こんにちはマナボックスの菅野です。
今日は『チーフアカウンタントの不正の事例とその防止策』いうテーマでお伝えします。先日、弊社のディレクターから以下のニュースを提供してもらいました。
ニュースの内容は経理担当者の横領です。現在、警察から起訴されているようです。
この記事のもくじ
チーフアカウントの「小切手」を利用した横領不正により起訴?
新聞によれは手口は以下の通り。
地位を利用して小切手を悪用しお金を横領した
経理責任者としての立場を利用したと自供しているようです。
会社からの自分への信用があったことや管理の甘さを利用して会社の社長と工場長(社長不在時の権限者)に「小切手」にサインするように要求して、お金を引き出した。
ポイントは、①信頼の利用と②管理の甘さという背景から、社長等が「小切手」にサインをしてしまったことです。おそらくですが金額欄が空白の「小切手」にサインをしてしまったのでしょう。
これにチーフアカウントが自分の好きな金額を入力して、銀行に持ち込む「キャッシュ」をゲットしたのです。
横領したお金を個人的な支出に使ってしまっていた
このチーフアカウントは会社の現金を引き出した後、この資金のほとんどを仮想通貨(暗号資産)や有価証券の購入などの、個人的な支出に充てていたようです。
結局、返還できなかった のは1億円??
ニュースによれば197億VNDと472USドルを横領したそうです。ドンなので分かりにくいですがその金額はなんと1億円以上! これは驚きですよね!
先日の山口県阿武町が新型コロナウイルス対策関連の給付金として4630万円を誤って町内の男性に振り込み、返還されていない問題(結局された)よりも大きな金額ですよ。
やばくないですか? なにがやばいかっていうのは以下の2つ点。
- そこまでの多額の金額を横領した個人的な猟奇的な動機
- 会社のあまりにもずさんすぎる管理(銀行もあやしめよ!と突っ込みたくなりますけどね)
横領の主な要因は仮装通貨ゲームのようです。ただし金額がやばいです。大きすぎます。なんとも恐ろしい。どうやったら億レベルの金額を横領しようと思うのか?想像しにくいですね。
また金額があまりにも大きすぎるのでなぜ気がつかなかったの?と言うのも大きな疑問が残ります。ドンの紙幣なので何回かに分けて引き落とししたとしても、銀行側でも違和感が生じるはずですし、監査法人も違和感を感じなければいけません。
現金実査(帳簿残高と預金残高の照合という基本的な手続きができていなかったのでは?と予想されます。
社長に「会計力」があれば不正を防止できるはず
このような桁違いの不正になぜ企業は気がつかなったのか?誤解を恐れずに言えばそれは「会計力」が乏しかったかです。会計力とは平たく言えば「現場と決算書をつなげるスキル」です。
この企業の規模による(例えば売上が30兆円であれば1億は小さいかもしれない)ますが、常識的に考えれば1億円はおおきなインパクトがあったはずです。言い換えればこの会社の決算書は悲鳴をあげていたはずです。
横領後の会計処理の可能性としては以下が考えられます。
- 横領後もそのまま「現金」として処理していた
- 引きだした後に他の勘定科目(立替金やなにか費用項目)に振り替えた
前者であれば「現金」1億と金庫のお金がリンクするという会計力があれば経営者は違和感を持つはずです。1億円のキャッシュが入る金庫。ものすごい金庫ですよね。
また仮に「現預金」と処理していたとしても、銀行明細とB/Sの預金に差異が生じるので異常に気がつくことが必要です。
また後者であったとしても社長は異常に気が付く必要があります。B/Sに立替金などで処理していたとすればそれについて経理担当者に問い詰める必要があるでしょう。もし引き出したお金を費用などで処理していれば月次P/Lの推移を見ていれば異常に気が付くはずです。なぜならば会計力があればおおよその費用の発生を理解しているからです。普通は月に500万円くらいの消耗工具備品はずなのに5倍の2,500万円の費用が発生していたらおかしい!と思うでしょう。
現場と決算書をつなげるスキルという会計力があれば必ず違和感を持つはずです。今回のような悲しい結果が生じるのは経営者に会計力がなかったからと言っても過言ではありません。
では具体的に不正を防止するためにどんな対策をすればいいでしょうか?そのアイデアを考えてみました。
海外子会社の不正を防止するために経営者は何をすべきか?
このような不正は防止する必要があります。なぜならば企業の存在を揺るがす可能性があるからです。
海外子会社の社長は業務が多忙であることや経理の知識が乏しいと思われた場合には不正のリスクがグッと高まります。
- 不正のトライアングル
- マインドセット
- 財務分析
- 小切手はぜったい使わないし空欄に署名しない
まず、不正のトライアングルに当てはめてみる【不正のメカニズムを知る】
>>海外子会社の売上が5%も失われている? 不正のトライアングル
上記リンクで詳しく解説していますが、不正の理由を抽象化すればこのトライアングルに必ず当てはまります。動機・正当性・機会のいずれかです。このメカニズムを詳しく理解する必要があります。
このチーフアカウンタントには、お金がどうしても欲しいという動機から始まり、仮装通貨ゲームで儲けたいという動機があったのかもしれません。そして、上司から「信頼」されていたことや給与に不満があったかもしれないため「こんなに頑張っているんだから私は不正する権利ありますよね」という「正当性」を感じていたのかもしれません。
そして会社のずさんな管理。不正を実行可能としていまう環境つまり「機会」があったのでしょう。
従業員を不正から守るというマインドセットを持つ
社長ができることはこの上記トライアングルの「機会」を奪うことです。これしかできません。また不正に対するマインドセットを変える必要があります。それは「不正から従業員を守る」です。不正が起きてしまうのは従業員の責任ではなく経営者の責任です。罪を作らせてしまったのです。このように考えを変えてみてください。
こちらは以下の記事で詳しく解説しています。
>>社長が、海外子会社”不正”へのイメージを変えるたった1つのマインドとは?
財務分析を実施する
財務分析と聞くと難しいかもしれませんが、決算書を並べて眺めるだけです。月次推移表ともいいます。適切なレベルの勘定科目が設定されたP/Lを作成して並べてチェックすることが分析です。
決算書を作って、並べて、比較する。これなら難しく感じないはずです。
>>毎月たった30分の分析だけで、海外子会社不正は防止できる!
小切手はぜったい使わないし空欄に署名しない
そもそも論ですが、小切手を使うこと自体やめてください。ましてや空欄の小切手に署名だけするなんて自殺行為です。たまにこうしている企業が今でもあるのには本当にびっくりして「まじか!おい!」と声を発生したくなります。今の時代、現金でしか取引できないことなんてありません。カフェでさえその場でインターネット送金をQRコードで可能です。
なので小切手は使わない!これが正解です。
本日のまとめ
今日はベトナムの不正事例とその対応方法についてお伝えしました。
- 小切手をを悪用した現預金の横領
- 会社はチーフアカウンタントを過度に信頼
- ずさんな管理
- 不正のトライアングルへの当てはめとその防止方法
あなたの会社が不正を事前に防止することを祈っております。