みなさん、こんにちは、マナボックス の菅野です。

本日は、ベトナムの個人所得税のお話です。確定申告の時「なんで納税金額が増えるの?」ってお話です。

このトピックは以下のリンクでもしているのですが、今回は、異なった論点です。セットで理解するといいでしょう。

>>ベトナム個人所得税でサプライズが起きてしまう2つの理由

この記事はこんな人のために書いています。

ベトナム進出をしている。個人所得税の申告や納税が心配。なぜ、年度末に申告金額が増えるのか?疑問。

結論:申告書を2つに分類。ベトナム所得が基準となりアパート代にかかる費用を申告しているから

早速、結論から申し上げます。

  1. ベトナム駐在員が、給与をベトナム法人と日本法人からもらっている。
  2. その場合の申告は、別々となる(会社が源泉する。日本人が個人で申告する)
  3. ベトナムのアパート代の課税所得の計算方法が特徴的だから

この3つです。

と言葉で説明してもなかなか理解しにくいですよね。

大丈夫です!問題ありません。具体例と図解で理解していきましょう。

その前に上記の3つについて詳しく解説(リンク先で解説している場合あり)します。

まず、前提条件として、日本人駐在員の人は、給与をベトナム法人からドン、日本法人からも円でもらうケースであることを理解しましょう。実務上も、このパターンがほとんどです。

>>海外駐在、ベトナムで駐在する日本人の給与の支払いの3つのパターンと税務上のリスク及び実務上の留意点を解説! 

そして、その場合の申告というのは、確定申告前までは、別々で申告するんですね。別々です!会社か?あなたが個人でか?という違いです。

>>ベトナム駐在者が日本から給与をもらっている場合の個人所得税の申告の方法 ≪ハノイ編≫

 

ベトナムの会社が源泉(あなたの給与から差し引く)して申告

あなた自身が申告

ベトナムからの給与

N/A

日本からの給与

N/A

そして、アパート代の課税所得(税金を計算するもととなる金額、税務上の給与)には、特徴的な点があります。それは、実際のアパート代を会社が負担した場合、その金額がそのまま課税所得にはならない点です。例えば、1,000ドルの家賃であれば、それがそのまま課税所得にはならない場合があるということです。

>>ベトナム所得税で年間で2000ドル以上の違いも? 知らないと損する、ベトナムでの駐在員の家賃

上記の3つのポイントを理解しておくと、今日のテーマはスーッと入ってくるはずです。

事例と図解でおさえよう!

事例で解説していきます。まずは、前提条件を整理していきましょう。

  • 駐在者:ハノイマナオ
  • ベトナム給与:1,000ドル/月
  • 日本給与:4,000ドル/月(理解のための説明ですのでUSD)
  • アパート代800ドル/月(会社負担)
  • 税率30%(累進課税無視)
  • 暦年2020年1月〜

※理解のための事例であり、実際はより複雑です。

このような条件です。第1四半期(1月から3月)の申告の時期になってきました。この場合の申告の金額を見ていきます。

ベトナムの申告の金額はどうなる?ポイントは、ここ!

まずは、ベトナム給与の申告(月次または四半期)です。ポイントはここです。アパート代については会社が申告します。なぜならば、会社が支払っており、ベトナム給与と同様に取り扱いがされるからです。

この場合どのように計算するか?ですが、下記のリンク先に記載のように計算します。つまり、アパート代をそのまま使うのではありません。

>>ベトナム所得税で年間で2000ドル以上の違いも? 知らないと損する、ベトナムでの駐在員の家賃

  • 給与✖︎15%⇨(1,000✖︎15%=150ドル)
  • アパート代⇨(800ドル)

いずれかの低い方を利用します。つまり、前者の150ですね。したがって、四半期の納税額は以下の通りです。

課税所得

税率

税金

1,000ドル+150ドル=1,150ドル

30%345

ベトナムの確定申告時の処理

いよいよ確定申告の時期です。この時、アパート代はどのように計算するのでしょうか?それは、グローバル所得を基準に計算します。つまり、ベトナム給与1,000ドルと日本の給与4,000ドルの合計5,000ドルです。

  • 給与✖︎15%⇨(5,000✖︎15%=750ドル
  • アパート代⇨(800ドル)

感の良い人はおわかりですね。比較対象である給与部分が、合算されることによって、税務上の給与も増えてるんですね。

150ドルから750になってますよね。

課税所得

税率

税金

1,000ドル+750ドル=1,750ドル

30%525

上記の例は、わかりやすく月次の金額を利用しております。実際は、確定申告まで、12月分の影響が出るので、もっと大きくなるでしょう。また、ベトナム給与の割合が小さい(例えば、ベトナムで500ドルで4,500ドルが日本からなど)場合も確定申告時の影響は大きくなります。

比較するとわかりやすいかなと思いますので、そちらの図解です。

本日のまとめ

本日は、ベトナムの個人所得税でサプライズが起きてしまう理由、アパート代について説明させていただきました。

  • ・日本の給与とベトナムの給与を別々にもらっている
  • ・アパート代を会社負担にしている

この場合には、アパート代に関する課税所得を、「ベトナム給与」を基準として考えるため、期中(月次または四半期)の申告額が、確定申告と比較して過少になります。ただ、最終的な確定申告の時、あるべき課税所得を計算する時に、「グローバル所得」を基準とするため、アパート代に関する課税所得が増えてしまうのです。