なぜ、B/SとP/Lをストーリーと図(絵)で頭に叩き込めば、必ずあなたの会社の現場の実態とリンクするのか?

>>3つの”会計”の意味と社長様が最も留意すべき会計とは? 財務会計・税務会計・管理会計では、3つの会計について説明しました。いずれの会計でも、財務諸表というのがあります。

海外子会社、ベトナムに社長と赴任された時から、あなたは、どうしても財務諸表から目をそらすことができません。なぜならば、財務諸表(B/SやP/L)は、あなたの通信簿だからです。ちょっと、気が重いですよね。

お気持ちわかります!

数値の羅列、しかも、桁がでかい!

「よくわからない(汗)」

しかし、この財務諸表を正しく使って、あなたのベトナム人のチーフアカウンタントやマネジャーとコミニュケーションする必要があります。ベトナム語よりも英語よりも、これは大事といえるかもしれません。

今回のレポートでは、会計のバックグランドがない社長様のためのBS(貸借対照表)とPL(損益計算書)の簡単な覚え方と有機的なつながりについて以下の視点でお伝えしていきます。

●3つのストーリーに構造化して理解

●実際の数値と図(絵)を使ってつながりを理解。

また、以下のリンクでは図解をふんだんにつかって仕訳のパターンについても説明しています。

>>【徹底解説】BS(貸借対照表)とPL(損益計算書)はこれで動く!会計仕訳を2つのグループと10つのパターンと図解でおさえればスッキリ!

図解とパズルでビジネスと関連させるというテーマも会計(財務3表の繋がり)を学べますよ。

>>ビジネスと関連するから会計はおもしろい!財務諸表をわかりやすく!【図解とパズル】カネ・モノ・ヒトとB/SとP/Lのつながりを学ぶ

動画も作成しました。動画コンテンツ「経営管理ラボ」より。

3つのストーリーに構造化して理解

財務諸表って聞くと、なんだか難しそうですよね。会計の専門用語ですしね。しかし、難しく考えることはありません。数学的な高度な知識も必要ありません。足し算、引き算、掛け算、割り算の知識だけで十分です。

まずは、なんでもいいです。ベトナムでなにか商売を始めるんだとイメージしてみましょう!

レストラン?カラオケ?喫茶店?IT?? いろいろありますよね。

今回は、カラオケ(ハノイのキンマとかリンラン)で考えてみましょう!ベトナムのカラオケならイメージしやすいですよね。

⇓カラオケのイメージ

カラオケ屋さんを立ち上げる時、まずは何が必要になるでしょうか?

“お金”ですよね。お金を集める必要があります。これを資金調達と言います。

参考記事:ベトナムでの借入金 2つの種類とは?

次に何が必要になるでしょう?

商売をするために必要なのは?と気軽に考えてください。

カラオケのための器具、建物、人材採用などですよね。これを投資と言います。

開店の準備は、整いました!その後は、いよいよお客さんに来てもらって、サービスを提供し、その対価としてお金をもらいます。儲ける!必要がありますよね。

まとめると、以下の3つの活動により会社は成り立っています。

①お金を集める!

②お金を使って投資する!

③活動して、儲ける!

誤解を恐れずにいえば、会社は、この3つの活動を繰り返しているにすぎません。

以下では、ビジネスとお金の流れを関連させてB/SとP/Lのつながりを解説しました。

>>ビジネスと関連するから会計はおもしろい!しかも、カワイイ!【図解とパズル】カネ・モノ・ヒトとB/SとP/Lのつながりを学ぶ

実際の数値と図(絵)を使って理解を深める

会社の活動を構造化しました。それでは、次に実際の取引を想定し、加えて図を使って理解を深めます。先ほどのカラオケでイメージしましょう。

数値を使って具体的にイメージしよう!

①カラオケするためにあなたは、5,000を投資(出資)しました。また、10,000の借入を銀行から行いました。(お金を集める。)

②カラオケ機械6,000を購入しました。また、5名採用しました。(投資する。)

③2019年4月開店し、初年度の売上は12,000でした。人件費として、5名分8,000を支払いました。(活動して、儲ける。)

①の時のイメージは?3つの箱をイメージする!≪右の箱≫

この時、図にするとどんなイメージになるか見て行きます。ポイントは3つの箱にわけることです。最初は、戸惑うかもしれませんが、この図はとても大事になります!

ここでは、右の箱を意識します。ちなみに、この資本金と借入金は、投資登録証明書(IRC)と整合性があります。

参考記事:>>ベトナムの投資登録証明書(IRC)をどこよりも詳しく徹底解説! 【保存版】

 

②の時のイメージは?資産はお金が化けたもの!≪左の箱≫

集めたお金は、活動するために必要なカラオケの機械設備に投資(6,000)しましたね。①で集めたお金を使って投資したのです。

 

感のいい方はお気づきかもしれませんね。上の図は、“貸借対照表”を表現したものとなります。

右の2つの箱は、資本と負債(どうやってお金を集めたか?)左の箱は資産(お金が何に化けたか?)です。 これは、是非イメージできるようになってください!オススメ!

 

集めたお金は、活動するために必要なカラオケの機械設備に投資(6,000)しましたね。①で集めたお金を使って投資したのです。

③いよいよ開店!儲けるぞ~!

いよいよ準備も整い、開店です!ワクワクしますね。がんばりましょう‼

開店初年度の売上は順調で、2019年度の売上は12,000でした。一方で費用は、人件費の8,000です。(話を極端にシンプルにしていますよ。)こちらも図(絵)的にイメージする必要があります。

 

左の箱が、人件費などの費用。右の箱が売上などの収益。です。このようにイメージできるようにしてくださいね!そして、収益と費用の差額が利益となります。

BSとPLのつながりを理解する。

あなたは、カラオケ店のオーナーとして、無事1年を乗り切りました。財務諸表を検討してみましょう。これも、図(絵)と具体的な例の数値を使って理解しましょう。

繰り返しになりますが、会社のストーリーは、①お金を集めて②資産に投資し、③儲ける。(収益から費用差し引く。)でした。③の利益がBSの純資産(BSの右下)に加えられ、新たな投資に向かっていくということになります。PLとBSは、このような構造になっています。

クリックすると大きくなります。

BSとPLは、それぞれ独立しているわけではありません。有機的につながっているのです。

ちなみに貸借対照表は、名前の通り、右と左が必ず一致します。

右下の資本と利益の合計の事を“純資産”といいます。この言葉もよく出てくるので覚えておくと役に立ちますよ。総資産(左)から負債(右上)を差し引いたものです。

以下の図のように整理もできます。会社は、企業活動を行いながら、利益を上げ、循環的に資産の額が大きくなっていきます。つまり、BSの図が大きくなっていくイメージです。

 

繰り返しになりますが、会社のストーリーは、

①お金を集めて

②資産に投資し、

③儲ける。(収益から費用差し引く。)

でした。③の利益がBSの純資産(BSの右下)に加えられ、新たな投資に向かっていくということになります。

PLとBSは、このような構造になっています。図にすると以下のようになります。

 

逆に収益から諸費用を差し引いた結果、赤字となって「純損失」が出る場合もあります。

この場合、赤字分がBS上の利益剰余金から差し引かれます。赤字が連続して利益剰余金がなくなると、今度は資本金から赤字分を差し引きます。(資本の欠損)。

赤字分の減額によって利益剰余金も資本金もなくなり、「純資産の部」に計上される資金がなくなる状態(負債が資産よりも多い状態)のことを「債務超過」といいます。

参考記事:>>意外と知らない債務超過?解消するための4つの方法

 

財務諸表自体は、数字の羅列ですし、理解するのは、なかなか難しいと思います。ですが、こうやってストーリーと、図(絵)にすることによって“直観的”に理解できると思います。

会社のスト―リーに一番詳しいのは、社長、あなたですよね。

 

こう考えを変えると、財務諸表のハードルが下がるはずですよ。

貸借対照表と損益計算書の意味合いを言語で理解

このように、理解すれば、後は言葉で論理的に整理しても

スーッと入ってくるはずですよ。

項目

意味合い

勘定科目

資産

会社持っている預金や商品や設備などの財産や法的な権利

普通預金、売掛金、商品、建物、設備

負債

銀行や親会社からの借入金、支払い義務、

借入金、未払金、買掛金

純資産

出資者からのお金(ERC)や会社が稼いだ利益の累積

資産から負債を控除したネットの純資産

資本金

利益剰余金

収益

お客様へ販売した金額、売上

売上、利息

費用

売上のために必要なコスト

売上減価、人件費、販売費

利益

収益から費用を差し引いた金爆

純利益

 

ちなみに、配当金は利益剰余金が+である必要があります。

また、純資産の金額が10,000だとしたら、その分、お金があると思っている方がいますが、そうではありません。

上記で説明した図を思い出してください。現金は資産(左の箱)で、純資産は右の箱の話です。

★このレポートのポイント★

・会社の活動、ストーリーは3つ。①お金を集める。②お金を投資する。③活動を通して利益を得る。

・貸借対照表(BS)は、3つの箱。損益計算書は、2つの箱と差額。

・貸借対照表(PL)と損益計算書は、有機的にリンクしている。

本日は、財務諸表であるBSとPLを理解する方法についてお伝えしました。経営力アップのためには、会社数字と企業活動の関係を理解できる力である「計数感覚」を磨く必要があります。

ぜひ、あなたの通信簿(耳が痛いですけどね。)である財務諸表を見ながら、あなたの会社のストーリーをイメージしてみてくださいね。なにかいい発見、かならずあるはずですよ!