マナボックス ベトナムの菅野です。

本日は、ベトナム企業法(に限らずですが)、の基本的な知識「所有と経営の分離」について解説していきたいと思います。

こちら、前提的な知識となります。したがって、この知識をおさえて頂ければ、社員総会、会長、株主総会、社長・総社長、法定代表者の意味をスッキリと理解することが可能です。

なお、ベトナム企業法では以下の会社形態を想定します。そして、日系企業のほとんどが、有限会社です。

それでは解説していきますね。

所有と経営の分離を理解しよう

まず会社の仕組みを理解する上で、この所有と経営の分離ははずせません。基本的な知識となります。

これは、

  • 所有:会社へお金出した人
  • 経営:元手のお金さえあれば儲かるアイデアと実行ができる人

を分離している点です。お金持ちが、「経営」のプロとは限りませんよね。そして、経営をやりたい人や才能がある人がお金があるわけではありません。

と言うことで、いいとこ取りしているわけです。例えば、上場しているケースが、イメージしやすいと思います。あなたが、株をやっている場合をイメージしてください。

株式を買う=その会社へお金を出す=所有

となるわけですが、みなさん、経営をするわけではないですよね。お金出して、株式を持つけど、経営は、しません。となっています。

これが、所有と経営と分離です。

逆に、お金を出して所有して、会社を経営する場合もあります。これは所有と経営が分離していない。というケースになります。

投資家の個性に着目しよう

所有と経営の分離は、お金を出す人と経営をする人をきちんとわけましょう!という話でした。

これは、別な見方をすると、投資家(お金出資する人)の個性が強いかどうか?ということにも関連します。

具体的に言うと、以下の2点です。

  • お金に対しての責任に限度あるか?
  • 譲渡(仲間を変える)していいか?

それぞれ説明していきます。

出資した以上のお金に責任を負うか?

お金の責任の範囲です。端的に言うと、出資した金額以上の責任を負うか?否か?です。もし、あなたが会社を設立した時に1,000万円を出資したとします。しかしながら、経営がうまくいかず1,500万円の借金をしてしまいました。

その場合にこの債務についても返済義務を負うか?と言う点です。負う場合には、出資者の個性が強いと言えます。

例えば、上場会社へ株式投資をしている場合を思い浮かべてみましょう。日々、買ったり売ったりしていますよね。そして、買った場合、最悪の想定は、紙切れ(価値ゼロ)になることです。逆に言えば、購入金額以上の責任は負いません。900の株を購入してもそれ以上のリスクを負うことはありません。

一方で、個人事業主はどうでしょうか?おそらく、お店が借金したら、自分のポケットマネーで返済しなければダメそうですよね。これを、出資者の個性が強いなんて言い方をします。つまり、責任の範囲が大きいのです。専門的になりまうが、「無限責任社員」なんていい方もします。

1,000万円しか出資してないのに1億の債務を背負うリスクがあるのです。そう考えると怖いですよね。

譲渡のハードルが高いか?仲間が簡単に変わるか?

もう一つが、譲渡の件です。

出資した人の仲間意識が強いか?と言う点です。所有と経営が完全に分類している場合だと、出資者(株主)が日々変わっても不思議ではありません。

これも、株式投資を思い浮かべてみれば、いいでしょう。上場している株を、ボタン一つで買ったり、売ったりしていますよね。この行為自体は、出資者として、参加したり外れたりということをしているとも言えます。すなわち、投資家が、日々変わっているのです。

一方で、それが困るという場合もあるでしょう?出資者は、企業法上は、会社の所有者であり、重要な意思決定(社長を任命したりクビにしたりなど)をすることができます。つまり、重要なポジションです。

これを簡単に他の人に渡したくないって言うケースもありますよね。例えば、あなたが、友人3名で会社を設立した場合に、そのうち一人が勝手に自分の保有している持ち分を渡して、得体の知れない人が入ってきたら、困る場合もあります。当然でしょう。

このような場合は、所有と経営がそこまで分離してないというケースです。もし譲渡する場合は、きちんと承認を得てください。というような決まりが必要です。

本日のまとめ 図解で解説

本日は、企業の基礎知識である「所有と経営の分離」について解説しました。

  • 経営は、プロに任せるか?
  • 出資金以上の責任か?それに限られるか?
  • 保有を譲渡する時のハードルが高いか?

この視点を持っていくだけで、「会社の機関」などの理解がしやすくなりますので是非抑えてくださいね!