2023年10月10日に、ビンズオン省の人民裁判所は、ビンズオン省とビンフオック省における複数の行政機関で発生した労働許可証発行違反事件の審理を継続し、ビンズオン労働・傷病兵・社会問題局(DOLISA)の専門公務員であるグエン・キエン・クオン被告が、企業から数十億ドンの賄賂を受け取って同局の局長に「テトの贈り物」をしたと供述するという劇的な事件が発生した。
いろんなところでニュースとして取り上げられている。
この記事のもくじ
労働許可証取得に関わるベトナム公務員の不正
現金や送金で受け取った83億ドン!日本円で5千万円!?
この事件で裁かれた17人の被告には2つのグループがある。
- グループ1:労働・傷病兵・社会問題局の元幹部グループ、ビンズオン省工業団地管理委員会の元幹部、ビンフオック省経済区管理委員会が「賄賂の収受」または「公務遂行中の地位と権限の乱用」という犯罪行為で裁かれた。
- グループ2:もう一つの被告グループは外国人向けの労働許可証申請を行うための仲介会社のメンバーで、「機関・組織の文書偽造」、「他人がベトナムに不法滞在できるための手配」、「賄賂の贈り」という罪で裁かれた。
10月9日から公判が開かれ、「文書偽造」行為に関する被告グループへの尋問が行われた後、裁判所は「賄賂の贈り」と「賄賂の収受」行為に関する被告への尋問を開始した。
10月10日の午後、裁判所はこの事件の主犯であるグエン・キエン・クオン被告(37歳、ビンズオン労働・傷病兵・社会問題局の専門公務員)を尋問した。
キエン・クオン被告は、外国人の労働許可証申請を処理する過程で83億ドン以上の賄賂を受け取った罪に問われている。合計額がやばいですね。日本円にすると5千万円です。処理された書類の数は2017年から2022年まで約2,300セットに上った。
法廷では、ヴー・ホアイ・タインさん、チャン・マイ・ホンさん、サム・ニュットさんを含む「賄賂の渡し」行為に関する被告が尋問された後、彼ら全員は何度もビンズオン省行政センターのロビーでグエン・キエン・クオン被告に銀行振込や現金で賄賂を渡したと白状した。
賄賂の大半を上司に渡した?
キエン・クオン被告は、外国人の労働許可証申請を処理する際、1件あたり最低200万ドン(1万2千円以上)として何回も企業・個人からの「報酬」を受け取っていたと自白した。
キエン・クオン被告の自白により、起訴状に記載された総額は83億ドン以上であったが、その殆どは「上司のため」に使われた。
特に彼はその総額の約4分の3をゴー・グエン・タイ・ハンさん(労働・傷病兵・社会問題局の労働政策部の副部長)に渡したと供述した。しかし、ハンさんはこの事件捜査中の2022年5月に他界した。
また、彼はレ・ミン・クオック・クオンさん(省労働・傷病兵・社会問題局の元局長)の家を訪れ、毎回5,000万ドン又は1億ドンの入った封筒をプレゼントしたという。
彼は、「4~5回ほど」局長への「新年の挨拶」に行き、「贈り物をする」際、局長に「これは労働許可証発行のための各企業からの謝礼金だ」と言ったと供述した。
ビンズオン省の元局長は部下からの賄賂収受を否定
10月11日、法廷で、ビンズン省労働・傷病兵・社会問題局の元局長であるレ・ミン・クオック・クオン被告は、部下からの賄賂と「テト・ギフト」の受け取りを否定した。
クオック・クオン被告により、部下の証言と実情に矛盾があった。彼は「キエン・クオンさんは4~5回で毎回5千万ドンから1億ドンのテト・ギフトを渡したが、総額は1億5千万ドンに過ぎず、つまりデータが一致しない」と述べた。
彼は、労働許可証申請を承認する過程では、同局の労働政策部副部長であるゴー・グエン・タイ・ハンさんを通じてのみ仕事を行い、キエン・クオン被告が専門公務員であったため、局長である自分と直接仕事をしなかったという。
部下の行動について質問されたクオック・クオン被告は、キエン・クオン被告が金銭面で自分の信頼と機関の威信に悪影響を与えたため、「心が痛む」と述べた。
クオック・クオンさんは163社で働いている518人の外国労働者向けの労働許可証に署名したという自分の過ちを認めた。
その中には、外国人が企業で働かないことを許可されたケース、省級人民委員会の承認文書を受ける前に許可証を発行したケース、規定に従う新型コロナ流行防止の誓約書がないまま許可証を発行したケースなどがある。
しかし、クオック・クオンさんにより、間違いのある許可証に署名したのは、部下を信頼していた、投資環境のために企業に対する行政手続きを早く解決したかった…などの理由によるものだけで、部下から、あるいは企業・許可証取得者から物質的な利益を受け取ったためではない。
他の被告:不正な許可証の署名を認め、賄賂の受け取りを否定
同様に、ホアン・タイン被告(ビンズオン省工業団地管理委員会の部長)は、法廷で外国人の労働許可証申請467件を処理するために15億ドン以上の賄賂を受け取ったことを認めた。
彼によると、労働許可証申請1件につき150万ドンから200万ドンまで各副会長(許可証への署名のため)に渡したと供述した。
ビンズオン省工業団地管理委員会の元副会長3名であるグエン・タイン・チュン被告、ダン・クアン・ベト被告、グエン・タイン・ニャン被告の全員は、検察院が告発した不正な労働許可証の署名を認めたが、部下から「分配された」賄賂を受けたことを否定した。
労働許可証事件に対する検察官の求刑
10月12日、裁判は検察の求刑と弁護士の弁護という段階に入った。
ビンズン省人民検察院の代表者は、不正な労働許可証発行事件の被告17人に対する判決を提案した。元職員7人の被告グループは、「賄賂の収受」または「公務遂行中の地位と権限の乱用」という2つの違反行為で裁かれた。
レ・ミン・クオック・クオン被告(57歳、ビンズオン省労働・傷病兵・社会問題局の元局長)に、「公務遂行中の地位と権限の乱用」罪で、3年から4年の懲役刑が求刑された。
彼の部下であるグエン・キエン・クオン被告(37歳、ビンズオン省労働・傷病兵・社会問題局の元専門公務員)に、「賄賂の収受」罪で16年から16年6ヶ月の懲役刑が求刑された。
ホアン・タイン被告(60歳、ビンズオン省工業団地管理委員会の元部長)に、「賄賂の収受」罪で14年から14年6ヶ月の懲役刑が求刑された。
ビンズオン省工業団地管理委員会の元副会長3人は、「公務遂行中の地位と権限の乱用」罪として、グエン・タイン・チュン被告(50歳)に2年~3年、ダン・クアン・ベト被告(64歳)に1年~2年、グエン・タイン・ニャン被告(51歳)に1年6カ月~2年6カ月の懲役刑が求刑された。
ビンフオック省経済区管理委員会の元副部長であるディン・タイ・トゥアン被告は、「賄賂の収受」罪で7年~7年6ヶ月の懲役刑が求刑された。
残りの10人の被告は、「賄賂の贈り」、「機関・組織の文書偽造」、又は「他人がベトナムに不法滞在できるための手配」という罪で裁かれている個人である。この被告グループの中で、懲役刑の最長期間で求刑された人は12年から14年まで、最短期間で求刑された人は1年から1年6ヶ月までだと提案された。
弁護側では、弁護団は被告人たちの有罪を認めたこと、家庭の事情、各被告の個人的業績などの情状酌量を提示した。
この事件は10月13日まで審理手続の終結になる予定である。
労働許可証事件の被告が賄賂全額を返済した
「賄賂の収受」被告グループは、余波を克服するための金銭の全てを支払った。グエン・キエン・クオン被告と家族は75億ドン(45百万円以上)(現金と口座で凍結される預金)を返済した。
ホアン・タイン被告と家族は15億ドン以上、及びディン・タイ・トゥアン被告と家族は7億5100万ドンを返済した。
日系企業がどうしてもぶち当たる悩ましい問題、日系企業はどう対処するべき?
日系企業がどうしてもぶち当たる問題、それが賄賂だ。これまでマナボックスでもいろいろな記事を執筆してきた。是非、以下の記事を参照してほしい。
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