この記事はこんな人のために書いています。
  • ベトナム子会社の会計・経理に携わっている。
  • ベトナムで社長をやっている。管理系の職種についている。
  • ベトナムの勘定科目の資産性評価引当金について詳しく知りたい

参考記事:>>【図解あり】ベトナムの勘定科目コードを徹底解説!覚えるための2つのコツと9つの疑問点【保存版】

229とはどんな勘定科目?

資産性評価引当⾦です。

Circular No. 200/2014/TT-BTCでは、上記の科目は、以下のように勘定科目コードが定められています。

勘定コード英語日本語
229

Allowance for any asset impairment

資産性評価引当⾦
 2291

Allowances for decline in value of trading securities

有価証券評価引当⾦
2292

Allowances for impairment of investments in other entities

子会社等損失引当⾦
2293

Allowances for doubtful debts

貸倒引当⾦
2294

Allowances for decline in value of inventories

棚卸資産評価引当⾦

 

229の具体的な勘定科目の内容は?よくある取引の仕訳のパターンも解説!

いったい資産性引当金とはいったいなんでしょう?

これについてさらに深く踏み込んで見ましょう。よりイメージできることが大事です!

なぜならば、財務諸表は、「ビジネス活動→取引→仕訳の積み重ね」だからです。財務諸表にはあなたの会社のストーリーがつまっているのですよ。

参考記事:会計とは? 財務諸表が作成され報告される流れを図解で徹底解説!

2291は、有価証券評価引当金

企業の売買目的有価証券の価値の下落による引当金をいいます。有価証券、株式のイメージで大丈夫です。こちら証券市場の評価、つまり、時価が変動します。

これにより取得した金額よりも、時価が下落した場合には、評価額を下げないといけません。売買目的の場合は一般的に時価があることが多いです。

関連記事:ベトナムの勘定科目121、128及び171(金融資産)について徹底解説!【勘定科目解説シリーズ】

例えば、今だとコロナが原因で、航空会社の株価が下落していますよね。その際に、資産価値を下げるという処理をしないといけないです。

(例)売買目的有価証券を100で取得し、期末時点の時価が60であったとします。この場合、40を下げて、60にしないといけません。

こちら日本との違いは、引当金を用いる点です。日本では、直接、有価証券を評価します。また、時価が上昇したとしても、評価益は評価しないようです。この点も異なっていますね。売却した時の実現益のみのようです。

日系企業では頻度が高くありません。

2292は、子会社等損失引当⾦

その他の事業体への投資に関する損失引当金

:出資対象者(子会社、合弁会社、関連会社)が損失を被った場合に、投資家の回収不能となるために計上する損失引当金や、子会社、合弁会社、関連会社への投資が減少した場合に計上する引当金のことをいいます。

-ジョイント・ベンチャーや関連会社(関連会社等)への投資に関しては、財務諸表が関連者会社等への投資のための所有者の持分法を適用していない場合、関連会社等の損失に起因する引当金を計上します。

-投資先に大きな影響を与えない長期投資(売買目的有価証券を除く)については、次のように引当金を計上します。2つの方法があります。

  1. 【時価あり】:上場株式への投資または投資の公正価値が確実に決定されている場合には、株式の時価に応じて引当金を計上する(売買目的有価証券の価値下落に対する引当金と同様)。
  2.  【時価なし】:報告時点で公正価値が特定できない投資については、投資先の損失に応じて引当金を計上する(他事業体への投資の損失引当金)。

関連記事:ベトナムの勘定科目217、221、222 (投資不動産、子会社投資、関連会社投資)について徹底解説!【勘定科目解説シリーズ】

 

2293は、貸倒引当金

売上債権等の貸倒引当金です。

例えば、得意先の資金繰りが悪化して、売上た金額が回収できなくなるリスクです。

売上債権等の貸倒れによる損失に備えるため、①一般債権については貸倒実績率により、②貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上します。

関連記事:ベトナムの勘定131(売掛金)について解説!【勘定科目解説シリーズ】

日本と大まかに比較すると以下のようになると思います。

項目内容ベトナム

日本

一般債権

経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権

貸倒実績率貸倒実績率

貸倒懸念債権

経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権

個別に回収可能性を検討

次のいずれかの方法

1.財務内容評価法
2.キャッシュ・フロー見積法

破産更生債権等

経営破綻又は実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権

個別に回収可能性を検討

※上記に含まれる。

財務内容評価法

 

2294は、棚卸資産評価引当⾦

棚卸資産評価引当金のことです。

棚卸資産の簿価に対する正味売却価額の増加に伴うたな卸資産の減少に対する引当金です。

関連記事:ベトナムの勘定科目151~158(棚卸資産)について徹底解説!【勘定科目解説シリーズ】図解あり

例えば、劣化等して、その商品が売れにくくなったとします。1,000で仕入れした商品だけど、600でしか販売できません。このような場合には、評価減額しないといけません。その時にこの勘定科目を利用します。

実務上はよく使います。

229の引当金は、資産側の話とセットで理解すると覚えやすいです。

資産側

引当金 

121 有価証券

2291:有価証券評価引当⾦ 

221 子会社投資

222 関連会社投資

2292:子会社等損失引当⾦ 

131 売掛金

2293:貸倒引当⾦

152 原材料

154 仕掛品

155 製品

2294:棚卸資産評価引当

資産性引当金であるよくある取引は以下です。

  • 評価減により引当金を計上した。

本日は、ベトナムの勘定科目である資産性引当金について解説させていただきました。日本の会計基準とはちょっと違いますね。

勘定科目を深く理解すると言。ことはとても大事ですよ。なぜならば、財務諸表は、あなたの健康診断書であり、通信簿であるからです。

財務諸表から、ビジネス活動をイメージするとなにか新しい発見があるはずですよ!是非、試してみてください。