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今日のテーマは『土地使用料と税金の支払いの延長とその影響』です。

2023年4月14日、ベトナム政府は2023年の以下の税金の支払い期限を延長するための「政令12/2023/ND-CP」を発表しました。

  • 付加価値税
  • 法人税
  • 個人所得税
  • 土地使用料

政令等の法律には必ず趣旨があります。ベトナム政府の想いとも言い換えることができるでしょう。この趣旨をきちんと考えることがベトナムビジネスを面白くするコツですよ。

この税金の支払い期限延長制度は、ベトナム政府が「経済の回復」を促し、企業や個人の負担を軽減するために策定したものです。税務当局と連携し、適切な申告と支払いを行い、延長措置を活用することが重要であり、それによって経済活動の持続性と安定性が向上し、ベトナム国民全体に利益をもたらすことが期待されています。

ということはベトナム政府は、ベトナムの経済状況があまりよくないと思っているのでしょう。

まるで疲れ果てた経済に活力を与える魔法の杖のように機能することを期待しているのだと思います。ベトナム政府は以下のように思っているのでしょう。

国民の皆様が助け合い、共に前進していくことが大切です。この税制の変更が、経済状況の改善に貢献し、企業や個人にとって有益であることを願っています!

こちらについてインパクトを深堀りしていきたいと思います。

付加価値税(VAT)の支払いの期限の延長【6ヶ月!】

まとめると以下のようになります。月次と四半期の申告のパターンがありますのでそれに応じて延長の期限が決まっています。

なお、税務のスケジュールの考え方については以下の記事を参考にしてください。

>>ベトナム税金の申告・納税スケジュールをスッキリ覚える方法【11パターンに整理】

VATの発生期間

付加価値税の支払い期限

2023年3月

2023年10月20日

2023年4月

2023年11月20日

2023年5月

2023年12月20日

2023年6月

2023年12月20日

2023年7月

2023年12月20日

2023年8月

2023年12月20日

2023年第1四半期

2023年10月31日

2023年第2四半期

2023年12月31日

支払い期限が通常よりも基本的には6ヶ月も延長されたことがわかりますね。

支店や関連部門を持つ企業や組織が、税務当局が直接管理する支店や関連部門と別に付加価値税を申告する場合、支店や関連部門も付加価値税の支払い延長の対象となります。ただし、税金延長が適用される経済部門や分野での生産・事業活動がない企業や組織の支店や関連部門は、付加価値税の支払い延長の対象外となります。

  • 税金延長の対象となる経済部門や分野で事業を行っている個人事業主や個人については、2023年に発生した付加価値税の延長分を、遅くとも2023年12月30日までに支払う必要があります。

なお、上記の規定は、輸入段階の付加価値税(輸入VAT)には適用されません。

法人税、個人所得税、土地賃貸料の延長はどのように?

VAT以外の税金等はどのように延長されるのでしょうか?

法人税(中間)は3ヶ月延長、支店も対象

政令12/2023/ND-CPの第4条第2項に基づき、2023年の法人所得税期の第1四半期および第2四半期の仮払法人所得税額の支払い期限が3か月延長されます。これにより、企業や組織はベトナム税務管理法に基づく法人税の支払い期限の終了から3か月の猶予が与えられます。つまり3ヶ月の延長です。

法人税の中間納付については以下の記事も参照してください。

 >>【91/2022/ND-CP 法人税の中間納付】75%ルールの廃止と80%ルールの復活【遅延利息を取り戻せ】

税務当局が直接管理する支店や関連部門と別に法人所得税を申告する企業や組織の支店や関連部門も、延長対象となります。ただし、延長対象の経済部門や分野での生産・事業活動がない場合、支店や関連部門は法人所得税の支払い延長の対象外となります。

>>ベトナムの支店には2つある。独立?従属?留意すべき税務とは?

 個人所得税について

政令12/2023/ND-CPの第4条第3項により、税金延長の対象となる経済部門や分野で事業を行っている個人事業主や個人は、2023年に発生した個人所得税の延長分を遅くとも2023年12月30日までに支払う必要があります。

こちらは日系企業には大きな影響がないかもしれません。個人事業主ではないケースがほとんどでしょう!

 2023年の土地賃料は50%が延長の対象だ!2023年5月31日から2023年11月30日までの6か月間

政令12/2023/ND-CPの第4条第4項による、2023年に発生予定の土地賃料の50%についての支払い期限延長の規定:

国家から直接土地をリースしている企業、組織、世帯、個人は、2023年に発生する土地賃料の50%分の支払い期限が延長されます。これらの主体は、適切な国家機関の決定または年次土地賃料支払いの形式の契約に基づいて土地をリースしています。

延長期間は、2023年5月31日から2023年11月30日までの6か月間です。

この規定は、企業、組織、世帯、個人が複数の国家の直接土地リース契約や決定を持ち、政令12/2023/ND-CPの第3条に規定されている経済部門や分野を含むさまざまな生産・事業活動を行っている場合に適用されます。

対象者はだれ?不景気の影響を受けている業種?

この規定は、企業、組織、世帯、個人が複数の国家の直接土地リース契約や決定を持ち、政令12/2023/ND-CPの第3条に規定されている経済部門や分野を含むさまざまな生産・事業活動を行っている場合に適用されます。

企業、組織、事業世帯、事業個人が、政令12/2023/ND-CPの第3条に規定されている経済部門や分野を含む多様な経済部門で生産・事業活動を行っている場合、企業や組織は支払い対象の「付加価値税」および「法人所税」の延長を受ける権利があります。

また、事業世帯および個人は、政令12/2023/ND-CPに従って、支払い対象の「付加価値税」および「個人所得税全額」の延長を受ける権利があります。

政令12/2023/ND-CPの第3条によれば以下のようになります。日系企業は一部含まれない業種があるかもしれません。詳細はかならず専門家に聞いてくださいね。

日系企業(該当するか)という視点でまとめると…

  • 製造業(自動車、電子製品、印刷、食品、金属)
  • ホテル業、運送業、人材紹介系、旅行系
  • 小規模な会社

は税金の支払いを延長できそうです。

カテゴリ

 

 

経済部門

(1)農業、林業、漁業
 食品の生産・加工;織物;衣類の製造;革製品および関連製品の製造
 木材の加工および木材、竹材、コルク製品の製造(ベッド、キャビネット、テーブル、椅子を除く);わら、ワラ、編み物材料からの製品の製造
 紙および紙製品の製造;ゴム製品およびプラスチック製品の製造;その他の非金属鉱物製品の製造;金属の生産;機械;金属の処理およびコーティング
 電子製品、コンピュータおよび光学製品の製造;自動車およびその他の自動車の製造;ベッド、キャビネット、テーブル、椅子の製造
 建設
 出版活動;映画活動、テレビ番組制作、録音および音楽出版
 原油および天然ガスの採掘(契約に基づいて収集された原油、凝縮油、天然ガスの法人所得税は延長対象外)
 食品・飲料の製造;あらゆる種類の記録の印刷・複製;コークス、精製石油製品の生産;化学製品および化学製品の製造
 金属製品(機械および設備を除く)の製造;オートバイおよびオートバイの製造;機械および設備の修理、保守および取り付け
 排水および廃水処理
(2)輸送および倉庫;宿泊および飲食サービス
 教育と研修;保健および社会支援活動;不動産業;
 労働および雇用サービス活動;旅行代理店、ツアー事業および関連サービス、ツアーの促進および組織に関連する支援サービスの活動
 創造、芸術および娯楽活動;図書館、アーカイブ、博物館およびその他の文化活動の活動;スポーツおよび娯楽活動;映画上映活動
 ラジオおよびテレビ活動;コンピュータプログラミング、コンサルティングサービスおよびその他のコンピュータ関連活動;情報サービス活動
 鉱業支援サービスの活動
3)

優先開発のための支援産業製品の生産に従事する企業、組織、世帯、事業世帯および個人;主要機械製品。

(4)

2017年の中小企業支援法および2021年8月26日付け政府令80/2021/ND-CPによる中小企業支援法の詳細な規定に従って定義される小規模およびマイクロ企業。

 

支払いの延長ができるということは金利が期待できる

少し専門的なお話になってしまいますが、お金の時間的な価値と関連してきます。この延長を利用することによって6か月その分を定期預金で運用すれば利息分得するかもしれません。もし、お金に余裕があるのであればこの延長を利用して金利分のお金を増やしてもいいかもしれませんね。

「お金の時間価値」とは、お金を使うタイミングによって、その価値が変わってくることです。お金の価値は、日々変化しています。額面は同じ100万円であっても、現時点の100万円と1年後のそれとではお金が持つ価値は異なります

今の100万円と1年後の100万円は違うのです。仮に金利を10%とすれば、今の100万円は1年後に110万円になりますよね。

すなわちこの場合、「今の100万円=1年後の105万円」ですから、「1年後の100万円」より「今の100万円」のほうが価値は高いわけです。

もう一つ例を挙げましょう。もしあなたが貯金をしようと考えた場合、今すぐに貯金をする方が、1年後に貯金をするよりもお得だということが言えます。なぜなら、今すぐに貯金をすることで、そのお金が利子を生み始め、1年後にはそれだけ利子分のお金が増えているからです。

このように、お金の価値は時間とともに変わってくることを知っておくと、より効率的にお金を使うことができますよ。

今回の場合は「延長」するというのが合理的な判断となりますよね。

いま払うか?将来払うか?でいうと将来払う!方が特するのですね。

この記事が皆様のお役にたてることを祈っております🙇