こんにちはラボの菅野(すげの)です。

会社の仕事の中で、お客様やパートナーに「プレゼント(贈答品)」を渡すことってありますよね。
お歳暮、お中元、開店祝い、キャンペーン…いろんな場面で使われます。自社のスタッフに月餅をわたすこともあるでしょう?

でも、その贈り物、「タダであげたものだから関係ないでしょ」と思っていたら要注意。
実は、プレゼントにも税金(VATや法人税)がかかってくるんです。

しかも、処理を間違えると

  • 税務調査で「これはダメ」と言われたり、
  • 会社の経費として認められなかったり、
  • 追加の法人税を払うことになったり…

なんてことも。

この記事では、贈答品に関する会計処理と、税務上の正しいルールを、やさしく解説していきます!

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贈答品に関する会計処理を解説

ここちょっとわかりにくいです。以下のリンクで詳細に解説しています。

>>ベトナムで顧客にテトギフトなどを渡した場合の税務上の留意点とは?

■ 会計処理の流れはこうなります。

  1. 贈答品を購入したとき:普通に処理です。
     →「仕入れ」として処理(例:販売促進費、接待交際費)

  2. お客様に贈るとき
     →「売上と同じ形式」でVAT(付加価値税)を計上しなければいけません。

つまり、「お金をもらってない」のに、あげた分に対して売上みたいにVATを払う必要があるんです。こんなイメージ。ただで贈ったからといって「インボイス不要」ではありません。
通常の販売と同じように、VAT付きの請求書(インボイス)を発行する必要があります。

借方金額

貸方

金額

ギフト費用 

1,000現金1,100
仮払いVAT

100

費用(ここ!損金になるの?)

100

借受VAT(3331)

↑ここで発行

100

です。では「費用」として処理したのは損金になるのでしょうか?

税務上の取扱いと注意ポイント

ここがいちばん大事なところです!

❌ この費用処理したインプットVATは損金(経費)になりません!

VATインボイスを発行した時に「費用」として処理しているわけですがこれは「損金」算入されません。上記の事例でいえば1,100出金したのにも関わらず、100が損金となりません。

法的根拠はこちら!

法人所得税法 第14/2008/QH12号(2008年6月3日)

  • 第9条 第2項 m点:

    控除された仕入VAT、および控除方式に基づいて支払ったVATは、法人所得税の課税所得を算定する際の費用に含めてはならない。

    ちょっとわかりにくいですね。要は仮払いVATを費用処理した場合は損金にならないということでしょう。

通達96/2015/TT-BTC(2015年6月22日)

  • 第4条2.37項:

    VATに関する法令で定められた控除限度額を超える部分

    これもわかりにくいです。要は「仮払VAT」として認めれなかった分、つまり費用処理したものは損金とならないということです。

通達129/2008/TT-BTC(2008年12月26日)

  • 第II章:付加価値税の計算と申告
    第5条:売上に対する税の計算
    ポイント:パートB(インボイス・証憑) IV.2.4.b

    無償贈与、進呈、社内消費などの場合でも、VATインボイスを発行し、VATを計算する必要がある。

    ギフトであってもVATインボイスを発行する根拠ですね。

公式通知・回答(Công văn / Official Dispatches)

オフィシャルレターによる見解もまとめますね。少しマニアックです。

Official Letter No. 3937/TCT-DNL(2011年11月1日)

  • BIDV保険会社に対する回答
  • 控除方式でVATを納税している企業が、顧客への贈答品に関するVATを損金にできないことを明示

Official Dispatch No. 1585/TCT-CS(2022年)

  • スポンサーシップ等による現物提供に係るVATが法人税計算上の費用(損金)にならないことを明確化
  • 「法人税法においては、非現金収入に係るVAT費用の控除規定が存在しない」と記載
実際のOLを見てみよう!

財務省
税務総局

ベトナム社会主義共和国
独立 – 自由 – 幸福

文書番号:3937/TCT-DNL
法人所得税の課税所得を算定する際の合理的な費用について

ハノイ、2011年11月1日

宛先:BIDV保険株式会社

2011年8月15日付けのBIDV保険株式会社(BIC)の公文書番号2465/CV-TCKTに関し、法人所得税の算定における合理的な費用の取り扱いについて照会がありました。これに対し、税務総局は以下のとおり見解を示します:


1. 顧客への贈答品に係る仕入れ時の付加価値税(VAT)の取扱いについて

BIDV保険株式会社は、損害保険業を営む法人であり、控除方式によってVATの申告および納税を行っています。保険業務にかかる収益には、VAT課税対象および非課税の収益が含まれています。

財務省が2011年1月21日付けで発行した通達第09/2011/TT-BTC号、第8条第1項c節において以下のように規定されています:

「c) 保険会社は、VATおよびその関連文書の規定に基づき、VAT課税対象の保険業務に使用する財やサービスの仕入に係るVATを控除することができる。
(…)VAT課税対象および非課税対象の両方に使用される財やサービスに係る仕入VATについては、課税対象部分に限定して控除が認められる。控除可能なVATを明確に区分できない場合、控除額は期間内におけるVAT課税売上高の総売上高に対する比率(%)に基づいて算出される。」

また、財務省が2008年12月26日付けで発行した通達第129/2008/TT-BTC号、部B第IV節第2.4項bに以下のように規定されています:

「贈与、進呈、交換、給与の代替支払い、社内使用などに使用する財やサービスについては、全ての項目とVATを明記したVATインボイス(または販売インボイス)を発行し、顧客への販売と同様に処理することが必要である。」

以上の規定に基づき、BIDV保険株式会社が顧客に商品を贈与・進呈・提供する場合には、VATを含めたインボイスを発行しなければなりません。

さらに、2008年6月3日付の法人所得税法(第14/2008/QH12号)第9条第2項m点において、以下のように定められています:

「控除対象外の費用には、控除された仕入VAT、控除方式で納付されたVAT、法人所得税が含まれる。」

したがって、控除方式によりVATを納付する法人が、事業活動に関連して顧客に贈与した財にかかるVATについては、法人所得税の課税所得を計算する際の合理的な費用として認められません。


2. 賃貸料および電気料金について

2008年12月26日付、財務省発行の通達第129/2008/TT-BTC号に基づき、

および、同日付の通達第130/2008/TT-BTC号、部C第IV節第1項において以下のように規定されています:

「第2項で規定された費用を除き、以下の条件を満たす場合には、すべての費用は控除可能である:
1.1. 企業の生産・事業活動に関連して実際に発生した費用であること。
1.2. 法律に基づいた正当なインボイスおよび証憑が備わっていること。」

また、同通達の第2項第2.12点において以下のように明記されています:

「事業所のオーナーと電力会社との間で直接締結された契約による電気・水道料金の支払いについて、以下のいずれかの書類が整っていない場合には、控除対象費用として認められない:

a) 企業が事業所を借りており、電力会社等へ直接電気・水道料金を支払っている場合、支払明細書(本通達付属様式第02/TNDN)および賃貸契約書を添付する必要がある。

b) 企業が事業所を借りており、オーナーに電気・水道料金を支払っている場合には、支払明細書(様式第02/TNDN)および、オーナーからの請求書等、使用量に応じた支払い証憑が必要である。」

この指針に基づき、BIDV支店とBIDV保険株式会社の間での賃貸料および電気料金の支払いに関しては、使用面積や実際の使用量、単価に基づいて、BIDV支店がBIDV保険株式会社に対し、適切なVATインボイスを発行しなければなりません。VATの申告および納付も、現行の法規に則って実施する必要があります。

なお、2009年および2010年において、BIDV保険株式会社が「特別通行料金のインボイス」で支払った賃貸料および電気料金については、法人所得税の課税所得を算定する上で合理的な費用として認められません。

よくある間違いとそのリスク

以下のようなミス、実はよくありますよ

間違いリスク
インボイスを発行しわすれVAT脱税とみなされる可能性
インプットVATを損金にしている税務調査で損金否認、追徴課税の可能性
特別領収書やメモだけで処理証憑不備として却下されることも

まとめ

贈答品の処理って、意外とややこしいですよね。
でもポイントはシンプルだと思います。

  • 「贈ったら売ったとみなされるのでVATインボイスも発行」
  • 「その時インプットVATは払うけど、経費にはならない」

この2つさえ押さえておけば、あとはインボイスと帳簿をしっかり整えておくだけ!

贈り物で気持ちを伝えるのも大切ですよね。
でも、税務での“落とし穴”にも気をつけて、気持ちよくプレゼントできるようにしたいですね😊