こんにちは、マナボックスの菅野(すげの)です。

ベトナムで会社を設立して、その後の会計・税務業務を依頼しなければいけない。

でも、どこまでの範囲を?どこまで会計事務所、コンサルティングファームが支援してくれるのだろうか?あなたはこのような疑問を持つことはありませんか?

この記事はこんな人のために書いています。
  • ベトナムでの法人設立をした。その後の会計・税務などの業務を外注したい。
  • どの範囲まで外注できるか?疑問がある。
  • 経理代行と記帳代行の違いを知りたい。

こんな疑問にお答えします。弊社マナボックスベトナムでもよく頂く質問です。

「経理代行」と「記帳代行」の違いでもあります。

まずは、管理部門の業務の全体像を見てみましょう。その上で業務を細分化して整理していきます。

これから説明することは専門家から言わせると厳密には違うかもですが……。特に会計は、利害関係者への報告もあります。

ただし、この記事では、「記帳代行」及び「経理代行」の違いという点に着目し、わかりやすく整理していきます。

経理の仕事の全体像こうだ!

こんな感じです。(クリックすると大きくなりますよ)

A:会計

  1. 記帳業務(入手した書類に基づく)
  2. 売掛金管理
  3. 買掛金管理
  4. 支払い業務(出納業務)
  5. 在庫・原価計算
  6. 月次決算締め、財務諸表(フォーマット)作成
  7. 経営分析・財務分析⇒報告

B:人事関係

  1. 登録:勤怠管理、社会保険登録
  2. 計算:給与計算・社会保険料
  3. 支払い:給与・社会保険
  4. 給与明細作成

C: 税務

  1. 個人所得税(PIT)
  2. 付加価値税(VAT)
  3. 法人税(CIT)
  4. 外国契約者税(FCT)

それぞれ見て行きましょう。

A、会計業務(Accounting)

会計業務とは、シンプルに言うと……。

取引が発生⇒書類が作成される⇒入力⇒財務諸表が作成⇒社長・本社に報告という流れです。

この全体像を意識しつつ、各業務について詳細に解説して行きます。

①記帳業務とは?いわゆるブックキーピング。仕訳入力。

記帳業務は、書類に基づいて、会計ソフトへの入力する作業のこと

記帳代行は、それを代行すること。

毎日の取引を帳簿に記録する必要があります。

記帳のためには、「契約書」「請求書」「銀行情報」など、取引がわかる資料に基づき、取引記録を会計ソフトへ入力します。

参考:>>ベトナムの会計ソフト事情がわかる!日系企業が留意すべきポイントも解説【厳選9選】

日々発生する取引を、正しい勘定科目に振り分けるためには、会計に関する基礎知識が必要となります。

>>【勘定科目の中身を理解する】超実践的!海外子会社の社長が“数値感覚”ファイナンシャルセンスをマスターするための3つのポイント

いわゆる、これが、経理の仕事というイメージを持つ人が多いかと思います。そして、記帳代行とは、この業務を外部の会計事務所にお願いすることです。

動画でも解説

② 売掛金管理

要するに、あなたの会社の売上に関わる仕事です。

  • 請求書作成・発行業務
  • 入金の消込業務
  • 売掛金の残高の管理

売掛金管理業務には、上記が含まれます。

ベトナムでは、売上を計上した際、請求書(ホアドン)を作成し、請求する必要があります。

また、入金される時には、売掛金を紐づけして、消し込む必要があります。正しい金額で入金か?など確認する必要があります。

さらに、売掛金は、回収しなければ意味がありません。しかし、お客様によっては、なかなか払ってくれないこともあるんですよね。

どこの会社から、回収の遅延しているのか?お客さんにリマインドはする必要があるのか?など管理が必要になります。

少し専門的な用語には、なってしまいますが、「滞留債権年齢表」などを作って管理することが有効です。

③ 買掛金管理

これは、仕入れや費用に関する業務です。具体的には以下の業務があります。

  • 注文書(PO)作成
  • 請求書の受け取り
  • 検収業務
  • 支払い
  • 買掛金の残高管理

何かを購入する際には、注文書を作成し、発注します。モノやサービスが届いたら、請求書(ホアドン)を入手します。そして、実際にモノやサービスを受け取ったかどうかを確認するために検収します。

支払いもここに含まれるのですが、経理代行という点では、ここは大事です。したがって、別枠で説明します。

④ 支払い業務(銀行)

受け取った請求書(ホアドン)に基づいて、支払い業務を行うこと。

モノやサービスを入手した場合には、お金を支払う必要があります。その際に支払い申請書を作成し、支払いの銀行へのセットアップします。最後に社長などの管理者が承認することによって支払いが完了します。

ここは重要です。海外子会社の場合は、最終承認は社長や日本人が権限を持つべきです。

参考記事:社長が絶対に任せてはいけない仕事の話

⑤ 在庫・原価計算業務

  • 原材料などの入出庫管理する業務
  • 原価計算の実施(エクセルやシステム)

原材料や商品については、日々、仕入れによる入庫や、販売による出庫があります。製造業や商社は、在庫を管理を必要があります。

また、製造業については、いわゆる原価計算を実施する必要があります。

製品を作る(サービスを提供する)ためにかかった費用を計算する必要があります。①材料費②労務費③経費を集めて、製品のコストを計算します。

 

⑥財務諸表作成、フォーマット

記帳の後、決算資料(FSなど)を作成すること。

取引を、会計ソフトに入力したら、決算資料を作成します。

例としては、以下のような資料があります。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 試算表
  • 費用明細
  • 原価計算シート
  • 売上明細、売掛金明細
  • 固定資産台帳

べトナムの会計ソフトのアウトプット(決算書)は、ちょっとイケてません。また、日本語がない場合がほとんどです。

したがって、会計ソフトのデータを加工して、わかりやすい決算資料を作成します。

⑦経営分析を実施する

財務諸表を、分析して評価したり、問題点を識別することです。会計とは、会社の「健康診断」です。

経理の仕事は、決算書を作成だけではありません。作成だけなら、正直、意味がありません。

実務上は、これを出来ている会社が少なく、それが問題なんですよね。特に海外は。

より利益を増加させる、コストを削減する、投資する、といった経営の意思決定においては、現状の財務諸表にて会社の状況の現状を理解する必要があります。

参考:なぜ、社長は“経理”“会計”を無視できないのか?

比較!比較!比較! 海外子会社のシンプルだけど効果のある財務分析の方法

 

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B、人事関係の業務

この業務は、以下の通りです。

給与関係

・勤怠管理、給与計算、支払い

社会保険関係の業務

・社会保険の登録、社会保険料の計算、支払い

①給与関係の業務

給与に関する業務は、勤怠管理(残業時間など)、給与計算、給与支払いです。また、給与明細の作成も含まれます。

②強制社会保険の業務

強制社会保険の手続きは、強制社会保険への加入手続き、保険料の計算及び支払いです。

参考記事:ベトナムの社会保険が、、、、、日本人にも?? 

C、ベトナム税務の業務

ベトナムの税務は以下があります。

  • 個人所得税(PIT)
  • 付加価値税(VAT)
  • 法人税(CIT)
  • 外国契約者税(FCT)
  • その他税務

いずれも、申告書の作成・支払いが必要になります。

もう少し、業務を分解すると、①必要な資料の入手②税額の計算③申告書の作成・提出、支払いの3つになります。

経理代行とは?記帳代行とは?

一般的には、記帳代行は、書類に基づいて会計ソフトに入力する業務のみです。

経理代行は、それ以外の業務も含みます。

図で説明する方がわかりやすいです。

また、上記の経理業務をリストにするとこんな感じです。クリックすると大きくなります。

会計事務所に依頼するときの3つポイント

経理に関する業務を、上記のように整理しました。

次はどの業務を外注するか?ですよね。

繰り返しになりますが、リストにするとこんな感じです。このリストから、必要な業務をピックアップして選択する流れがいいです。

※1、基本外注しない。できない。

※2、製造会社の場合。難易度が高いから、会計事務所に外注するケース多い。

 

その際の3つのポイントは、以下の通りになります。

1)将来は、自計化するか?どうか?(自前でやるか?)(標準化も支援しているか?)

2)レビューメモ(改善点)を指摘してくれるか?

3)基本業務以外のビジネスなどについて相談できるか?(日本人公認会計士か、ベトナム公認会計士か)

この視点をもつといいかなと思います。

●自計化するか?

設立してから1年2年は、『自前で実施する』という選択はしないです。なぜならば、海外、ベトナムの常識や会計基準は、日本と違うからです。海外の知見をもった専門家にお金をはらったほうが、投資対効果あります。

何万時間という時間を使って専門的なノウハウを得ていますからね。

機会原価・損失というお金の知識はなく、「コンサルは高い」っていう人もたまにいますが、正直いけてない人たちです(😢)。

こんなこと言う人に出会うと、『お金の授業』は必要なのかなと思う時でもあります。日本人はお金の教育をきちんと受けていないのでしょうがないとは思います。

ノウハウを得るまでの投資した時間を考えると、専門家に依頼するべきです。

しかし、2年後は、自社で採用した経理担当者で業務を管理できるはずです。

これを見据えて、業務を標準化するとか、再現性を考えてくれるコンサルや事務所を選ぶといいと思います。

●レビューメモを作成してくれるか?

問題点があった場合にそれを認識してくるのがコンサルの価値です。問題解決ですね。

これを文書化して適時に報告してくれるコンサルかどうかです。コンサルタントの価値ですね。

●ビジネス情報の発信や相談がある?

海外では、海外ならではの悩みがあります。

経営管理、資金繰りの悩みもあるでしょう。マネジメントもそうです。マーケティングだったりも。

そのような悩みを解決してくれる情報を発信しているコンサルがいいか?というのも基準になります。

よくある3つのパターン

ベトナムでよくあるのが以下の3つのパターンです。

  1. 記帳代行+FS簡便+税務申告
  2. 記帳代行+FS毎月+経営分析+税務申告(※レビューの場合もあり)
  3. 経理代行(給与部分も)

1が1番コストが安く抑えられます。とにかく最低限の記帳とコンプライアンスという方におすすめ。数値などは、売上等のメインなところだけ抑えておけばいい場合にもいいです。

2は、より数値を使って経営をしたい場合です。※会社内に経理の人がいて作成業務しているが、チェックしてほしい場合には、専門家の視点からレビューします。

3は、丸投げ、お任せコースですね。経理を雇うまでもない。業務がシンプル。規模がそこまで大きくないという場合にオススメです。

本日は、経理業務の全体像から、記帳代行と経理代行の違いについて解説させて頂きました。

あなたがベトナムに進出した際に、本日のお話が役に立てると幸いです。

きちんと業務の把握が理解できますし、後で、もめることなくなりますよ!

表にすると以下のような感じです。あくまでイメージ。

項目

パターン①

パターン②パターン③

A:会計

レポートは簡便

レポートは毎月

記帳以外も

B:人事総務

××

C:税務(PIT,VAT,CIT、FCT)

(代行かレビュー)

(代行かレビュー)

(代行)

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