みなさんこんにちはマナラボの菅野です。

今日は『個人所得税の「みなし所得税」「ハイポタックス」とは何?その税務対策とは?』というテーマでお伝えします。

この記事はこんな人のために書いています。
  • ベトナムに赴任しており日本の個人所得税について気になる
  • 給与明細を見たら個人所得税という項目で控除されているが駐在したら日本の個人所得税は発生しないと聞いているから不安
  • みなし所得税とハイポタックスについて知りたい

それでは解説していきます。

そもそも「みなし所得税」「ハイポタックス」って何?

そもそもの定義について確認しましょう。

もしも、海外赴任者が日本にいたならば…発生していたであろう個人所得税のこと

例えば、あなたがベトナムに日本から赴任したとしてます。あながた日本にいたら発生してであろう個人所得税を想定で税計算をし、その仮想上の手取金額を計算します。この仮の計算における税金がハイポタックス(Hypothetical Tax = 仮想に基づいた税金)といいます。別な言い方でいうと“みなし税”とも呼ばれています。

そのため、日本側で実際に所得税を国に納税してはいません。ベトナムに赴任して税務上もベトナム居住者なのにもししていたらそれは間違いです。一定の例外はありますが…。

>>海外の現地社長が日本で役員であっても役員報酬について源泉徴収されない条件とは?

タックスイコライゼーションと呼ばれる制度で「公平さ」が確保されます。

タックスイコライゼーション(Tax Equalization、TEQ)とは、主に国際的に従業員を移動させる多国籍企業が採用する制度の一つです。この制度の目的は、従業員が異動先の国における所得税率や税制の違いによって、税務上の不利益やメリットを受けることなく、母国にいるときと同じ税負担を持つようにすることです。

具体的には本日説明している「みなし所得税」や「グロスアップ」が該当するでしょう。

「ハイポタックス」の論点とは?

この「ハイポタックス」「みなし所得税」ですが以下の点が実務上論点となります。

そもそも控除できるの?

です。個人所得税は、「給与収入」から「控除項目」(例えば社会保険や扶養控除)を差し引いた「課税所得」に対して計算されます。

>>【図解!】ゼロから理解する 個人所得税の仕組み 日本とベトナムの比較表付き!

給与明細に記載された「所得税」は、ベトナムの税務担当官から見ると「なんで個人所得税控除してんの?」と考えられてしまいます。

そもそも日本で払う必要のない個人所得税について控除されてしまうと個人所得税の金額が減ってしまうからです。

しかし、理論的に考えればこの「みなし所得税」はそもそも「もらってない」ので当然個人所得税は発生しません。

例えば給与1,000でみなし所得税が200であれば(社会保険等は無視)実際は800です。これは給与明細表上でどう表現するか? の問題であって給与800と実際は変わりません。

  • 給与1,000、みなし所得税200
  • 給与800

両者は同意義なのです。給与1,000で所得税を200の個人所得税を納税した場合とは異なるのです。

そうは言ってもみなし所得税はリスクあり、その3つの対応方法とは?

もしあなたの給与明細に「みなし所得税」があったら以下2つの選択肢があります。

  • あきらめる
  • 説明する
  • そもそもみなし所得税の記載してある給与明細を見せない

です。

あきらめて払う

1番目ははあきらめて個人所得税を納税してしまうと方法です。上記の例で言えば1,000に対して税率を乗じます。なので本来払わなくていい所得税を納税することになります。

そもそも金額の影響が大きくな場合がほとんどです。日本の個人所得税は大きくないからです。みなし所得税が年間で30万円だとすると、ベトナムで増える個人所得税も数万円でしょう。

あなたの1日分のコストより低いかもしれないのでいろいろ考えるだけ無駄かもしれませんね。

説明する

続いて「説明する」ですが以下の方法が考えられるでしょう。

  • 異動する駐在員のみなし所得税について労働約書や出向協定書に明記する。
  • エビデンスがある。

前者はルールで後者はエビデンスです。この両セットはよく話にでるので覚えておくといいでhそう。税務調査では、「銀行の振込明細」を要請され、それぞれを照合されることもあるようです。また年収確認書もエビデンスになる可能性があります。

>>“証明書”を入手しろ! ベトナムの個人所得税の確定申告の際に必要な2つのこと

オフィシャルレターでもそう言っています。

The General Department of Taxation received a letter dated July 26, 2005 from Mr. Joseph Gordon Cooper – Chief Representative of Visa International (Asia) Pacific Ltd. in Vietnam on “deduction of hypothetical foreign tax – personal income tax”. On this issue, the General Department of Taxation has the following opinion:

Pursuant to Point 4.2.2.2 Circular No. 81/2004/TT-BTC dated August 13, 2004 of the Ministry of Finance guiding the implementation of Decree No. 147/2004/ND-CP dated July 23, 2004 of the Government regulating detailing the implementation of the Income Tax Ordinance for high-income earners:

– In case Mr. Joseph Gordon Cooper has paid personal income tax abroad, he needs to provide sufficient proof to the City Tax Department. Ho Chi Minh has a basis for tax finalization according to the principles specified in Point 4.2.2.2 of Circular No. 81/2004/TT-BTC above.

– In case the hypothetical tax that Visa International (Asia) Pacific Ltd. Payment to Mr. Joseph Gordon Cooper that you have not provided proof of, you must include it in your taxable income to calculate income tax according to regulations.

引用元:

No.: 3027/TCT-TNCN
Re: personal income tax

Hanoi, September 5, 2005

Official Dispatch No. 7621/CT-TNCN dated June 30, 2005 of the City Tax Department. HCM responded in accordance with regulations. It is recommended that Mr. Joseph Gordon Cooper contact the Ho Chi Minh City Tax Department for specific instructions.

土俵に乗せない

最後は「そもそも」の話です。そもそも「みなし所得税」という謎の項目があるのでベトナム税務担当官はびっくりしてしまうのです。

それをなくせばいいのです。前述の例でいえば800を前提とした給与明細を作成すればいいのです。そもそも土俵にあげない。そんな方法です。

今日のまとめ

今日は『みなし所得税、ハイポタックスの取り扱い』について解説しました。

  • ハイポタックスとはその人が日本にいたとしたら発生して個人所得税
  • 理論的には税金の対象にならない。もらっていないから。
  • あきらめる
  • 説明する
  • 土俵に上げない

でした。お役にたてれば幸いです!