こんにちは、マナボックスの菅野です。
今日は『ベトナム残業代の税務リスクとは?』というテーマでお伝えします。
- ベトナムで製造業をしており、従業員の多くの残業が発生している。
- 残業時間の上限(200 時間や300時間)を超えている。
- なんだか税務リスクがあると言われているが具体的な内容がよくわからない。
このような悩みを解決できます。
残業代の法人税と個人所得税のリスクとは?
ベトナムで業務をされている社長様であれば、よく聞くであろう「残業時間」の論点。年間で200時間とか場合によっては300時間の上限があります。
>>【ベトナム労務】ベトナムの労働時間と残業時間・残業代の具体的な9つのパターンとは?【図解あり】
ただこれ、実務上は超過してしまう場合がよくあります。特に製造業などではよくあります。会社側からしても残業してほしい場合もありますし、従業員の立場からしても「残業したい」という要望があります。
>>ベトナム残業時間200時間から300時間へ?【No. 17/2022/UBTVQH15の解説】
- ・個人所得税が増える
- ・法人税が増える
このようなリスクがあります。言い方を変えれば「キャッシュアウト」が増える可能性があります。
とはいっても内容についてはよくわからないですよね。こちらについてそれぞれ解説していきます。
なぜ残業時間上限を超えると個人所得税が増えるのか?
以下の理由からです。
超過した残業代の割増部分にか個人所得税がかかってしまうから。
前提条件として以下の知識をおさえておく必要があります。
簡単にいうと、残業の割増分については個人所得税が課税されないという点です。たとえば、残業すると通常の賃金(時給のイメージで大丈夫です)の150%とか200%になるわけです。具体的には通常1000/時間の人が残業すると1500/時間の稼ぎとなるわけです。
この場合の割増は500となるわけですがここに対しては個人所得税が課税されません。
しかし、残業時間の上限を超過してしまった場合にはそこれについては個人所得税を課税するというような主張がされてしまうのです。そういったリスクがあるのです。
残業時間上限の残業の人件費は損金不算入
続いて法人税法上の影響です。
超過した残業にかかる人件費は損金に算入されない可能性がある
法人税法はこういったリスクがあります。前提条件として以下の知識はあったほうがいいです。
>>“損金不算入”ってなんだ?わかりやすく解説 ベトナムにおける典型例とは?
どんな国でも税収を増やしたいのです。法人税は儲けに対して課税されるので「儲けて」ほしいのです。つまり、どんな費用でも損金(税務上の費用)として認めたくありません。そういった観点からも法律上の上限を超えたんだからそれは損金として認めないよ。となるわけです。
本日のまとめ
本日はよくある話の法令上の残業上限時間を超過した場合の税務リスクについて解説しました。
- 個人所得税が増える
- 法人税が増える
こんなイメージを持って頂ければと思います。もう少し踏み込むと、以下のようになります。
- 個人所得税:割増部分にも残業代が計算されるので個人所得税が増える。
- 法人税:超過部分については損金とならないため税務上の利益が増えその結果法人税も増える
です。
お役にたてれば幸いです!