こんにちは!マナラボの菅野です。

「これからベトナムで会社を立ち上げたいな」
「でも初期の税金が心配で……」

そんなあなたに、とっておきの制度をご紹介します!

それが、決議198/2025/QH15。ベトナム国会が2025年5月に採択したもので、なんと……

初めて企業登録した中小企業は、法人税が3年間免除される!

という、破格の支援策なんです。

では、いっしょに制度の中身を見ていきましょう!

📘 根拠条文はコレ!法人税免除の規定(第10条第4項)

まずは、しっかりと根拠を確認しましょう。

Điều 10. Hỗ trợ thuế, phí, lệ phí
4. Miễn thuế thu nhập doanh nghiệp cho doanh nghiệp nhỏ và vừa trong 03 năm kể từ ngày được cấp Giấy chứng nhận đăng ký doanh nghiệp lần đầu.

(引用元:決議198/2025/QH15 第10条第4項)

これを日本語にすると…

中小企業に対しては、初めて企業登録証明書が交付された日から起算して3年間、法人所得税を免除する。

そう、法人設立から3年間、CIT(法人所得税)がまるまるゼロなんです!ではいつ設立した会社が対象なの?という疑問を解消していきましょう。

2025年5月17日以降に設立された会社が対象

  • 決議198号は、2025年5月17日に国会で正式に可決・発効されました。
  • よって、この日以降に企業登録証明書を初めて取得した中小企業が対象です。

🟨 対象となる会社:

  • 2025年5月17日以降に新規で設立された中小企業
  • 設立前に登録証を受け取った会社(つまりそれ以前に設立済)は対象外

 注意!以下のような会社は免除対象外です

  • 2019年、2023年などにすでに設立されている会社
  • 一度解散して再設立したが、法人番号が引き継がれている場合
  • グループ再編などで実態として存続している会社(名義変更のみなど)

 現在の法人税率は何%?最新情報で確認!

ここで一度、**通常の法人所得税率(CIT)**を正確に確認しておきましょう。

2025年現在の税率は以下の通り:

区分税率
全企業(一般・中小含む)20%
資源関連事業(石油・鉱物など)32〜50%

つまり、中小企業も通常は20%のCITを支払う必要がありますが、この制度を使えば最初の3年間がまるごと免税になるわけです!

中小企業って?

決議198/2025/QH15自体には中小企業の定義が直接書かれていませんが、
ベトナムの法体系では、政令80/2021/NĐ-CPに基づく定義が広く適用されており、実務的にもこれに準拠して判断されると考えるのが妥当です。

ベトナムにおける中小企業の分類と基準(政令80/2021/NĐ-CPに基づく)

規模区分分野労働者数(最大)年商(最大)総資産(最大)
超小規模企業農業・林業・水産・工業・建設10人以下30億VND(約1875万円)以下30億VND(約1875万円)以下
商業・サービス10人以下100億VND(約6250万円)以下30億VND(約1875万円)以下
小規模企業農業・林業・水産・工業・建設100人以下500億VND(約3.1億円)以下200億VND(約1.25億円)以下
商業・サービス50人以下1000億VND(約6.25億円)以下500億VND(約3.1億円)以下
中規模企業農業・林業・水産・工業・建設200人以下2000億VND(約12.5億円)以下1000億VND(約6.25億円)以下
商業・サービス100人以下3000億VND(約18.75億円)以下1000億VND(約6.25億円)以下
  • この定義は、ベトナムの「中小企業支援法」に基づき、政令80/2021/NĐ-CPで公式に規定されています。円は160を利用して概算。

  • 税務上や行政支援制度の対象企業判断に使われるため、法人税免除の対象企業(決議198/2025/QH15)を判定する際にもこの定義が採用されるのが通例です。

具体的にどれくらい得なの?影響を考えてみよう。

あなたの会社の経営にどんな影響をあたえるのか?を考えるのが大事です。

たとえば、あなたの会社が年間利益5000万円だとしたら…

  • 通常なら支払う法人税:5000万円 × 20% = 1000万円/年
  • 3年間なら合計:約3000万円の節税効果!!

しかも、キャッシュが手元に残ることで、以下のような使い道が可能になります:

  • 新しい従業員の採用や研修費
  • マーケティング費用
  • 設備投資や支店の開設
  • 本社への配当 or 借入金の返済

「この余剰資金で成長スピードを早める」——それが、この制度の本質的なメリットです。

資金繰りについては以下を参照。

>>最強で簡単な資金繰り!守り(バックオフィス)がなければサッカーだってボロ負けだよ【無収入寿命】はおすすめ

 適用条件と注意点まとめ

項目内容
対象企業ベトナムで初めて企業登録した中小企業(中小の定義は法令で別途規定)
起算日初回の企業登録証明書の発行日
免税期間3年間(起算日から連続)
申告義務税額ゼロでもCIT申告は必要(法定期限あり)
期限決算終了後、3か月以内に確定申告(税務管理法第44条第2項)

補足:2025年からは段階的な税率へ

実は、2026年1月からは新しい段階的税率制度が導入される予定です(国会可決済み)。

>>ベトナム法人税が大改革!2025年から始まる新税率と優遇制度を完全解説

年間売上適用税率(2025年10月~)
30億VND以下(約1800万円)15%
30億~500億VND(約1800万~3億円)17%
それ以上20%(現行と同じ)

つまり、今後の法人税制度は「小さい会社ほど優遇される」方向に進むということですね。

✨ 他にもある!決議198号の税制優遇(ざっくり紹介)

この決議、CIT免除だけじゃありません。

  • スタートアップへのCIT・PIT免除(2年免除+4年50%軽減)
  • 株式譲渡・出資持分譲渡の非課税
  • 営業許可料(ライセンスフィー)の廃止(2026年1月から)
  • 個人事業主の「定額課税」廃止 → 通常課税に統一

などなど、“ベトナムで挑戦する人” を後押しする仕組みが盛りだくさんです。

まとめ:3年間の法人税ゼロは、攻めのスタートを切るチャンス!

判定基準対象?
2025年5月17日以降に新設された中小企業✅ 対象
それ以前に設立済み❌ 対象外
旧法人の再登記・業種変更等❌ 対象外
支店や駐在員事務所など❌ 対象外(法人格なし)

これから起業するなら、「最初の3年間にどれだけ投資できるか」が会社の未来を決めます。
そのときに、法人税が免除されるかどうかは、まさに「明暗を分ける」要素になるかもしれません。

中小企業経営者・起業家の皆さん、
この制度、知らなかったではもったいないです。

  • 対象になりそうな企業は、登録日と免税期間を確認
  • 念のため、税務アドバイザーや会計士に相談して、実務対応もしっかりと!

信頼できる根拠と一緒に、制度の正しい使い方をお届けするのが「すげのブログ」です。
これからも、ベトナムビジネスの現場で役立つ情報を、やさしく・正確にお届けしていきます!

ではまた、次回の記事でお会いしましょう!