世界における収益合計の最大 24%を税金として徴収するよ。(個人の場合)
まずは、結論!安心してください。手続すれば、合理的な納税金額です。
ただ、結論として、『税務フォーム』を提出すれば、大きな金額で源泉徴収されることはありません。これは、最初に理解しておきましょう。後ほど詳しく説明しますね。
以下は、Google Supportからの引用です。
早ければ 2021 年 6 月より、Google は、米国の視聴者から生じた収益に対して米国の源泉徴収税の控除を開始する可能性があります。これに伴い、可能な限り早急に、米国の税務情報を AdSense でご提出いただけますようお願いいたします。2021 年 5 月 31 日までに税務情報をご提出いただけなかった場合、クリエイター様の全世界における収益合計の最大 24% が、Google により控除される場合がございます。米国にお住まいのクリエイターの皆様はすでに税務情報をご提出いただいているかと存じますが、AdSense アカウントの税務情報が正しいことを今一度ご確認ください。
引用元:https://support.google.com/youtube/answer/10391362?hl=ja
源泉所得の考え方
ちょっとピンと来ないかもしれません。もう少し詳しくみて行きましょう。
要するに、例え、日本人向けのYoutubeであったとしても、「アメリカの居住者」が見ているかもしれません。その人がクリックして生まれるアドセンス収入、つまり、youtuberの売上であれば、その収入って、「アメリカで生まれた所得」ですよね。ってことです。
であればアメリカで払ってもらわないと困りますよ。って理屈です。以下は引用です。
Google は、YouTube パートナー プログラム(YPP)に参加しているクリエイターから税務情報を収集する必要があります。税額控除が適用される場合、YouTube における広告の表示、YouTube Premium、Super Chat、Super Stickers、チャンネル メンバーシップを通じて得た収益のうち、米国の視聴者から得た分につき Google が源泉徴収を行います。
Google が米国の税金を控除する理由
YouTube パートナー プログラムに参加しているクリエイターが米国の視聴者からロイヤリティ収益を得た場合、Google は、米国内国歳入法第 3 章に基づき、税務情報を収集し、源泉徴収を行い、内国歳入庁(IRS とも呼ばれる米国の税務当局)に報告する義務があります。米国の視聴者から収益を得た場合、早ければ 2021 年 6 月から税金の控除(源泉徴収)が開始されます。
引用元:https://support.google.com/youtube/answer/10391362?hl=ja
要するに、以下の根拠で、源泉徴収されます。
- どんな法律→米国内国歳入法第 3 章に基づき
- どんな場合→アメリカのyoutubeの視聴者からから収益があった場合
つまり、専門用語になりますが、「源泉所得」という考え方がとても重要になります。これをかいつまんで解説すると、「その国で儲けてますよね」ってことです。なので、税金の論点が出てきます。ざっくり図解すると以下の通りです。アドセンスのスキームとか気になる場合は、ググって調べると詳しい解説があります。
これは、ベトナムの個人所得税の社長や出張者の話や、外国契約者税とリンクしますよね。
>>【ベトナム個人所得税】日本に居住していて、ベトナムに来ない社長であってもベトナム個人所得税を支払うべき理由とは?
>>FCT(外国契約者税)をシンプルに易しく理解する方法【ベトナム税務】
Youtuberの源泉税に関する考えられる3つのシナリオを図解で解説
Yotubeヘルプページでは、以下の3つのシナリオを説明していました。
- クリエイターが税務情報を出していない場合→総額の24%
- クリエイターが税務情報を出している場合で、租税条約あり→0%(租税条約による。日本の場合はゼロ)
- クリエイターが税務情報を提出している場合で、租税条約なし→米国視聴者からの収益に30%
事例も解説していたのでわかりやすかったです。
今回の変更について理解していただくための計算例例: 日本のクリエイターが先月 YouTube から得た収益が $1,000 だったとします。収益合計 $1,000 のうち、米国の視聴者から得た収益は $100 でした。この場合、考えられる源泉徴収のシナリオは次のとおりです。
クリエイターが税務情報を提出していない場合: 税務情報を提出していない場合、源泉徴収税率は収益合計の 24% になるため、最終的に差し引かれる税金額は $240 です。つまり、クリエイターから完全な税務情報が提供されるまでは、米国だけに限定されない、全世界における総収益の 24% が Google によって差し引かれることになります。 クリエイターが税務情報を提出し、条約による優遇措置を申請する場合: 最終的に差し引かれる税金額は $0 になります。日本と米国の間では租税条約が結ばれており、税率が米国の視聴者から得た収益の 0% に軽減されるためです。 クリエイターが税務情報を提出したが、租税条約による優遇措置を受けられない場合: 最終的に差し引かれる税金額は $30 になります。租税条約が結ばれていない場合の税率は米国の視聴者から得た収益の 30% になるためです。引用元:Youtubeヘルプ
表にするともっと理解が深まると思います。条件は、上記と同じとします。また、日本の場合を例にします。ちなみに以下のIRS のウェブサイトで、アメリカと租税条約を結んでいる国がわかります。租税条約の主な目的は、「二重課税の回避」です。日本とアメリカの間では、、租税条約を結んでいますが、ベトナムは、結んでいないようでした。
- YouTube から得た収益が $1,000
- このうち、米国の視聴者から得た収益は $100
シナリオ | 租税条約 | 税金の計算の基礎 | 税率と税額 |
税務情報を提出していない | – | 1,000USD(総収入) | 24%、240 |
税務情報を提出している | 租税条約あり (12条の1) | – | – |
租税条約なし | 100USD(アメリカの人が見た) | 30%、30 |
図解してもわかりやすいです。
ちなみに、アメリカの人が見ていることによる広告収入は、YouTube Studioで確認するには、収益レポートを表示して地域フィルタを適用することでわかるようです。
どのような手続を実施すればいいか?
こちらについては、以下の動画でわかりやすく解説されたいました。参照ください。
要するに、「納税者番号」(マイナンバー)の入力をすることが必要です。
ベトナム居住のYoutuberは?源泉所得あり?
上記では、日本人、日本の居住者であることを前提としました。では、ベトナムの居住者はどうでしょう?
まず、ベトナムにおけるYoutube収入の課税関係について整理して行きたいと思います。
Youtubeの総額に対して、7%の税金が課税される。内訳は付加価値税(VAT)が5%で、個人所得税が2%
結論はこちらです。ベトナムの居住者は、こちらに基づき納税する必要があります。日本だと事業所得や雑所得になるようです。根拠条文は以下の通りです。
Law on Tax Administration No. 38/2019 / QH14やOfficial Letter No. 11018 / CT-TTHTやofficial letter No. 40445 / CCT-NVDT & TNCN
個人事業主に似た様な考えで計算して申告します。つまり、個人所得税の申告書のフォームではないということです。VATとPITを分けて申告するわけではありません。そして、ポイントは、「総収入」に対してということかと思います。こちらについては以下のニュースも参考になると思います。
>>【ベトナムニュース】#37 なぜ、3,000億ドン(約15億円)以上の所得なのに、税金を7%しか払わないのか?
>>【ベトナムニュース】#011 ベトナムでは、脱税する有名なユーチューバー は刑事責任を追及される可能性がある
「ベトナム居住者のYoutuber」も、24%の高すぎるアメリカ源泉税を回避するためには、税務情報を提出する必要があります。おそらく、個人所得税の税コードがあるので、それを記入するのだと推測されます。なので、税務情報を提出することが大事であることは変わりません。
問題は、税務情報を提出したとしても、アメリカの視聴者から得た収益については免税にならないかと考えいます。というの、租税条約を結んでいないからです。そのため、どうしても「アメリカの人が見ている分のyoutubeの広告収入」については、源泉徴収されてしまいます。
本日のまとめ
本日は、youtuberの広告収入が、源泉徴収されるというお話をしました。
3つのシナリオ
- 税務情報を提出しなければ、総額に対して24%
- 税務情報を提出して租税条約あれば、0%(日本の場合)
- 税務情報を提出して租税条約がなければ、アメリカ人が見た分の広告収入に対して30%
と言うことでした。いずれにせよ、yotubeで稼ぎがる人は、税務情報を提出することは忘れにないように必要がありますね。
忘れずに!